見出し画像

第64話 強くても、弱くても

ひらやまさんのnoteを読んで、思い出した事がある。

元夫の浮気が分かった後に言われた言葉がある。

「くみは強いから大丈夫だよ」

一体、何が大丈夫だと言うのだろうか。

別れを選ぶことも出来ず、怒ることも出来ず、ただ自分自身を責め、それでも普段通り接しようと、必死にぎこちない笑顔を作っていた私の、一体何が大丈夫だったのだろうか。

それとも、そんな無理をしていることにさえ気付かなかったのだろうか。

私の15年は一体何だったのだろう。

忘れていた。

そんな事を言われたことも、その時どう思ったのかも
忘れていた。

あの時、抑えていた感情が記憶とともに溢れてくる。

強いってなんだろうか。

はっきりとは覚えていないけれど、あの時の私はたしか「そうだよね。強いもんね」そう言って笑った。

怒ってもよったのに。
今はそう思う。
でも、あの時の私には怒る力さえも残っていなかった。

「強いから」
便利な言葉だ。
強いから大丈夫だよね。
まるで自分の責任の全てを、相手に押し付けてしまうかのような言葉。

本当に強い人などいるのだろうか。

人の心は見えない。
彼に私の心が見えていなかったように、私にも彼の心が見えていなかった。

あれから2年が経った。
今、彼が居なくても全く大丈夫な自分になっている。
でも、強いから大丈夫になったのではないと思う。

今の私になるまでに、私が何を感じ、何を思い、何を考えてここまで歩いてきたのか。
彼は何も知らない。

あの時の私が強かったのか、今の私が強いのか、まだよく分からない。

強くて弱い。
弱くて強い。
それが人間だと思うし、私もそうなのだと思う。

今日、こうやって心の奥に閉じこめてしまっていた想いと出会った。

ちゃんと涙が溢れた。
あの時、流せなかった涙が。

だからもう、終わり。
この想いは、終わり。

強い私も、弱い私も、ぜんぶが私だ。

私は、大切な人達に

強くても弱くてもいいよ。

そう言える人であり続けたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?