kumasiro

色々な事をしてきた気がしますが、文字や写真にして何も残していませんでしたので、少しずつ…

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色々な事をしてきた気がしますが、文字や写真にして何も残していませんでしたので、少しずつ書いてみようと思いました。 温泉、写真、登山、スポーツなどが中心になると思います。

最近の記事

歩いていくことにした 2

T山荘 1995年 私は真っ暗な食堂で頭にヘッドライトをつけて手紙を書いていた。 私の正面には滝ちゃんという同い年の女性が同じくライトの明かりを頼りに手紙を書いていたが、何か上の空でペンを走らせているようであった。 滝ちゃんは私が手紙を書き終えるのを待っていた。 私もそれを感じ取っていた。 真っ暗な食堂で、ヘッドライトの薄明りの中で滝ちゃんはボールペンを鼻と上唇の間に挟んだりしながら挑発的な目で私を見ていた。 私は山梨に住む恋人の愛 に手紙を書きながら、滝ちゃんの視線に興奮

    • 歩いて行くことにした①

      ギャルとは何なのだろうか? ウィキペディアで調べてみたけれど、定義が多すぎて良く分からなかった。 今 私はギャルが好きな気がする 昔 私はギャルが嫌いだった 理由なんて無かったのだと思う。 それにしても日本の夏は暑くなった。 夜になっても気持ち悪いベタベタした熱風が体にまとわりつくように吹き付けてくる。 仕事終わりに西武新宿駅に向かう道。汗が止まらない。 疲れが倍増する。 少し冷たいものでも飲んで休憩しようと入った喫茶店から歌舞伎町側を眺めると、ギャルたちが楽しそうに歩

      • 温泉の話 7 岐阜

        野麦峠の悲劇 岐阜県 塩沢温泉 野麦峠は飛騨と信濃を結ぶ古くからの峠道である。静寂に包まれた深い山あいの道であるが、明治から大正にかけては何千、何万人ともいわれる製糸工女たちがこの峠を越えた。当時、日本の富国強兵政策の支柱であった諏訪地方の生糸産業。それを支えたのは、貧しい飛騨の寒村から真冬の野麦峠を越えてきた、まだ幼顔の工女達であった。山本茂美の小説「ああ野麦峠」は、この製糸工女達の証言を基に、明治の時代を映した記録文学である。私は大学3年生の時、ゼミの課題を完成させるた

        • 温泉の話 6 伊豆

          静岡県 石部温泉 兵六地蔵露天風呂 地蔵様に見つめられながら、月夜の温泉に入る。温泉を見守るお地蔵様に、私は自分の悩みでも打ち明けたかったのだろうか?西伊豆の南、静岡県松崎町の石部温泉の近くに兵六地蔵露天風呂はある。海辺(海は見えないが)の静かな露天風呂で、地元の方のご好意により24時間無料で開放されていた。夏の日中は水着を着た若者が沢山入っていることもあるが、それ以外の季節の夜間はとても静かである。泉質はナトリウム泉ですこしヌメリがあり、お湯の温度はやや低めで、寒い日だと

        歩いていくことにした 2

          温泉の話 5

          山梨県 下部温泉  負けず嫌い 山梨県の下部温泉は、現役の湯治場である。古くは武田信玄が川中島の戦いで負った傷を癒し、少し前では石原裕次郎がスキーの怪我を、現在でも多くの力士や野球選手などが怪我の治癒に訪れるという生きた湯治場だ。私は学生の頃、同級生の明石という男とひょんなことから下部温泉の「神泉」という湯屋を訪れたことがあった。神泉は源泉館という古い湯宿の別館で、浴室は階段を下りた地下にある。地下は薄暗い岩風呂になっていて壁には神棚あり、少し不気味な感じがした。冷たさすら

          温泉の話 5

          お風呂の話 4

          富山県 ドラム缶風呂 今年も梅雨入りした。もうとっくに梅雨入りしていると思っていた。梅雨が明けると夏が来る。どうしようもない位に日差しは強くなり、空の青さはグッと濃くなって、煩いくらいに油蝉が泣く。今年はさすがに大丈夫かもしれないが、テレビから水不足のニュースが流れると、水とお風呂の大切さを知ったある出来事を思い出す。山での出来事、お風呂の思い出。  20年前、30才の春、私は富山にいた。大きな仕事を任された嬉しさから、目を爛々と輝かせて働いていた。毎朝家から会社に向かう道

          お風呂の話 4

          温泉の話 4 静岡県 下賀茂温泉

          アロエの力 カラカラカラカラ あまりにも日差しの強い露天風呂の中、その嫌な音が耳に残って離れなかった。ひどく暑かったが、私はゆっくりと温泉につかる気分ではなかったので、ただボーっと露天風呂の白い長椅子に座っていた。踵には大きな切り傷があって、その上には更に大きな絆創膏が張ってあった。まだ完全には血が止まっておらず、踵に張られた大きな絆創膏は真っ赤にそまっていた。それでも傷の具合は数時間前にくらべれば格段に良くなっていて、痛みもどんどん和らいできていた。1994年の7月16日

          温泉の話 4 静岡県 下賀茂温泉

          温泉の話 3 富山県みくりが池温泉

          びっくり風呂 富山県立山町のみくりが池温泉は、年間100万人以上の観光客が訪れる「立山黒部アルペンルート」の室堂平にあり、標高2400mに位置する日本最高所の温泉である。温泉の名前にもある「みくりが池」とは神様の台所の水であったと伝えられる神秘的な池で、水面に映る立山は大変美しい。日本最高所の温泉というと凄い山奥を想像してしまうが、アルペンルートの駅から徒歩で10分ほどの便利な場所にあるので、いつも沢山の観光客で賑わっている人気の温泉である。ちなみに日帰り入浴は800円(当

          温泉の話 3 富山県みくりが池温泉

          温泉の話 2 岐阜県栃尾温泉 荒神の湯

          大切な場所 岐阜県の北部、奥飛騨と呼ばれる地方に栃尾温泉はある。このあたり一帯は新穂高温泉郷と呼ばれる温泉地帯で、沢山の露天風呂があることで有名である。大きな露天風呂を持った旅館がいくつもあり、その間に素敵な公共の露天風呂が点在する。源泉温度が非常に高いのが特徴で、90℃を超える熱い源泉を持つ温泉が川沿いにいくつも連なっている。新穂高温泉郷の終点はロープウェイの乗車口になっており、夏場は沢山の登山客で賑わっている。ロープウェイの先は北アルプスの西穂高岳。さらに進むと奥穂高岳

          温泉の話 2 岐阜県栃尾温泉 荒神の湯

          温泉の話1 長野県 湯俣温泉

          命からがら湯俣の湯 湯股温泉は、長野県の大町市にある白濁の硫黄泉である。最寄りの駅はJR大糸線の信濃大町駅で、そこからタクシーで40分ほど走った高瀬ダムが湯股温泉の入り口だ。ここからは約12㎞の快適な散歩道をのんびりと歩いて湯股温泉を目指す。エメラルドグリーンの高瀬ダムを右手に見ながら歩いてゆくと、やがて高瀬ダムは高瀬川に変わり、対岸との距離もどんどん狭くなって、景色は広々としたダムの風景から厳しさをもったV字峡谷のそれに変わってゆく。春から夏にかけては、青々とした木々の葉

          温泉の話1 長野県 湯俣温泉