ナレーションを極める44 録音したら時間を置いて聴く

ナレーターの熊崎友香です。テレ東のワールドビジネスサテライトなどでナレーションをしながら、4歳と6歳の子供を育てています。

ナレーションの練習をする時、録音をしてすぐに聞いて反省し、そこを意識してもう一度繰り返す。そしてまた録音する。。。基本ですよね。きっと皆さん取り組んでいると思います。

ここでおすすめするのは、一ヶ月、半年、もっと経ってから、その音源を聴くことです。細かい上げ下げや、発音の仕方、抑揚や間などは、その場その場でジャッジできると思います。

しかし、時間を明けて聴くと、その時、感じなかったことや、見えなかった部分、聞こえなかったことに気付けるのです。時間が過ぎたことで、気持ちが落ちつき、俯瞰して聴ける、より客観的に聴けるからではないかと思います。

自分の声をひとりこっそり聴くのも良いのですが、おすすめは、人に聞いてもらうこと。私の場合、絵本が家に500冊ほどあり、4歳と6歳の子供たちに読み聞かせをしています。その際、必ず録音をして、2人の子供と第三者に届けるイメージで真剣に読みます。これを2年ほど前から続けているので、絵本の音源は、数百あると思います。(お友達には無償で贈って、喜ばれています)

最近、疲れた日の寝かしつけには、この数百の音源の中から、子供たちのその日の気分でお話を聞かせ、自分は子供と一緒に、明かりを消し、耳だけかたむけながら、その当時の読みの反省をしています。

例えば、桃太郎、もう5回くらい読んでいて音源も5個ありますが、あ、この時は滑舌がいいな、この時は、そうでもないな、この日は、機嫌が悪いな、ちょっとぶっきらぼうだな、この日はお話に集中しているな。この日は、ただ読んでいるだけ、音にしているだけだな。自分でもびっくりするくらい、毎度違う、その違いが、よーーくわかるのです!

一番聴きやすいのは、滑舌や、技術的なことよりも、しっかり聞かせよう、聞き手の存在を明確に想像しているか、この物語を堪能し届けようとしているか。最終的には「心」。その時、どんな精神状態で、どのように、誰にこの物語を届けようか、その届け先の人はどんな状態か。寝ているのか、座っているのか、真摯に届け先と、物語と向き合えているか、そこに尽きるなと、感じます。

今は、SNSなどでリアル配信も可能ですので、誰かに聞かせる録音、そして時間を置いて聞いてみる。一度試してみてください。

ちなみに、昔の読みを聞いて、下手だな!と思ったら、それは自分が成長した証だと思うことにしています!

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