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僕の仕事、通訳。必要な英語力、職歴、選考プロセス、業務等について。

僕の仕事、通訳について。



通訳として必要とされる英語検定、職歴、海外体験等

まずは僕が通訳として採用された際の募集要項です。

①英語検定 英検1級必須
②翻訳、通訳および、何らかの英語実務経験(年数問わず)
③海外体験(特になし)

①英語検定に関しては通訳求人は英検1級、および、TOEIC900点以上というものが多いです。僕が見た通訳求人は、ほとんどが英検1級が必須でした。僕は英検1級を所持しており、これをクリアしました。

②英語実務体験に関しては、僕は英文事務を二年経験しており、その業務の中で、翻訳、通訳も含まれ、経験しており、パスしました。ですが、これも緩い方だと思います。なぜかというと、ほとんどの通訳求人が2~3年の通訳経験を必須としているからです。なので、初めて、通訳になる場合、僕が応募したような厳格な通訳経験を要しないものしか応募できません。ねらい目は、何らかの英語実務職経験のみのものです。

③海外体験。稀に、海外留学経験要という通訳求人も目にしました。しかし、たいていの通訳求人は海外体験については、あれば可。みたいな感じで、必須ではありませんでした。

面接の際、英文事務の職歴は高く評価されました。なぜなら、翻訳、通訳の仕事は、翻訳物、議事録、作成した文書等、事務処理も必要だからです。商社での経験も、入社し、役に立ちました。


転職に要した期間3か月(通訳求人応募25件目)

通訳の転職活動は英文事務として働きながら、行いました。上司、社内でも、僕が英検1級に合格したら、通訳に挑戦するということは、理解していただいていました。特に上司がご理解ある人で、英語で挑戦しろ!マサ君と、背中を押してくださっての転職活動でした。1級合格直後から、求人に応募を開始し、三か月目、ゴールデンウィークのさなか、現在の翻訳通訳会社から、面接の通知をいただきました。25件、通訳求人に応募していましたが、面接にまで至ったのは、この1件だけです。


通訳雇用されるまでの選考プロセス

・書類審査(これが通ると面接)

・一次面接

・トライアル(1200文字程度の英訳、1200程度の日英翻訳)期間3日間
一次面接後、送られる。ていねいに添削されていた。かなり専門的なものをいきなりやったので、ボロボロだった。受かったのが不思議である。

・二次面接
適性検査
英語テスト
①(簡単な筆記)
②通訳テスト(映像を見てその場でその人の言っていることを通訳

・三次面接
内定


英語での電話、面接時のチェックはありませんでした。トライアル、筆記、通訳テストはありました。適性検査は、参考書を買ってやりました。一次面接の際、英検1級の合格証明書を持参するように言われ確認がありました。

後で聞くと、僕の採用は一次面接でほぼ、決まっていたそうです。英語への並々ならぬ熱意を評価したとのことです。トライアル、英語テストは形式的にやる決まりで、僕は募集をかけた中で、応募書類を見て、一番初めに面接に呼んだとのことでした。

社長が僕の履歴書を見、僕の生い立ち(両親は健在か?中卒15歳で働き始めたそうだが、なぜそんな若年で、アパートが借りられたのか?)等の質問に自然にこたえるためには、6歳で、ママに捨てられ、児童相談所、養護施設と生きてきた過去を話すしかなく、職歴と、学歴が時系列的にごちゃ混ぜ・
・アルバイト店員15歳、建築業23歳、高卒27歳、トラック運転手、大卒35歳、配送業、英文事務46歳、という不自然な履歴について語るにはニュージーランドでの経験を話すしかなく、面接は長時間にわたっていました。「苦労したんだね。わかるよ。いい経歴じゃないか。正直に書いてくれ、話してくれてありがとう」とおっしゃってくださった社長の言葉に目が熱くなり、下を向いて、涙をごまかしていました‥。

