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ビジネス中国語と聞くと思い出す話

とある中国の大都市で日本企業向けの不動産・内装工事の営業や施工を請け負う企業で働く日本人がいます。ここではB氏としておきます。

そのB氏が話してくれた出来事です。

お約束ですが、これは事実に基づいた物語です。
現存する個人や企業とは一切関係がありません。

ただほぼ事実です。

とある物件に目星を付けて、日本企業も乗り気で、あとは改装に伴う費用の見積もりをだし、細かい調整をおこなう段階まで進んでいました。

B氏は中国語も中国ビジネスにも経験があり、ここまで非常にスムーズに進んでいましたが、問題は必要な図面がすべてそろっていなかったことでした。

B氏は内装デザインのために必要な図面を中国不動産企業担当者Z氏に請求していましたが・・・

彼の答えは「わかりました」そして「忘れました」、加えて「次回は必ず持ってきます」で、しかもこれを3回繰り返しました。

B氏はさすがに3回目はないな〜って思い、どうしようかなと考えていると・・・

同行していた日本企業担当者T氏が突然中国語で・・・

「お前、なめてんのか?仕事をどう考えているんだ!今すぐ持ってこい!10分で持ってこい。持ってこれないなら上司を連れてこい。お前んとこは詐欺師の集まりなのか?」と凄みました。

B氏はこの日本企業の担当者が中国を話せることをまったく知らなかったので相当にビックリしたそうです。

さらにかわいそうな中国不動産業者のZ氏、泣いてしまい、その後上司と一緒に図面をもって戻ってきたそうです。必要な時間は30分・・・

日本企業担当者T氏は、彼らが地図を持って帰って来るのに気づくと、笑顔で、しかも日本語で「できるんじゃ〜ん。大きな声出させるなよ〜」っておっしゃったそうです。

日本企業のT氏が「中国語ができることを黙っていたこと」つまり今までの中国語のやりとりはすべて把握されていたことを、B氏はとっても恐ろしく思ったそうです。

さらに聞かれて不味いことを一切話さなかったことにホッとしたそうです。まあそれ以前に相手側企業がダメダメだったのですが・・・

そしてT氏が凄むときの中国語がとても流暢なことにも驚いたそうです。

◇◇◇

さて、文法への理解や単語力があれば、コミュニケーションがとれると思われているかもしれませんが、そうでもありません。

ことばを発して、相手も何が話されたかを理解していても行動しない場合があります。

中国企業のZ氏は図面が必要な事もわかっていましたし、図面をどうやって手配するかもしっていたはずです。しかしまったく行動しませんでした。

つまり「ことば」のやりとりはできていましたが、コミュニケーションの目的は達成できていなかったわけです。

対して日本企業のT氏の恫喝はZ氏を動かすという点で効果的でした。

もちろんすべての状況でこの方法が通用するとは思いません。

しかし中国におけるビジネス中国語で、場合によってはこの方法が必要なのだと思います。そして、どの状況でどの方法を使うかを決めることは中国語の基本的能力よりも大事です。

今、ビジネス日本語の教材を作っていますので、この辺りに注意しながら完成させたいなと思います。

ぜひぜひ、サポートをお願いします。現在日本円での収入がなく、いただいたものは日本語教材や資料の購入にあてます。本当にありがとうございます。