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ナレーションを極める1 「産後の発声滑舌練習」

ナレーターの熊崎友香です。
2歳と4歳の子供を育てながら、テレビ東京ワールドビジネスサテライトなどでナレーションをしています。

出産すると声が変わるのか?

たまに聞かれる質問ですが、体の変化で声自体が変わる感覚は、ありませんでした。

ただ、「心持ち」がまるで変わり、それは声の雰囲気に影響していたと思います。

出産前、WBSのナレーションをするまでは、12年間、NHKのお昼前の情報番組などで、リポーター兼ディレクターとして働いていました。

自分でネタを探し、取材をして、構成表を作り、カメラマンと音声さん、ドライバーさんとロケをして、編集さんと一緒に編集。テロップを発注し、スタジオに出演してプレゼンまで。月に1〜2本、15分くらいの企画を作っていました。

この時、自分以外のスタッフは、ほぼ男性。年上の方が多い中、自分が全て仕切らねばならず、誰よりも早くヒールでカツカツ歩き、各方面に指示を出し、誰よりも早くランチを食べ終えて、仕事に戻る。まさに働く女!いえ、自分で言うのもなんですが、男前!という感じでした。

その延長でナレーションも読んでいたので、キリッとクールにカッコよく、低めの声でニュースを読んでいた。はず。

なのですが、

産後、脳はトロトロに溶けて、ふにゃふにゃの新生児の隣で、スッピンでパジャマで夜も昼も過ごすうち、そういった鎧いが剥がれ、ふわふわ、ゆるゆるのトーンになってしまった(あくまで自分の中の感覚で、誰かに指摘されたことはない)危機感がありました。

自分の命より明確に大切なものができ、右も左も分からない新生児のお世話を、髪の毛を振り乱しながら格闘しつつ、急に前のように、綺麗な服を着て、化粧をしカツカツ歩き、キリッとした気持ちでニュースを読む。という、気持ちのスイッチの切り替えが、難しかったのです。

そして、産前に取り組んでいた色んなこと、マネージャーさんと飲みに行ったり、事務所のレッスンに参加したり、舞台をひたすら観たり、がほぼできなくなったことに、焦りを感じていました。孤独でした。

他の全力で時間と労力を注いで努力しているナレーターさん達と、同じ土俵で、声の表現が、できるのだろうか?どうしたら良いのか。悶々と考え、

せめて産前から取り組んでいた中でも、「発声練習と滑舌」だけは、しっかり取り組もうと決めました。

ある時は、皿を洗いながら、ある時は化粧をしながら、あるときは授乳しながら、おむつを変えながら、ルーティンを行い、野球選手でいうところのアップのようなイメージで、徐々に体を目覚め、気持ちを作り、切り替えて、収録に向けさぁ出発!

そんな風に過ごしています。

以下の二つの本を使っています。

(2011年頃、俳協に入った当時に探していたので、古く、いまは中古しかないものもあるようです。他にも良い本があるかもしれません。あくまで参考に)

1 発声練習 15分ほど

青 拓美
人生がうまくいかない人は声で損をしている (レッスンCD付き)

新刊は売り切れ、、、


https://product.rakuten.co.jp/product/-/3f07407e10998281e2cf85578cc219bb/

Amazon中古ならありそうです。Kindleは音声ガイドがないですね。。。

https://amzn.to/2LS7kzX

こちらのCDは、7日間で声をよくする発声練習法が入っています。1日ずつ、先生の指示に合わせて声を出していきます。が、私が使っているのは最後のまとめ日の部分のみ。

携帯に入れておき、音楽を聴くように流して、化粧をしたり食器を洗ったりしながら、とにかく指示通りに声を出すだけ。何も考えず、アップにちょうど良いです。15分ほどで終わります。

また、私は声が篭りがちなのですが、これをしてから行くと、今日は篭ってない!と感じることが多く、短時間で効き目を感じています。

2 滑舌練習 10分から30分ほど

松涛アクターズギムナジウム
基礎から始める声優トレーニングブック

https://books.rakuten.co.jp/rb/1705887/

滑舌の題材はリポーター時代から多々ありましたが、どれも飽きて長続きしませんでした。

これには、姿勢や、口の中の下の練習、台詞、、、練習方法が満載です。滑舌練習の原稿も、とにかく量が多い!ので、基本的にあ〜わ、と濁音などの一連をやり、余力がある日は、他のこともしてみたり、スタジオに持って行き、待ち時間中に、未開拓のページを試してみたりしていました。

このほか、仕事前の在宅時間には、テレビのニュースをみて、ナレーションを真似して繰り返したり、新聞の社説を初見で読んだりしています。必ず読むだろうニュースは、固有名詞やアクセントも確認します。

ちなみに、出産前より悪くなった、と言われたことはおかげさまでありません。むしろ、「包容力や、深み、優しさが出ていい感じだよ。」と褒めていただけることもあり、人間として一皮剥けたのかもしれないと、嬉しく思っています。

よろしければ参考にしてくださいね!

#ナレーター

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#滑舌練習

#産後

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