最終的に、運よく、僕は通訳専門として雇用されました。


副通訳から開始

通訳の現場では担当する案件の現場によっては、メイン(主)通訳と、サブ(副)通訳で赴き、メインが通訳を行い、サブは議事録作成を担当する場合もあります。通訳として駆け出しの場合、僕の翻訳通訳会社ではサブ(副通訳)として現場経験を積み重ねることになります。僕は入社して、半年間は、副通訳として、現場に赴いていました。

ネイティヴ、海外育ち、海外留学体験、国際結婚、ハーフの方など、海外体験、英語での実務経験が豊かで、僕の英語力をはるかに凌駕する先輩たちの主通訳の現場に副通訳として赴き、通訳業務を目の当たりにできたことは、素晴らしかったです。


全然、英語、仕事ができない!

働き始めてみると、英検1級だ、英文事務経験だ、海外で暮らしたことがある、英語は30年以上やっている・・・程度で、務まる世界ではありませんでした。おそらく、どんな人が来ても同じです。翻訳する際の専門分野理解、書類の興し方、翻訳物のまとめ方、通訳の現場での英語・・・全く歯が立ちませんでした。仕事として慣れていくしかない、覚えていくしかないということでした。会社の方も、1,2年では到底無理ということを理解していました。通訳においては、それまで積み上げた英語、英語検定、英語実務経験はいったん、白紙になる。そこから、再スタートになっちゃうんだなと、感じました。


一人立ちと、準備期間

こうした経験を積むと、一人で、通訳の案件を任されることになります。案件に関連する専門用語、契約内容、仕様書、背景、前後関連など、各資料を読み込んで、入念に準備します。与えられる準備期間は3日~一週間程度です。その間も、やり取りのフォローを行い、書類が送られてきたりしますので、それらを翻訳したりして、文書を作りつつ、理解を深め、挑みます。

また、時に、いきなり出社した朝、急遽「今日、通訳して」と、任されることもあります。準備時間などなく、さっと、資料や前後関係に目を通すのみです。その中の専門用語も確認できません。この経験については別に書いていますが、この手の通訳は僕は大好きです。こちらの方が負荷がかかり、成長できるからです。


出張

通訳の案件によっては、地方、そして海外出張もあります。出張はすでに経験しており、おいしいものなど、いただけるのも役得です。しかし、残念ながら、僕はいまだに、海外出張に通訳で赴いたことはありません。そうした大舞台は、すでに、先に挙げた経験豊富で、英語が堪能な先輩たちが指名され、赴いています。英語技能を買われて、英語の仕事で、海外に行くというのは夢ですので、機会があれば、申し出ています。いずれ、その機会は回ってくるでしょう。外国の在日施設に赴くこともあり、それだけでも、結構外国感が味わえると思います。

おそらく、面接、および、雇用される際「海外出張は大丈夫?」と、聞かれるはずです、なので、そのことも、前もって、ご家族から、ご理解を得ておいた方がよいと思います。


通訳時間、規模、形態、場所等

通訳時間 
長くても、2時間(コア一時間)それ以上は交代で担当


規模
数人~数十人、参加の会議、商談、現場視察、展示会同行
数人~来日時エスコート
数人~数十人、遠隔会議、商談


形態
逐次/同時)
ほとんどが逐次です。


場所
自社
顧客先
レンタルスペース
ホテルの喫茶ラウンジ
現場、施設視察
展示会
外国の在日施設

圧倒的に、自社、顧客先で行われる会議での通訳が多いです。


通訳の難しいところ、問題点

通訳の際、問題が発生する原因が以下です。

専門用語、単語理解不足
案件の前後関係、背景の理解不足
聞き取れなかった(英語力不足)
集中力切れ

どんなに専門用語や、資料を読み込んでいても、僕ら通訳はその分野の英語理解のプロですが、専門家じゃありません。そのため①②は、どんなに学習し、準備万端でも、起こります。ただし、通訳の対象となる方は、専門家同士です。きちんと、内容を描写すると、それぞれの母語で専門用語や、案件の内容をたちどころに理解してくださいます。

