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中国のiPhone工場から逃げ出した人を見て、東日本大震災の時に西へ西へと移動した在日中国人を思い出したお話

中国河南省の省都、鄭州市にあるフォックスコンの工場から大勢の人が逃げ出す様子が報道されています。フォックスコンはiPhoneの製造で有名な企業で、鄭州市にある工場には30万人以上の人がiPhoneの製造に携わっているようです。

2020年のこの記事では35万人の雇用について言及しています。ひとつの工場で地方都市と同じくらいの規模であることを考えると、工場内でコロナが発生したときの混乱が想像できます。

従業員宿舎が封鎖されただけではなく、食堂が使えなくなりライフラインが途絶え、命の危険を感じた人が大勢いたようです。企業側としても打つ手なしの状況で、結局は「従業員が工場から出て行く」のも仕方がないという判断だったのでしょう。

逃げていく人たちの様子をみても、連れ戻されるのを恐れている様子ではありません。

また当局も、フォックスコンから帰ってきた人々に対して、自宅に戻る前に当局に報告するようにと言うにとどめています。

今までだと、濃厚接触者だったり、他の地域から移動してきたことがわかると、健康コードを赤や黄色にして、自由を奪うというゼロ・コロナ的なやりかたでしたが、自己申告とは随分と穏やかな方法をとることにしたものです。

歩いて自宅まで帰れる人々ですから、風邪や肺炎の症状はなく、健康な人たちだったのでしょう。本当に体調が悪かったり、陽性である人であれば工場から動くことができないでしょうから、その時点で仕分けができているとも言えそうです。

でも、無症状の人もいるでしょうから、今後は無症状患者から感染した人々がどう増えるかに注目が移るのではと思います。

さて、この報道を見ていて思い出したのが東日本大震災のときのことです。今から11年前の2011年3月11日に東北地方で地震がおき、福島にある原発が影響を受けました。

在日中国人たちと親しくしていたので、彼らの気持ちを聞く機会がありました。興味深いと思ったのが、皆が一応に西を目指して逃げようとしたことです。

つまり福島にいた中国人は東京に、東京にいた人は静岡や愛知県に、愛知県にいた人は大阪へ、大阪へいた人は広島や福岡へ。そして福岡へいた人は中国へ帰国しました。

正直、意味分からんなと思いました。

もちろん放射能の影響を恐れる気持ちはわかります。しかし、放射性物質の影響の及ぶ範囲や期間は思っているよりも狭く、そして短いものです。

もちろん福島に住んでいる人が、東京へ引っ越したいという気持ちは大変良くわかりますし、自分もそうしたかもしれません。

しかし、愛知から大阪とか、大阪から福岡とかへの脱出はまったく意味がわかりません。リスクを考えると愛知も大阪も福岡も「安全」です。それでも彼らは少しでも福島から離れたいと思ったのです。

西から逃げてきた中国人が、自分たちの住む町に来たことが恐ろしかったのかもしれません。押し出されるように西へ西へと移動していきました。

もしかすると、今回も同じような連鎖が生じるかもしれません。

フォックスコンの工場から逃げたいと思った人たちの気持ちは良くわかります。工場内のライフラインは機能しておらず、命の危険を感じたことでしょう。逃げられる内に逃げようとするのは当然だと思います。

しかし、今後起きそうなこととして、こういうニュースを聞いて、想定外の反応をする人たちが現れるのではと感じてます。

10月25日の note に次のようなことを書きました。

“Aさんは「高齢者のことよりも、地方で生活する嘘や噂を信じる人を恐れてるのでゼロ・コロナ政策が続いているんだと思う」と言いだします。 詳しくお話しを聞くと、地方ではコロナウィルスに感染すると、絶対に死ぬと思い込んでいる人や、良くわからない占いやお祓いのようなものを信じている人がたくさんいるそうです。”

コロナのみならず、医療や医学に対する知識が不足している人がいるために、なにかのことで火がつくと、思いも寄らない反応をする人が大勢いることをAさんは心配していました。

西へ西へと逃げ出した在日中国人たちのことを考えると、中国の内陸や地方都市で同様のことが起きかねないと思います。何が起きるかまでは予測できませんが、このことがきっかけにAさんが心配していたようなことが起きるかもしれません。

そういえば、武漢ウィルスなんて言っていたころ、農村では自警団のようなものを作って勝手に村の入り口を封鎖した人々のことなどが報道されていました。

白服が突然やってきて、マンションが封鎖されるのも嫌ですが、人民が興奮して良くわからない組織をつくり行動し出す方が100倍恐ろしいです。

そんなことが起きないと良いけどと思うとともに、大都市に住む中国人の根底にも同じような衝動があるのかもと思うと、油断できないなという気持ちもわいてきました。

今日も最後まで読んでくれてありがとう。また明日。

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