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中国人にアドバイスを求めすぎて切れられたSくんのお話(メンツに関するライフハック)

昨日はメンツについて書きました。

中国人にとってメンツは影響力なので、彼らの思うメンツは強くなったり弱くなったりします。

メンツを損なうというのは、相手の所属するコミュニティのなかで発言力が弱ること、つまり仲間から軽く見られることです。

また存在感があり、発言が重く受け止められる状態をメンツがあると言います。それでコミュニティからの支持を得るためにあの手この手で努力しますし、不必要に相手のミスを指摘しないというのが中国人のライフハックです。

さて、2007年に中国語スクールに参加したとき、講師から中国人との異文化コミュニケーションについて幾らか提案がありました。

ある講師は「中国人にとって命より金、でも金より大事なのはメンツです。大勢のいる前で相手のことを𠮟ったりするのはもちろん、あなたが特定の人のことを悪く思っていることすら匂わせないほうがいいでしょう」と言ってました。

このアドバイスをその通りだなと思ってから16年が経つというのに、未だに会議とかで中国人同僚のミスを指摘してしまいマズい事態を引き起こすことがあります。これは、わたしの個性が引き起こしている問題ですので何とか改善したいと思ってます。

日本人だって、いつも他人のミスを指摘する人と一緒に仕事したいと思いません。わたしだってそうです。

さて、わたしが参加した中国語スクールで、中国語の朗読をするという授業がありました。わたしは発音が苦手で嫌で嫌でたまらない授業でしたが、ある同級生たちは違いました。

Sくんとしましょう。彼は自分の中国語に相当な自信があったらしく、ご機嫌で朗々と中国語を読み上げます。

わたしは他人の中国語の善し悪しがわからなかったので、彼の中国語がどうだったか判断できませんでしたが、自信たっぷりな態度には感心しました。

さて授業終了後、彼は授業を見学していた中国人Gさんに、自分の朗読について感想を求めました。Gさんは「良かったよ〜。引き続き頑張って」と笑ってました。

Sくんは、Gさんのコメントを当然のように受け止めて「わたしも頑張りたいと思っています。改善できる点を教えてください」とGさんに言います。

Gさんは「改善点なんて言えないよ〜」と言いますが、Sくんは諦めず「そんなことを言わないで、是非アドバイスしてください」と言います。

このやり取りが数回繰り返されたあと、Gさんは突然表情を変えて「改善点なんて指摘できないっていってるでしょ。だって全部間違ってるんだもの。でも初心者にしては良い感じだったので良かったっていっただけ。引き続き頑張ってね」と言って立ち去ってしまいました。

Sくんは茫然としていました。

これがまさに中国的メンツを守るライフハックです。

GさんはSくんの中国語が「ダメ」なことをわかっていましたが、相手が頑張っていること。また友人の関係者であることを考えて褒めました。

ですから、ここでSくんが取るべきだったのは空気を読んで相手のメンツを立てることだったのです。

ただ「Gさんに褒めて頂いて嬉しいです。今後とも精進します」と言えば、人々はGさんは相手の気持ちがわかるよい人だなと評価し、Sくんも、中国語はまだまだだけどヤル気のある学生だと思われたはずです。

しかし、残炎ながらSくんは空気を読めず、Gさんに言わなくてもよいことを言わせてしまい、自分もダメな奴というレッテルを貼られてしまいました。また中国語能力がまだまだであることも明らかにされてしまいました。

そんなわけで、中国人と楽しく暮らすために、褒めるべき所を探し褒める。相手が褒めてくれたら「ありがとう」と言う。これが正しい方法だと思います。

誰かが褒めてくれたとき謙遜しすぎたり、Sくんのように向上心を見せすぎたりすると場がしらけてしまいます。

ただ、ここまで書いてきて思うに、日本でも褒められたらありがとうって言う人がいます。そして、自分はそういう人を見て素敵だと思うので、これは国籍や文化を問わず好ましい物として受け入れられる態度なのかもしれません。

もしくは、わたしが中国にかなり影響されてしまい、そんな風に感じるのかもしれません。いずれにしてもよく人を褒める。また褒められたら嬉しいと答える。そんな態度を身につけたいと思います。

さて、この note を香港国際空港のカフェテリアで書いています。フライトまで時間がありますが、チェックインカウンターで搭乗口はとっても遠いよと言われたので、そろそろ移動します。日本到着まであと5時間です。

今日も最後まで読んでくれてありがとう。また明日。

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