③は恥ずかしいのですが、①②の理解不足、④も関係して、聞き取れない、理解できないことはたびたび起こります。これは専門用語以前に、英語力を拡充して対応するしかありません。

④現場視察、展示会同行、会議、商談、遠隔会議など・・多くの現場がありますが、コアなのは一時間、そのコアで話されたことが繰り返されて二時間以後は、雑談みたいな内容がほとんどです。二時間くらいが限度だと思います。僕の派遣される通訳業務においては、どんなに長くても、二時間程度です。2時間を超えると、だんだん、頭が鈍ります。それでも、気持ちだけは必死です。空回りみたいになってきます。集中力が持ちません。


通訳としての成長の仕方

英語力を常に磨く
専門用語、専門分野理解をひたすら深める
③英語好き、英語への好奇心を保つ
通訳時の音声の確認、発音、文法を入念に訂正

①~④は、先の通訳の難しさで上げたものにリンクします。それらの対処法です。①②はマストです。常に英語力を拡充し、専門分野の理解に努めます。③も大事です。通訳はやりがいは甚大で、満足度の高い仕事ですが、困難な仕事です。恥をさらしたり、うまくいかないこともありますし、通訳で雇用されたのだから、できて当たり前という重圧が来ます。それでもやれるのは③を常に保持している人生を生きているからです。④はテクニカル的に、現場から学んで、成長していく際に、重要な行為だと思います。ある意味、TOIEC、英検、IELTSでさんざんやってきたことで、同じことです。


通訳として必要なこと

①穴をあけない(必要とされた時、必ず、そこにいるだけでいい)
②英語だけができればいいというわけではない、チームワークを重視する
話し相手に興味が持てる気質(人なっこさ)
④テクノロジーも活用
する、変化を受け入れる


①穴をあけない

①は別のところでも書きましたが、通訳準備のところでお話ししたように、通訳は担当案件に対し、入念に準備しています。その彼が不在となれば、誰かが代理を担いますが、担当者ほどの案件理解度はないです。そのため、通訳には困難が生じ、ぶっちゃけ、日常会話通訳みたいな責務しか果たせません。ゆえに、通訳担当の日は、そこにいることが大事です。それが通訳としての信頼の第一歩になります。英語を任されるのが僕ら通訳です。その信頼にこたえる、穴をあけない。英語で信頼を得るというのはそういう基本的なところから始まるのです。長期、休んでしまったり、担当案件日に、病欠することが重なったりすると、大舞台から外されます。当分、副通訳しか任されなくなったりします。会社、通訳実務に同情を求めるのは正しくない。厳しいですが、それが現実です。プロフェッショナルというのはそういうことです。


②英語力があるのは当たり前、チームワークも大切

②はとても大事な点です。英語だけできればいいとか、自分の英語にプライドを持ちすぎないことです。通訳は対人の仕事です。英語だけできても、務まらないと思います。専門家に意見を聞いたり、訳出の統一見解、翻訳作業の円滑性などからも、チームワークは非常に大切です。一人でできる仕事ではないのです。英語はできる、海外に何十年も住んでいた、大学院留学もしたという先輩が、通訳現場になじめず、チームワークもできず、去っていく姿を目にしました。日常英会話が流暢だとしても、チームワーク、専門用語への勤勉性、対人スキルを上げていかないと、通訳は務まりません。海外留学まで、体験し、英語もできる先輩がなぜかでした。社内で英語が話されますが、ネイティヴにだけにしか、英語で話しかけず、寂しい感じもしました。やがて、退職してしまいました。このようにただ英語が話せる、英語がうまいだけでは務まらないのが通訳だと思います。(でも、多分、どの英語実務も同じです。英語ありきではなく、その仕事ありきで、英語はその次だからです)


