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通訳、翻訳の登竜門、翻訳会社トライアル。通訳、翻訳雇用、フリーランス契約に必須のトライアル。合格体験から通訳が解説。

未経験から、通訳、翻訳になろうとしても、正規雇用等は、実務経験を要求されるため、難しい場合があります。そうした場合の最短の近道は、募集要項を満たしたフリーランス、業務委託の通訳、翻訳で、職歴を積んでいくのも手です。

正規雇用、フリーランス、業務委託のどれであろうとも、翻訳、通訳求人で、ほとんど提出を求められるのがトライアル(業務に関連した翻訳、通訳等の課題)です。面接等の採用プロセスのなかに、トライアル審査も含まれ、それに合格とみなされれば、通訳、翻訳として雇用、あるいは外注、業務委託としてと登録されることになるのです。

僕は運よく翻訳通訳会社のトライアルに合格し、現在、通訳として、翻訳通訳会社に雇用され勤務し、また、現在は、トライアルを出す側にいます。こうした経験と、トライアル合格体験、および、14のトライアル挑戦体験から、トライアルについて、解説いたします。


通訳者、翻訳者の登竜門翻訳通訳会社トライアルについて


初めに


通訳、翻訳、あるいは英語実務経験もないのに、いきなり、通訳、翻訳に雇用されるのはハードルが高いという場合、まず、業務委託、フリーランスとして、翻訳会社に登録し、案件をもらい、職歴にしていく方法もあります。

今回は僕が経験した翻訳、通訳会社、求人のトライアルに関してお伝えします。


トライアルの見つけ方

トライアルは通訳、翻訳求人、翻訳通訳会社に応募した際、提出が求められます。また、フリーランスの翻訳、通訳として企業に登録したい場合、自発的に翻訳会社のホームページを確認し、トライアルを送ってもらうことになります。企業応募の場合、トライアルに受かることは採用に必須です。フリーランス、業務委託契約を求めての場合はトライアル合格の目的は翻訳、通訳案件をフリーランスとしていただくためです。

また、外資系に応募した際も、トライアルは求められますが、その場合は、英語問題というより、その職種に関連したリサーチ、企業理念の理解等、英語力審査系の通訳、翻訳のトライアルとは、少し、趣の変わったものになります。


まとめると、トライアルが課されるルートは3つです

通訳翻訳会社の雇用の選考過程で、トライアルの提出が求められる

②フリーで翻訳会社から、案件をもらうため、自分から、翻訳会社に連絡を取り、外注(フリーランス、業務委託)として登録してもらう際の審査過程にて、出題される。

外資系求人に応募した際、課せられる。この場合、英語力審査のトライアルというより、業務内容、企業理念を理解しているかに重きを置いたトライアル内容になります。むろん、指示もすべて英語。量も、日本企業より、多めになります。

僕は①②③とも経験し、①に合格しています。


トライアルの内容

内容は主に以下になります。

①日英、英日の翻訳問題
(トライアル者の英語力審査です)

②読み上げ課題
英文を読み上げる、あるいは、自分で書いた英文を読ませ、録音音源を提出
(トライアル者の英語発音を確認するためです)

③PC操作確認問題(翻訳と関係ない作業)
(PCをきちんと使えるか?指定通りの書式で、翻訳物を作れるか、確認 )
・指定の書式、レイアウト、フォントサイズのとおり、見本書類を再現
・表を作る
・PDFの日本語の書類をワードで再現
トライアル者のPCスキルを見るためです)

④調査問題
英語の固有名詞(人名、企業名、商品、サービス)を検索して調べます。
翻訳する際、英語圏の文化、知識を検索して調査する場合が生じます。
トライアル者の検索能力を確認するためです。

⑤トライアル先が独自に用意した履歴、職務経歴書
(トライアル者を社内管理するためのものです)

⑥アンケート
主にパソコン、作業環境、PCスキルの調査、確認事項みたいなものです。
翻訳、通訳会社によって、①~⑥は、まちまちです。
すべて出してくるところもあるし、・・組み合わせは千差万別です。

企業理念、ミッション、会社のポリシー等の社内教育を問う問題
外資系に多い問題です。まず、大量のこうした社内教育ファイルを読まされます。これに関して、自分にできる貢献は何か?等、エッセイを書けとか、そういう問題です。



様々なトライアル問題


①日英、英日の翻訳問題
大体、2ファイル
というものが多いです。
もとはPDFファイルで、英語を日本語に、日本語を英語にという内容です。
(日英、英日翻訳課題)
それをワード形式で提出
させます。
(トライアル者の作業を見るためです。)

できるだけ、機械翻訳をコピペしないように。付け焼刃でクリアしても、あとで、英語力不足が露呈、釣り合わないぞ?とバレます。また、添削する方も、社内翻訳ツール、MT機械翻訳、AI翻訳はもちろん熟知していますのでそれらを使用すると、どういう訳出の特徴があるか判別できます。苦しいですが、トライアルは、自身の英語力で臨んだ方が、後々のためです)

