(117)義母のお見舞いへ

義母が入院して1週間がたつ。この5年間くらいの間に何度も入院している義母だが、そのほとんどの入院では、寝巻きやタオルはアメニティレンタルの契約をするように言われ、そのようにしてきた。たぶん、コロナの影響も大きいのだろう。お見舞いなども制限されていた時期だし。しかし、今回は、家から持ってきて交換にも来てもらえるならそれでもいいですよ、と言ってくださったので、そうさせてもらっている。病室には4段の引出しが据え置きされていて、私はその引出しに義母の小物類、衣類、タオル、洗濯物、と小分けして入れて、剥がせるシールを貼って何が入っているのかわかるように記入しておいた。すぐに退院できるか、入院が長引くかわからないが、看護師さんに衣類を出してもらうこともあると思うので、なるべくわかりやすいように、そして何が足りなくなってるか私もわかるようにしたかった。入院して1週間、洗濯物がいくらか出てるかもしれないと思い、取りに行った。部屋に入ると義母は起きており、パジャマではなく入院時に着てきた服を着ていた。そして、衣類を入れてきた大きな袋を広げて何やらゴソゴソしている。見ると、私が4段引出しに入れておいたもの、全てをカバンに詰め込んでいる。引出しに貼っておいたシールも剥がされていた。私は、「あ…、この引出し、勝手に使ったらあかんやつやったん?」と聞いた。すると義母は、「いや、使っていいけど、もうそろそろ家帰るかなあと思ったからカバンに全部詰めてんねん。」という。病院からは何も連絡はないから、私は少し不思議に思い、「退院の日とか聞いてるん?先生から説明あった?何も電話とかなかったはずやけど…。」と聞いた。すると、義母も何も聞いてないけど、そろそろ退院だと勝手に思っているだけのようだった。「いつ退院かも決まってないのに…引出しにいれとかないと看護師さん衣類とかタオルとか、このカバンから探さないとあかんやん…それに、私も何が足りなくなってるかわからんよ…」それでも義母は、引出しが取り出しにくかったから、とか、もう家に帰ると思うから、とか言って全部カバンに詰めている。貼っておいたシールは捨てたらしい…。「あんなにしんどくなって、入院したいと言い出したのも婆ちゃんやで…。覚えてる?」私は、汚れ物だけ看護師さんがビニール袋に入れてベッドの端に置いてくれていることに気づき、それだけ持って帰ってきた。また持っていくときに引出しにしまうか、もう入れないでおくか……。なんであんなことするんだろう…。
ちなみに、実子たちは、この1週間誰もお見舞いには来てくれていないとのこと。自分の普通って、他の人には全然当てはまらないんだな…と改めて思う日々。


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