中国人のボスと面談して「ご恩と奉公」の関係を思い出したお話し

わたしは中国の現地企業に雇われている日本語教師です。

給料は日本の専任日本語教師と同じレベルですが、週4日しか働いていませんので、待遇はかなり良い。もしくは超ホワイト企業に勤めているといえます。

さて昨日、中国人ボスが長期出張から帰ってきました。

今回の高考(中国の大学入試)も終わり、関係各所にご挨拶したり、また来年の契約について決めてきたのでしょう。かなり飲まされたのか顔色も悪く疲れているようでした。

面談の主な内容は「わたし」のこと。

実は仕事をやり尽くしてしまい、案件がなくなってしまいました。正直に言うと、この1ヶ月ほどは暇を持て余しており、これは中国的な肩たたき、つまり少しずつ仕事を絞って、さようならのパターンなのかなと考えてました。

でも仕事を失っても構わないと思っていました。別にこの会社での仕事がなくなったからといってすぐに路頭に迷うわけではありません。

経済的底辺に所属しているかもしれませんが、借金なし・持ち家ありのわたしたち。細く長く暮らすのは得意ですし、収入が少ないのも経験済みです。

むしろ仕事がなくなって日本に帰ることになったら、妻氏は大学院へ、わたしは大学に3年次編入しようかと考えていたくらいです。

さて、ボスとの面談で、仕事がないのでどうしましょう?と尋ねました。

すると、ボスは「待遇は今まで通りで」「今は学期末で具体的な仕事がないので待機」「時間を自由に使って、来年受験する高校生のためになることをしてください」と言われました。

つまり、教育関連のことに自由に取り組んでよい。給料はしっかり支給しますということです。

この面談中に「ご恩と奉公」の関係を思い出しました。

「ご恩と奉公」とは?

「ご恩と奉公」とは鎌倉時代以降、武士の社会に存在した概念です。主人は従者に領地を与える。従者は主人の命令に従い命がけで戦うという関係のことです。

これは互恵関係であり、主人も従者もそれぞれの責任を果たすことが求められていました。今は主従関係ではなくて、雇用関係ですね。

ボスはわたしを抱え込むことに決めて、毎月お給料を支払ってくれます。それに対してわたしは会社のメリットに応えなければならないってことです。

なんだ、そんなこと当たり前ではないかと思われるかもしれません。

しかし、中国の企業においてレイオフは当たり前です。弊社でも即刻首になった例を何度も見ています。例えば今日は6月29日です。昨日まで普通に働いていた人が6月30日付けで解雇されることもあります。

役に立たないと思われれば、今までの貢献がどうであれ首になります。貢献し続けていたとしも、主人の気に障れば破門になるわけです。

そういう関係ですので、通常仕事がない状態で人を抱え込むようなことはありません。先日書いた通り、経営者の中には約束していた給料を支払わなくても良いと考える人もいるくらいです。

本来の意味での御用学者になった気分

御用学者とは、権力者に雇われている学者・専門家という意味です。しかしそれが転じて、権力者に都合の良いことをいう学者という意味になりました。

わたしが専門としてるのは日本語です。ですから、わたしが日本語に関して意見をしても、それはボスや会社に迎合することにはならないでしょう。

会社がわたしの研究や知識の追求に経済的な支えを与えてくれる。それに対してわたしは知識を使い、会社の業績の鍵である教員の能力向上を目指す。これが求められていることなんかな?なんて考えてます。

そんなわけで、環境を準備してくれる会社のご恩に答えつつ、命令が下ればいつでもそれに応える準備をしとかなきゃって思いました。

◇◇◇

もしかして仕事を失うかなと考えていたわたしですが、所属を変えることなく、中国での生活を続けることになりそうです。

ただ自分のなかにある「7年に1度」リセットしたくなる衝動が、心の中で渦巻いているのも感じます。

どのようにその気持ちを処理するのか・・・70歳まで7年周期で考えると、あと3クールしか残されていません。しっかり考えて決めないとって思ってます。

今日も最後まで読んでくれてありがとう。また明日。

ぜひぜひ、サポートをお願いします。現在日本円での収入がなく、いただいたものは日本語教材や資料の購入にあてます。本当にありがとうございます。