文字数(分量)
字数は各お題、1000文字程度がほとんどです。しかし、ガチに数千文字なんて言う場合や、会社の会議でのプレゼンテーション議事録会社のホームページのサービス、製品内容の翻訳等もあり、文字数、分量は会社によりけりです。

読み上げ課題
英字新聞、海外のニュースメディア、何かの抜粋を読ませる
、あるいは、その内容を要約させるというものが多かったです。しかし、音読、音声を送らせるトライアルは数社しか経験してないです。(特に通訳職の場合、英語の発音、スピーキングは面接でじかに、チェックしてきます)

③PC操作確認問題
トライアル者のパソコン(主にマイクロソフトのオフィス)スキルを確認するこうした問題は、たいてい、出されます。プリントアウトして、書きこんで、それをスキャンして、PDFにとか、PDFの書類を、ワードにまんま、マネするとかです。図形挿入、フォント、サイズ、レイアウトとか、そういうPCの操作能力、スキル、適性を審査するためでしょう。(というか、そのためです。自分が翻訳会社で入社した後、英語ができてでも、PCを事務レベルで使えない場合、選考から外しています。そんな場面を見てきているので)

調査問題も、結構出ます。
その業界の製品、サービスなどの固有名詞を検索させ、調べさせる形式です。応募者の検索能力を見ています。翻訳では、専門用語等、検索し、適切なものを自習して、体得したり、探し当てる能力も、必要になるからです。

⑤トライアルに応募する際に、履歴書、職務経歴書を求められますが、その後、トライアルの際、応募先の独自フォームに履歴、職歴を書き込まされます。社内管理のためでしょう。しかし、履歴書、職務経歴書から、コピペすればよく、それらよりシンプルな書式がほとんどです。

⑥PCスキルアンケート
どれだけ、パソコンが使えるか?把握するためのアンケートです。エクセル形式が多いです。エクセルのこの期のを知っているか?等、プルダウンで、返答が選べる書式で作られています。知らない機能があったら、ググって、エクセルで練習して〇にします。嘘でも、知らないのに、知っている箇所に、チェックを入れないようにしてください。

企業理念、ミッション、会社のポリシー等の社内教育を問う問題
外資系のトライアルが多い
のはほとんど、この課題のせいです。
結構大変でした…


★補足事項

A.
企業によっては、各課題に作業時間制限を設け、かかった時間を自己申告させる場合もあります。正直に、申告してください。

B.
また、わからなかった箇所をわからないまま,適当に訳さず、黄色でマーカーするように指定している会社もありました。あまりに難しい専門用語に関し、勝手に解釈し、翻訳してしまわないか?翻訳者の心配りを審査するためです。(僕の会社ではトライアルにおいてはそうでした。)


トライアルの難易度

皆さんが応募する翻訳会社が提供している専門分野の新聞記事の日英、英日翻訳のほかに、産業翻訳の書類、契約書、マニュアル、仕様書の一部など、皆さんが、日常で触れることのない専門性のあるものがトライアルとしては出題されます。当然、普通の英語問題ではありません。そして、提出猶予が数日~1週間程度に設定されていることから見ても、どのトライアルも、難易度は高いと思ってください。僕の経験だと、単純に、日本の通訳、翻訳会社のトライアルより、外資系の方が、量もお多め、難易度も高かったです。


僕が現在雇用されている翻訳通訳会社の

実際のトライアル例

・1000文字程度の仕様書の抜粋、日英
・1000文字程度の仕様書の抜粋、英日
(期限3日間)

でしたが、まったく手も足も出ず、へとへとになりました。よく合格できたと思います(汗)(僕のトライアルは、翻訳部門のリーダー、他一名で、ていねいにチェックされていたことを通訳として内定が決まった後、知りました)


当時の僕の英語力、および英語実務経験

・英語学習の継続/英語学習、断続的に30年以上
・英語検定/英検1級取得済み(応募に英検1級が必須だった・・)
・英文書作成実務経験/英文事務での翻訳、通訳、英文書類作成経験2年
英語実用の状態/英文事務職で、日々、英語を書いて、話していた

こういう状態でも、やっと、合格した感じでした。


僕の通訳採用経験においては、トライアルは、一次面接合格後に、出題されました。


現在は、通訳メインとして、翻訳も担当する状態で、翻訳通訳会社に勤務しています。25社、翻訳、通訳関連には応募し、トライアルを提示されたのは14件。そのうち、合格したのは1件ということになります。


提出期限について

大体、3日〜1週間後に提出期限が課されます。(2~3日以内)(トライアルダウンロードから)に提出しないと、辞退とみなすみたいなものもあります。この手の要求をする翻訳会社はたいてい、トライアルもてんこ盛りです。w

たいてい、トライアル送付メールに説明があります。あるいはPDFファイルで説明がなされます。提出の際の指導(指定のファイル形式にして提出等)それに従って、作業し、提出方法、期日を守って送付してください。


