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中国の日本語学習者は自動詞と他動詞が苦手な理由と対策

今日、授業の合間にTwitterを見ていたら面白そうな書き込みが。

確かに、そもそも動詞が違うのに活用の違いと思いんでしまうと誤用の原因になるなと考えていましたら・・・

意見を求められていました。

こんな光栄なことはありませんので、8コマ授業した後の疲れ切った脳細胞にマグナムを注入しつつ、140文字では書ききれなかった自分の意見をまとめておきます。ちなみにマグナムとは世界中で売られているアイスクリームです。

結論から言うと「自動詞」「他動詞」は別の動詞だと気づくと楽になるという仮説は、わたしの理解と完璧に合致します。

しかし活用の違いと自他の違いはジャンルの違う問題だと思います。この件をかき出すと切りがないので、今回は自他で動詞が違うことだけまとめます。

どうして中国語話者は日本語の自動詞他動詞が苦手なのか?

もちろん中国語にも自動詞と他動詞はあります。しかしほとんどの動詞は他動詞としても自動詞としても使えます。つまり中国語では自他の違いを動詞の違いで判断していないのです。

例文で考えましょう。

・门开了。(自動詞)ドアが開いた。
・他开了门。(他動詞)彼はドアを開けた。

動詞はともに「开」ですが、動詞の後に「门」(目的語)がある場合、他動詞となります。つまり動詞の「开」の自他は、目的語の有無で判断することになります。

そして大事なことですが、中国人は「开」を使うときに、自他の違いなんて意識していません。←ここ大事。

ですから、まさか日本語に「開く」と「開ける」という2種類の動詞が、それぞれ同じ現象を指しているにも関わらず、状況により使い分けられているとは思いません。

わたしが接した中国人学習者のほとんどが「开」に適応する動詞が「開く」と「開ける」であることに気がついていませんでした。そして説明されると意味がわからない。もしくはとても複雑だといいます。

当たり前です。中国語にそういう概念がないのですから。

ですから華村さんが指摘されるように、自動詞と他動詞の違いが同じ動詞の活用の違いだと考える学習者はも実際にいると思います。そして、その人はかなり思考力のある人でしょう。しかし中国語を基準に日本語を考えているのが残念なところです。

気づくべきなのは、日本語には、自動詞と他動詞のペアがあり、それぞれに別の動詞があるということです。全部ではありませんが・・・

さらに中国人を悩ませるのが、日本語の省略しても大丈夫問題

例えば中国語の場合、自他の区別は文型で判断します。ですから目的語を伴わない場合、自他の判別ができなくなる、もしくは文脈を読む必要があります。

しかし日本語ではそうでもありません。だって自動詞と他動詞はそもそも違う動詞なんです。述語を見れば自他を間違えることはありません。目的語がなくても主語が省略されていようとも、意味を取り違えることはありません。

目的語がない。これは中国人的には自動詞っぽい使い方です。しかし、実際は他動詞な場合があります。例文に一貫性がなくて申し訳ないのですが、例えば・・・

・食事に誘いました。(他動詞)

この場合、招待するは他動詞ですが目的語を省略できます。

・(彼女を)食事に誘いました。

しかし中国語では「彼女」に当たる「她」を省略することはできませんし、また「食事」の部分も省略できません。でも日本語なら「誘う」という言葉だけで、なんとなく意味を伝えることができます。

こういう言語間の違いがあるにもかかわらず、動詞に含まれる漢字が同じだったりするので、トラブりやすいです。

すべての日本語動詞に自他のペアがあるわけでない

さらに中国人のみならず、学習者を混乱させるのが自他のペアがある動詞もあれば、自動詞のみ他動詞のみの動詞もあり、さらに自他両方に使える動詞もあるという日本語の特徴です。

さらになぜか中国人はジャンル分けが大好きで、無意志動詞と意志動詞の区別と自動詞、他動詞の区別を混同してしまう傾向もあります。

それで、これはひとつひとつ丁寧に学ぶしか手がないと思っています。

同じ状況でも自他が違うと動詞が違うことを教える

繰り返しになりますが、日本語の中国語との相違点は、自他が違うと動詞そのものが異なる場合があるという点です。

自他のペアがある場合、主体(主語)そのものが変化するのが自動詞、主体(主語)が何か別のモノを変化させるのが他動詞と教えておけば大丈夫でしょう。

・息子が起きた(息子は自分で起きた:自動詞)
・息子を起こした(息子が起きたのは、わたしの行動の結果:他動詞)

また移動動詞以外の場合、自他の違いは意志動詞か非意志動詞かで判断すると言っても大丈夫です。非意志動詞についてはN4レベル(みんなの日本語 初級2冊目)で理解しておく必要がありますので、それほど難しい概念ではないと思います。

最終的には辛抱強く間違いを正すしかない

学習者が間違えた場合に、見過ごさず丁寧に修正を加えていくしかないのがポイントです。この際にも「自他」の違いを指摘するよりも、単に言い間違えを訂正するだけの方が効果的です。

だって、子どもの頃、言い間違えた時、自他の間違いを指摘されたりしなかったでしょう。素直な人は伸びていきます。

さて2000文字を越えてしまった、この note。疲れ切った頭で書いたので、後に大きく訂正したり、もしかすると消去しないといけないかもなんて思ったりしています。

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人に優しくがモットーです。(優しくされたい

今日も最後まで読んでくれてありがとう。また明日。

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