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ナレーションを極める4 NHKで教わった 基本のニュース (このニュースで伝えたいことは何かを理解する)

こんにちは。ナレーターの熊崎友香です。
テレビ東京のワールドビジネスサテライトなどで
ナレーションを担当しています。

新型コロナで戦々恐々としていますね。

自宅にいる時間が増えますね。

不安もありますが、
こんな時こそスキルアップをしておきたいなと、

少しでも前向きに過ごせたらと思っています。

かつてNHKにいたからか
「NHKのアナウンサーさんは
どうやってニュースの練習をしているの?」

と聞かれることがあります。

先日、超売れっ子ナレーターさんも

NHKのアナウンサーは

一体どんな訓練をしているのか知りたい!

とおっしゃていて

NHKのキャスターを経験した人には当然の流れですが、もしかしたら貴重な経験なのかもしれない!と

思い直しました。

私は正社員のアナウンサーではないので
みっちり数ヶ月、
研修を受けたわけではありません。

が、はじめてNHK青森局に採用されたときは
契約のキャスターも、キャスター研修というものがあり、東京で何泊かさせていただくという、
今思えばありがたい経験をしました。

NHK青森局の夕方50分間のローカル番組のアシスタントを担当することになり、ほぼゼロからの特訓です。

その研修所で最初に行ったのは
読みの練習ではなく

近くの公園に行って「取材」と
「原稿を書く」でした。

原稿にはある程度ルールがあり、
その構成をしっかり知ることが
大事であると。

そして、ようやくそれが完成し
(この時点で半日以上経過していた)
最後に自分で読んでみる。

という内容でした。

全国各地のキャスターが集まっての研修で

30人くらいはいたでしょうか。

みな、同じ公園に行ったはずなのに

それぞれに取り上げる話題も違い、

人のを見るのも勉強になりました。

視点の違いや、この話題で伝えたいことは何か。

「内容を理解してしっかり伝える」。

そして、今になって思うのは

これが一番大事なのですが

取材し原稿を書いた人は

何を伝えたいのか」を理解すること。

テレビのナレーターは

リレーで言うところのアンカーです。

ここまで様々な方の思いが形になり

映像と文章が出来上がり

視聴者に届けられる。

意味を理解するだけでなく

このニュースは何を伝えたいのか。

を理解する。


最も基本的なことを細かく丁寧に教わりました。



研修から帰ると、まもなくデビューです。

毎日生放送の見学をしながら

先輩からいただいたテキストで
発声と滑舌の練習をしました。

「あー」と長く声を出す長音
「ハッハッハッ」と歯切れを良くする練習

「あめんぼあかいなあいうえお」や
「あおはあいよりいでであいよりあおし」

などの滑舌の原稿です。

勤務時間の1時間から30分早く行き、
空いているスタジオで毎日取り組みました。

デビューはラジオのローカルでした。
五分間、生放送でニュースと天気予報を
伝える枠があり、
だいたい1分15秒くらいのニュース3本と
天気予報で構成されています。

本番までの流れはこんな感じです。

本番の30分くらい前に、下読み席に行き
出稿されたニュースを読みます。

このとき、いただいたアドバイスは

「下読みは大きな声で!」
「違う部署の人にも聞こえる声で!」

距離で5メートルくらいでしょうか。
かなり大きい声です。

聞いている人の対象を探し
あの人に届けよう。と決めて
その人に伝わるように読む。

聞いてる人が間違っていると指摘してくれるし、
恥ずかしさもなくなります。
緊張感もとれ、
発声、滑舌のトレーニングにもなります。

良いことづくし!

(他の皆さんの仕事の迷惑にならない範囲で、、、)

そして、必ず尺をはかります。

このニュースは何分何秒で読めるのか。

わからないアクセントは必ず全て調べます。
固有名詞のアクセント、地名などは
特有のものがあるので、
わからなければ必ず人に確認。
(会社や個人名なら電話をして確認)

どこで切るか、つなげないと意味がわからないところはどこか。なども全て確認し、印をつけます。

一本ずつ読むを繰り返し

次にまとめて3本続けて読んでみる。

五分から逆算して、余った時間で天気予報を読む。

という流れを繰り返し下読みの時間を過ごします。

時々、全く同じニュースを、ベテランの上手なアナウンサーが別の枠で読むこともあります。

どこで切っているか、どのくらいの間があるか、出だしはどのくらいの高さか。などをチェックして、真似してみる!シャドー(その人に続いて声に出して読む)もしくは、コピー(同じ高さ、速さ、切り具合で読めるまで研究)をすることも大事です。

読み方については

頭は高く、読み終わりは低く。

うねりを無くす練習方法なども

先輩アナウンサーから教わりましたが、それはまた別の機会に。。。

青森で学んだことは
生放送で緊張せず
伝えるニュースを読むには

何より「準備が大切」ということ。
準備不足だと、人は自信を無くして緊張し、噛んだり震えたり、口が回らなくなったりする。

やれるだけのことはやった!と思って
生放送にのぞめば緊張しない。

「下読みは一度も声に出さない。
最初のインスピレーションを大切にする」

という方法も聞きますが
それは、ずっと後の話、

もしくは最初から上手な人の話で、

やはり最初はとにかく声に出して練習する。

人に聞いてもらう。

がオススメです。

「アクセントを確認する
意味を理解する 

そしてこのニュースで伝えたいことは何かを理解する

しっかり下読みをする」

そしてニュースをたくさん見る!

青森で教わったことは
いまもニュースと向き合う時
欠かさず行っています。

色々教えてくれた先輩に感謝です。

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