翻訳業務のコツについて話していますが、翻訳、通訳業務におけるチームワークの大切さについても、解説しています。


③人に興味が持てる、人なっこさ

③は通訳は対人の仕事です。そして、相手との関係は長いフォローになる場合があります。その場合、当然、特定の相手と友好な関係を保つ方がよいに決まっています。それには相手に興味を持つ(どこの国の出身か?故郷は?好きなことは?昔何をしていた?学生の頃は?なぜ、その仕事を選んだ?(僕が通訳を選んだように)なぜ、日本にいる?日本の、母国のどこが好き?等)ことです。対象は無尽蔵にあると思います。通訳に呼ばれる際のこうした人なっこさは有利に左右すると思います。相手に顔を覚えてもらう、信頼されるということです。彼に頼むといってもらうために。


④テクノロジー、変化を受け入れる

④は簡単に言うと、柔軟でいるということです。自分の英語に変なプライドを持たず、テクノロジーに偏見を持たず、利用する姿勢です。AI機械通訳や、社内翻訳ツール、音声翻訳、録音文字おこしや、様々機能が、英語実務の世界を破壊的に変えています。いいことばかりじゃないです。最近のAI無料機械翻訳の精度はかなり高く、翻訳に関しては、今や、だれもが、僕ら翻訳を仕事とする専門家よりも、素早く、英文を理解できる時代です。そうしたものも、自身の生産性を上げるために活用する。少なくとも、「しょせん、機械。人間の通訳、翻訳・・ないし、自分の英語の方が正確」みたいな偏見、プライドは捨てて、オープンでいることです。海外経験が長く、大学院留学まで行った等の気持ちから、特に、こうしたテクノロジーを英語に活かすことに強い反感を抱く方もいます。自身の英語だけを信頼し、それのみを頼り、一日1ページ程度しか翻訳できないとか、、‥価値観は自由です。しかし、オープンにしておくことです。時代はどんどん変わるのです。


通訳としてつらいこと

圧倒的に英語力が足りていない(永遠に解消不可能)
できて当たり前という認識をされる

英語力不足を常に感じます。僕は11歳から、英語をやっています。小~大と英語も好成績、検定も、崩しました。運よく海外生活もしましたしたし、英文事務として、通訳以外の経歴もあります。でも、そんなもん、消し飛んでしまうくらい、英語力が足りていません。くらいついている感じです。この状態は平行線でしょう。つらい。でも、だからこそ、英語を継続するしかないんです。

また、他言語を意のままに話し、書いて、通訳するというのは、並大抵のことじゃありません。簡単ではないんです。30年、打ち込んでも、そうなんです。それでも周りは「できて当たり前、だってあなた通訳でしょ」「こんなのもちゃちゃっと翻訳できないの?」「なんでもっと早く通訳できない?」繰り返しますが、そんな簡単なことじゃないんです。


子供の頃からの憧れ、通訳として生きる満足感

子供の頃から、憧れを感じ、なりたいものは二つしかありませんでした。

絵描きになる
つうやくになる

大好きなことは絵、英語でした。残念なことに、絵でご飯を食べていくことはかないませんでしたが、通訳になることはできました。結局、僕の人生で、できたことは、英語だけだったんです。子供の時、思い描いた夢通りの人生を生きているということです。大好きな英語で仕事し、評価され、ご飯を食べることに満足しています。


英語人生、生涯の終わりまで

それでも、11歳からの英語の旅も、まだ、これで終わりではありません。まだ、先がある。いずれはこれらの経験を使い、与えられ、受け取ったものに値するものを、僕と同じ境涯に生まれた子供たち、人達のために、何かを残し、英語人生と生涯を終わりにしたいと考えています。


書いてる人
名前:Masa 
職業:通訳(前職商社英文事務)
取得英語検定:実用英語技能検定1級
海外体験:Working Holiday in New Zealand and many more....


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僕が経験した通訳以外の英語実務、英文事務について解説


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子供の頃から、絵を描くことが大好きです!オリジナルキャラのペン画を制作しています。いい絵を描ける日が来ればいいと思い、日々、制作しています。ニュージーランドにつながるための道としての英語学習、TOEIC900点トライ!も、継続中です。サポートしていただけたら、ありがたいです!!