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カンニングする教師たちの意識ってなに?

中国人日本語教師に日本語の教え方を教える仕事をしています。

教授法などを教えているときは問題ないのですが、演習になると珍事件がおきまくります。

例えば作文を書くという課題をだしました。主題は「地球環境を守るためにわたしにできること」でした。

25人ほどの教師の作文を確認したのですが、間違いなくオリジナルだと思えた作文は4つだけで、他はネットからパクってきたと思われる内容でした。

ほとんどの教師は「経済の発展に伴って」もしくは「社会の発展に伴って」という言葉ではじめ、続いて「環境問題は厳しくなっています」と続きます。

さらに「わたしたちの身元からはじめよう」という言葉を使った教師は5名。「南極と北極の氷が溶けて水位があがってしまった」と書いた教師も5人。「プラスチックバックをやめて自分のカバンを持ちます」と書いた教師も5名。

どうしてこういうことが生じているかというと、ネットに作文があり、その作文に上述の内容が含まれていて、それをパクって(参考にして)書いたからだと思われます。

剽窃チェッカーなどで確認すればよいのでしょうが、正直面倒臭いので似ている表現を使っている教師には「オリジナリティ」にかけると評価して返しました。

どうして教師がカンニングするのか?

そもそも教師がカンニングする理由がわかりません。

カンニングのスキルを自分の学生たちに教えるつもりなのでしょうか?またその場しのぎの方法で問題を処理すれば良いと思っているのでしょうか?

恐らく面子と目先の利益の両方を満たすためにカンニングするのだろうと思います。わたしからすると「全然ダメ」な状況ですが、本人たちは真剣そのものです。

結果がすべてで、過程はさほど評価されませんのでカンニングしようがなんだろうが良い作文を提出すればよいと考えているだろうと思います。

学校側の対応はというと・・・

学校から各教員に出されたフィードバックは「上周试卷有个别老师提交的作文似乎出现网上检索参照的现象。请慎重对待考试。本周试卷及今后做试卷,不应出现此类情况。请一定一定注意!!」という内容でした。

簡単に言いますと「ネットを参照して書いたと思われる作文がありましたので、もっと真面目に取り組むように。今後こういうことがないように、注意してください」と言っています。

いや、注意してくださいじゃなくて、カンニングするようなクズは退場してもらいます(婉曲表現)って言って欲しいところです。

相当に腰が引けています。

このあたりも追い詰めない。つまり面子は潰さないというさじ加減が効いているように思います。

◇◇◇

この25枚の作文を採点するのに、わたしは残業しました。

残業の給料も悪くないので、コスト的には美味しいのですが、気持ち的には最悪です。家族との時間を削ってカンニングした面白くもない作文を採点し続けるのはうんざりです。

わたしはどんなに低レベルの作文が提出されても𠮟ったり不機嫌になったりはしません。良いところを探し、コメントし提案するだけです。

ですから今回教師がカンニングをしたのは誰かから怒られるのが怖いというのではなく、ただ単にこの課題をやり過ごすためだったのだろうと思います。

ここが改善できない限り、伸びていくことはないのかなと思います。

これが競合他社のお話しであれば笑い話で済むのですが、身内の話なので今後どうするか悩んでいます。

コツコツと意識改革をしていくしかないのでしょう。今回の作文で誤用かつカンニングした結果書かれた「わたしたちの身元からはじめよう」(身近なところからはじめよう)の精神で頑張ります。

なんか、ため息がとまらない。

ぜひぜひ、サポートをお願いします。現在日本円での収入がなく、いただいたものは日本語教材や資料の購入にあてます。本当にありがとうございます。