クミ長のフランスかぶれ滞在記⑨ 行き当たりばったり最高!予定変更”カンヌ”3延泊
2023元旦の初カンヌが忘れられず
年末年始の南仏ニース滞在は、この旅の計画を立て始めた時に決めてはいました。3年前はパリの星付きレジデンスを借りてゆったり過ごしたのだけど、今回の二ヶ月弱の旅では宿泊費も節約。移動も仕事に合わせてその場で決めることにしていたので、年末年始だけは少しゆったりしようかと。行き当たりばったりで何とでもなるとも思っていました。
カンヌはニースの隣町
元旦にカンヌに行ったことは前回のブログで書いたとおり、盛り上がって自撮りばかりしていました。日帰りでニースに戻り、その写真を見ていると、無性にもう一度行きたくてたまらなくなりました。カンヌのあの柔らかな空気が恋しくて。年始を過ぎたら少しずつ北上してパリに戻ってゆく予定でしたが、ここは行き当たりばったりの良いところ。予定変更。延泊決定。
カンヌに追加3泊
元旦にニースに戻った夜、スマホでカンヌの駅近ホテルを探し、3日延泊することに。予定が変わるのは楽しい。ビバ行き当たりばったり。
私は映画に特に詳しいわけではありません。でも、たまらなく好きで心震える作品がカンヌで賞を獲得することが多く、カンヌ国際映画祭は最近特に気になっているのです。
世界の三大国際映画祭
今調べたけど、三大国際映画祭と言えば、社会派のベネチア国際映画祭、芸術性のベルリン国際映画祭、商業性のカンヌ国際映画祭。カンヌの受賞作品がもの凄く好きなものが多いので、思い出しながら書いてみることにしました。
私が好きなカンヌ受賞作品と勝手に【鈴鹿考】
私が好きな作品をいくつか思い出して並べてみました。改めるまでもありませんが、映画は一ファンです。ただのファンがあーだこーだ書いてみました。
■『楢山節考』
受賞年:1983年
受賞者:今村昌平
受賞部門:パルム・ドール
【鈴鹿考】
主演の坂本スミ子さんがその役に挑むにあたり「老婆の役なので歯を抜いた」とインタビューに答えていたのに衝撃を受けた。深沢七郎の原作となる本は、武田泰淳や伊藤整、三島由紀夫がこの小説を絶賛していた記事を見て読んだ小説だった。雪のように静かに降り積もる悲しい美しさが印象的だった。
■『死の棘』
受賞年:1990年
受賞者:小栗康平
受賞部門:グランプリ
【鈴鹿考】
高校生の時に島尾敏雄の小説で読んでいた。主人公の愛の在り方が当時の私には衝撃的。読了後には頭の中に1本の映画フィルムが出来上がっていた。映画を観た時、私のフィルムより海の色がずっと濃く深かった。『海辺の生と死』として満島ひかりが主演で島尾敏雄の妻を演じた映画も忘れられない。
■『誰も知らない』
受賞年:2004年
受賞者:柳楽優弥
受賞部門:最優秀主演男優賞 (最年少受賞)
【鈴鹿考】
実際にあった育児放棄の事件を是枝監督が映画化した作品。ニュースで報じられていた事件を実写版で観てしまったと思った。この時の子ども達の表情が心に突き刺さった。当時衆議院議員の政策秘書だった私は、「全ての政治家にあの映画を見て欲しい」と議員に言って先輩秘書に叱られた。今でも観て欲しいと思っている。
■『殯の森』
受賞年:2007年
受賞者:河瀬直美
受賞部門:グランプリ
【鈴鹿考】
河瀨直美監督の作品。私が奈良が好きなこともあり、森の深い奥行きの中に死と生が描かれていて、静かなピアノの伴奏が印象に残る。
■『そして父になる』
受賞年:2013年
受賞者:是枝裕和
受賞部門:審査員賞
【鈴鹿考】
18歳の頃、「家族の定義」を考えていたことがあった。血のつながりが家族なのか。だったら家の犬は家族ではないのか。心配するのが家族なのか。だったら友人と家族は何が違うのか。この18歳の混乱をもう一度リバイバルさせてくれた作品。
■『岸辺の旅』
受賞年:2015年
受賞者:黒沢清
受賞部門:ある視点部門監督賞
【鈴鹿考】
浅野忠信と深津絵里の静かな声が耳の奥に残る。避けられない別れにこんな時間が与えられたなら、私は誰になにを伝えたいのだろう。
■『万引き家族』
受賞年:2018年
受賞者:是枝裕和
受賞部門:パルム・ドール
【鈴鹿考】
子どもに万引きをさせたことに「ほかに教えられることが何もない」、他人の子どもを保護したことを「拾ったんです」と。映画のセリフに脳がジャックされた。哀しく優しく切なかった。入れ歯を外した樹木希林さんの表情が印象的だった。
■『ドライブ・マイ・カー』
受賞年:2021年
受賞者:濱口竜介・大江崇允
受賞部門:脚本賞・国際映画批評家連盟賞・エキュメニカル審査員賞
【鈴鹿考】
推理しながら進む面白さも手伝いながら映画を観ていて「やっぱり雪か」と思った。雪は降り積もるとき全ての音を吸収する。静かだと思って他のことに気を取られているうちに、窓もドアも全てを包みこみ、隠し、景色を美しく整え、命をも飲み込む雪。静かに降り積もった重い雪のような映画だと思った。
■『あん』
出品年:2015年
監督:河瀨直美 カンヌにはこの時点で日本人最多7回目!
出品部門:「ある視点」部門 オープニングフィルム
【鈴鹿考】
政策秘書時代、ハンセン病への誤った認識と国策で人生をそぎ落とされた方々への支援を仕事としていたことがあった。担当の新聞記者が書いた新聞記事を読んでは委員会質問の準備をしていた。この映画は、私が必死でもがいて仕事に明け暮れていた秘書時代を思い出させてくれた。
パルムドール
私が映画を好きになるのは、小説から入ることも多く、小説でできあがったイメージと映画の映像が違い過ぎて苦しくなることもあります。でもここに書いたものは、映画のすばらしさに魅入られた作品ばかり。監督や俳優の皆さんのエネルギーがリミックスされて生まれるのが映画なのでしょうか。
それにしても、やはり何事も現場に来てみるものです。ニュースで何度か見たことのあるこの像が、道路を移動していました。
そして私が宿泊したホテルの近くの道路には、こんなパルムドールも
カンヌは空気がとても柔らかな場所でした。ニースよりも、もう一段落ち着いている小さな町。あの賞を獲得するために世界中からしのぎを削って魂を削って演技に命を注いだ俳優や女優がこぞって集い、関係者で町中が溢れる場所。なのに、空気がいつも丸くて柔らかいのはどうしてなんだろう。
さて、次はいつ来れるのかな。
今年2023年のカンヌ国際映画祭は、5月16日~27日に決まったようです。その時の空気はどんななんでしょうね。いつか私もそのときにここに来ていたいと願うばかり。皆さんも、ぜひ!
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