知識を共有することを恐れる中国人日本語教師の不思議・・・
どんな仕事にもノウハウがあります。
どうしてもうまくいかないことがあって、プロにお願いするといとも簡単に解決できるのをみて驚くのですが、それはノウハウと経験がなせる業です。それに人は技術料を支払うわけです。
そしてわたしは中国人の日本語教師に「ノウハウ」を教える仕事をしています。また中国人の高校生にどうやったら中国の大学入試「高考」で高得点を取れるのか「ノウハウ」を教える仕事をしています。それでお給料を頂いています。
この仕事はとても地味なのですが、わたしの性格にあっているらしく楽しみながら仕事をこなしています。
ただ仕事量が膨大なので、他のスタッフと協力して仕事を進めていきたいのですが、ここで問題が生じます。それは中国人スタッフのほとんどがノウハウを他の人に教えるのを嫌がるってことです。
どうして中国人日本語教師はノウハウを提供したくないのか?
すべての中国人日本語教師がそうだとはいいませんが、少なくともわたしの知り合った数十人の日本語教師の皆さんは自分のノウハウを他の人に教えたがりません。
それどころか、自分がわからないことを他の人に聞くのも嫌なようです。
大陸生まれの大陸育ちのはずなのに島国根性丸出しです。他の人が楽をするのが嫌だし、自分だけが苦労するのが嫌だってはっきり言う先生もいます。
もちろん自分が作った教案や教材を無条件で他の人に提供するのにわたしも賛成できませんが、そもそも他の人のために教案を作る部門で働いていて給料をもらっているにもかかわらず、いざ完成物を提出するようにいうと拒むってどういうことって思います。
・・・とにかく他の人が楽になるのが嫌い
基本的な考え方は間違った平等主義ではないかなって感じます。
自分も苦労したんだから、あの人も苦労すべきだって考え方です。もちろん苦労して何かを習得する過程は尊いと思いますが、しなくてもよい苦労は避けるべきです。
例えが悪いですが、ゲームに課金すると強力なアイテムやキャラクターをゲットして有利にゲームを進めることができますよね。
他の人にノウハウを教えるって課金アイテムを配るのに似ていて、結果的に受け取った教師も楽になる、学生も楽に学べる、そして運営も利益を得られてみんなハッピーなんだけど、なぜか課金アイテムを使うのは外道、もしくはそういったアイテムを配るのは不公平と考える人がいます。
日本語学校を運営するものとして、教師たちに強力なアイテムをバンバン配り、仕事をしていただいてその上がりでわたしたちの待遇も改善されていくって思うのですが、自分の時にはこんな教案や教材がなかったから腹がたつとか、自分が作ったんだから他の人にあげたくないって言われるとなんだかな〜って思います。
・・・疑問があっても助けを借りたくない
これはノウハウを提供したくないとは方向性が逆ですが、困ったことがあってもギリギリまで相談にくることはありません。
当然日本語教授法や文法などの説明は日本語で調べる方が早いですし、また内容も豊富です。
わたしの部屋にはうんざりするくらい本がありますし、それこそノウハウもあります。しかも同僚ですから相談するコストは無料です。
しかし連絡しては来ませんし、場合によっては質問するくらいなら適当に教える方がましくらいに考えています。
中国人の面子の問題なのか?本当に「わからないんです」とはいいません。互いに勉強ですからね〜と声をかけても反応は薄く、確認テストを実施して問題点が明らかになっても間違いを認めないことがあります。
頭の中のモノは盗めないという考え方
当然、習得して頭の中に収めたモノは一生自分のモノです。ですから努力して習得すべきだと思います。
でもノウハウは使ってこそ光るわけで、わたしとしては教材や教案はどんどん提供して、授業で使ってもらい、経験を積んでいってほしいと思っています。しかしチームスタッフはそれは無駄使いであり、パクられるリスクがあるのでやめておこうって考えるわけです。
ノウハウを知っているだけではダメなんですよね。
知った上でどう使うかはそれぞれの教員の経験がものをいいます。ですからノウハウを得るところに時間を使うのではなくて、経験を積むところに時間を使って欲しいんです。でもそれを理解できる中国人同僚はほぼいません。
つまりノウハウは渡してしまっていいんです。それをどう使うかという経験値こそが他の人が欲しいと思っても盗むことができないモノになります。ここを理解して欲しいなって思います。
すっごい意識が高い人もいるがレアケース
コツコツと努力を重ね、積み上げていき、それを惜しみなく提供するタイプの知人もいますが、そういった人でも自分と家族を守ることがもっとも優先で、それ以外のことに関心がない、もしくはあっさりと他人を切り捨てる人がほとんどのように思います。他の人を助けようという気持ちは仕事であってもありません。
ただ自分の大切だと思うモノを守ろうとするのは正しいと思うし、立派だと思うので、仕事に対する価値観の問題なのでしょう。
どちらが良いとか悪いとかいう問題ではなくて、ただ不思議に思ったってお話しでした。なんだか最後になって落ちがなくてすいません。
ぜひぜひ、サポートをお願いします。現在日本円での収入がなく、いただいたものは日本語教材や資料の購入にあてます。本当にありがとうございます。