トライアルのフィードバックに関して

不合格のトライアルに関しては、フィードバックはないと考えてください。単純に(弊社の要求する英語レベルに達していなかった)的な文言が、不採用のメールにある程度です。業界の書類なども、トライアルには含まれるため(もちろん、守秘に抵触しないような事例で、問題は作られていますが)
添削的なことは期待できません。

僕は現在の翻訳会社で、採用が決まった段階で、勉強のため、トライアルが返却されましたが、社内の翻訳リーダーによる入念な評価、チェックが入れられていました。(しかし、すべてがこのようだとは言い切れません。僕のトライアル経験は、14件だけです)


余裕をもって挑む


トライアル応募は一社つづにしてください。一社が提出できたら、次の翻訳会社のトライアルに挑戦するのです。間違っても、同時期、何社も、応募しないように。一時に数個のトライアルを受け付けてしまうと、めちゃくちゃ、忙しくなります。(2社同時進行して、大変でした)家庭、仕事、子育てしていると、思わぬハプニングもおこります。そんな中、トライアルを期日通りに完成させられるだけ、ラッキーだと思います。トライアルの文書は、どれも、専門要素が強くなります。英検1級の過去問とか、英語テキストの英文を読んで、翻訳するというような次元のものとは全く違います。 


切り捨てる(難しすぎ、量が半端ないトライアルは時間の無駄、辞退する)

たまに、数日の期限しかなく、内容が難しく、量も半端じゃないトライアルが来ます(特に外資スタートアップ系)。そんな時は、素直に辞退することです。何十時間もかけて、そのトライアルをやっても、その出来が不確かなら、落とされます。確実に採用されるかわからないことに時間なんてさけません。時間の無駄です。


量もてんこ盛りの外資のトライアルは諸刃の剣

外資の大企業、スタートアップ系トライアルの量も多く、指示も、当然、英文です。難易度も、日本企業の倍です。
加えて、企業理念、ミッションを理解して討論してください的な問題も出て、下調べにものすごい量のファイルを読まされます。外資のフルタイムのトライアルは、基本、多めになるので、採用される確率と、それに費やす時間をはかりにかけて、取り組んでください。(僕は何個も、外資の大量のトライアルに時間をかけて、寝ないで期日までやりましたけど、雇用に至りませんでした。トライアルをクリアしても、2次、3次の面接で落ちました。)外資は給与も高く魅力的ですが、競争も激越だと想像します。


英文事務、そして通訳として翻訳会社に採用された際も、トライアルはありましたし、それらの採用は、トライアル合格を得てのことです。


英語ができても、落とされる原因

もし、皆さんが、英語にはある程度自信もあるのに立て続けで、トライアルに落ちてしまう場合、もっとも、考えられる要因は、PCスキルの評価です。

初歩的PCスキルが不十分と判断されてしまった!
PCをきちんと使えるか?指定通りの書式で、翻訳物を作れるか
指定の書式、レイアウト、フォントのとおり見本書類を再現できるか?等が、足りて居ないと査定されたことが要因かもしれません。

翻訳は、基本、PCを介して、作業されます。成果物はPCで作成し、提出、納品します。なので、事務的スキル、PCスキルがある程度ないと、翻訳会社側も、採用を躊躇してしまう場合があると思います。

トライアルには、必ず、PC操作を見る書式再現問題、アンケートが含まれていたことを思い出してください。もし皆さんが、書類再現トライアルに苦心した場合、初歩的PCスキルをもう少し、補強しなくてはならないかもしれません。

商工会議所の安価なパソコンスクールに通い、オフィス捜査の初歩を習う、参考書で自習する、トライアルを受けつつ、ググり書式の作り方を学んでいく等で対策してください。(PCスキルといっても、初歩で大丈夫です。)

僕は5年前、肉体労働から、こうした英語実務の世界に飛び込んだ際、自費で、商工会議所のパソコンスクールに三か月通いました。そののち、英文事務として、2年、英文書類をPCで作成した経験で、翻訳会社のトライアルに合格しました。合格のPCスキルはその程度の努力で、十分だということです。プログラミングとか、めちゃくちゃ難しいエクセル関数運用スキルとか、必要じゃないです。


以上が僕の経験したトライアルの内容、難易度等です。

翻訳、通訳が未経験で、なおかつ、フリーランスとして、翻訳、通訳の仕事をもらう際には、翻訳、通訳会社のホームページから、トライアルに志願し、合格して、何らかの案件をもらうというのが一番の近道だと思います。もちろん、通訳、翻訳として正規雇用される際にも、何らかのトライアルは必ず、提出を求められます。今回お伝えした僕の経験が皆さんのトライアル挑戦の一助になることを願ってやみません。


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執筆者
名前:Masa 
職業:通訳
取得英語検定:実用英語技能検定1級
海外体験:Working Holiday in New Zealand 等、多数


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子供の頃から、絵を描くことが大好きです!オリジナルキャラのペン画を制作しています。いい絵を描ける日が来ればいいと思い、日々、制作しています。ニュージーランドにつながるための道としての英語学習、TOEIC900点トライ!も、継続中です。サポートしていただけたら、ありがたいです!!