カメラに捉えられた真実:中国IT企業での傘事件
作り話としてお楽しみください。もちろんLさんやMさんはすべて仮名です。
とあるIT企業で起きた事件についてZさんが話してくれました。
Lさんの身の上に起きた不幸な出来事のお話です。
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最近雨ばかりだし、仕事も忙しいしと落ち込み気味のLさんはエレベーターを待っています。
ようやく来たエレベーターには人が一杯。でもなんとか隙間を見つけて乗り込みます。
運良くエレベーターの角に滑り込めたので、壁に身体を委ねて少しでも疲れを癒やそうとします。そしてコーナーにお気に入りの傘を置きました。
どのフロアでも人の出入りがあり、なかなか地上まで辿り着けません。
でもLさんの気分は上々。だって人の動きに影響を受けないコーナーをゲットしています。
こんなちょっとした幸せに癒やされるなんて、疲れすぎだろうとも思いましたが気にしないことにします。
そしてロビーに到着。予約していたタクシーももう来ています。今日はいつもよりも早めに帰宅できそうです。
タクシーに滑り込み自宅へ向かう途中、雨が酷くなってきます。濡れずにタクシーに乗れるなんて、やっぱり今日はついていると思った瞬間、傘がないことに気がつきます。
その傘は、母から送られた大切なもの。絶対に失うわけにはいきません。それで運転手に事情を話し、オフィスに戻ることに。
エレベーターホールに戻り、傘がないかを確認しますがありません。誰かが受付に届けてくれてないかと思い、受付で尋ねますが届いてないと言われてしまいます。
すっかり元気をなくしたLさんに、受付の人は大丈夫ですよ。ここのセキュリティは国内でも最高レベルです。すぐに傘がどこにあるか追跡しますねと調査を始めます。
そして、アッという間にLさんの傘の所在がわかります。
同じIT企業で働くMさんが持ち去ったようです。
その様子がカメラに捉えられています。そしてMさんはLさんの傘を持ってオフィスから出て行く様子がカメラに写っています。
それで、Mさんに連絡をすることに。
Lさんは「忘れてしまった傘を預かってくれてありがとう。受けとりたいです」と連絡します。
するとMさんは「この傘は、わたしのものです。拾ったものはありません。返す理由はありません」と言います。
さて、困ったことになりました。
Lさんは自分では解決できないと思い、オフィスの管理部門と上司に相談します。映像によればMさんがLさんの傘を持ち去ったことは間違いありません。
しかし、Mさんはかたくなで、絶対にこの傘は自分のものだと言い張ります。それで会社側は仕方なく、いつごろ購入したのか、どこで購入したのかを言うように言います。
ご存じのように、中国は電子決済が主流です。買い物の履歴なんて調べ放題です。
すると、Mさんは個人情報なので提示したくないと言い張ります。そして、この辺りから意味不明の説明を繰り返すようになり手がつけられません。
Mさんが傘を持ち去ったことは事実ですが、今Mさんの手元にある傘が、Lさんの忘れた傘であることを証明することが難しく、どのように決着をつけるのか気になるんだよねと、Zさんは言います。
ちなみにZさんはLさんたちと同じ企業に勤務するエンジニアです。
さて、このトラブルが生じてすぐにほぼ全社員が起きたことを知ることになりました。もちろん、どの社員かは伏せられていますが、詳細については公式に知らされたそうです。
Zさんは「IT企業に勤めておきながら、セキュリティが万全だと思わないのが理解できない。単に傘があったから持って帰ったと言えば済む話をどうして自分の傘だと言い張ったんだろう」と首をかしげます。
さらに、もし盗んでしまったのだとしてもゴメンねで済む話だったのに、どうして問題を大きくしたのかも理解できないとも言います。
まぁ、これ作り話なんですけどね。
ただ、不思議なのは超大手IT企業に採用されたと言うことは、Mさんは高学歴で能力も高いのは間違いないです。
また、過酷な労働にも耐えられるタフさもあります。
そんな人が、たかだか傘のことで、これだけ意固地になってしまうというのが興味深いです。
もちろん、日本でもエリートと呼ばれる人が、トンでも犯罪で失脚することがあります。それで、中国人だからアホなことをしてとは思いません。
ただ、どんな人にも闇があるなと思ったり、カメラですべてが見られているからと言って、トラブルから自由になれるってわけでもないんだなって思ったりしました。
皆さんも、こんなトラブルに直面したことがありますか?ありましたらコメント欄などで教えてください。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございます。
また明日〜
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