(82)最近の義母

義母が体調不良で2週間ほど入院し、退院してから1か月が過ぎた。退院後は食事もとれるようになってはいたものの、やはり体力は落ちていたと思うし、そんな中で認知症の義父と同室で過ごすのはしんどかったと思う。退院後、義父の徘徊を、止めることなく送り出してしまったのも、日々の疲れやストレス、そして義母自身の認知症も合わさって、徘徊だから行かせてはいけないという判断ができなかったのだろう。義父の徘徊や義母の体調不良続きから、義父は認知症病棟での入院になり、2週間が過ぎた。義父の入院によって、私たち家族は24時間体制で義父の徘徊に目をひからせておかないといけない生活から解放された。義母も、四六時中わけのわからないことで怒鳴られたり、同じことを延々と聞かれたり、妻であることを忘れられてしまうつらさから解放されたと思う。ここで義母には、義父のお世話がなくなった分、生活の質をあげてもらえたらと思っていたのだが、どうも逆に向かってしまっているような気がしてならない。義母の退院後しばらくは、おかゆのレトルトパックやら食べやすそうな、消化の良さそうなものを買ってきてあげていたのだが、1か月以上たった今も自分で買い物に行かなくなってしまった。もう、おかゆでなくても、入院前と同じような食事がとれているのだが(歯が悪いので私が夫や子どもに作るおかずを義母も食べるのは数年前から難しく、食べやすい惣菜を買ってくることが多い)、買い物には行きたがらない。買い物のときに歩きやすいように、と思って歩行器もレンタルしたのだが、やはり行かない。食欲は今はあるので、部屋に食べ物がなくなりそうになると私のところに言いに来る。ゴミ捨ても先月まではしていたのにしなくなった。自分の下着は自分で洗濯機を回していたのにそれもしなくなった。ようするに、退院後に私が義母の体調を気づかって代わりにしてあげていた義父母の部屋の中の家事を、体調が戻ってきたあともしなくなってしまった。近所のスーパーに買い物に行けていたのにそれもしない。決まった曜日にゴミ出しをするのも頭にない。洗濯物も意識にない。毎年のように何かしらの体調不良で入院している義母だが、今までは退院後はまた自分たちの部屋の中の家事はしていたのに、義父がいなくなるとピンと張っていた糸が切れたように家事をしなくなった。ただテレビをずーっとつけっぱなしにして、テレビを見てたり寝ていたり、を繰り返している。あまり手伝いすぎるのも良くないのかもしれない。このままでは歩ける距離がどんどん短くなって筋肉も減っていくかもしれない。全てやってあげるとご機嫌で、やってあげないと拗ねる義母だが、歩けなくなったとき、買い物に行く自信がなくなったとき、義母もつらいだろう。先月まで出来ていたことは、また出来るように戻ってほしいなあと義母に伝えると、目線も合わさず何も言わずにテレビを見る義母だった。

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