見出し画像

団地内の初サウナで老婦人と世間話。【住んでみた北欧#10】

団地共用サウナの仕組み

フィンランドの集合住宅でサウナつきは珍しくないらしく、私が住む部屋も普通の古い団地だが共同のサウナがある。入り口が4つあるので4基あるのかな、と思ったら中でつながっていて実際は2基。更衣室が4部屋あるだけだった。稼働するのは週3日、水曜と土日である。うち土日は予約専用で、パブリックに入れるのは水曜のみ。時間によって男性タイムと女性タイムに分かれている。予約は住民自治でまかなわれていて、「サウナ担当」の住民のメールアドレスがドアに貼ってあり、そこに連絡して予約するようになっている。

入り口は4つだがサウナは2つ

毎日ではなく週3回しか開けないというのがなんともフィンランドらしい。これが日本なら、毎日やってほしいという住民の要望が来るだろう。しかしここは資源を大事にする国、フィンランドだ。毎日は電気代の無駄だと考えるのだろう。ちなみにサウナは無料で、運営費は共益費でまかなわれている。

いざ、初サウナへ。

楽しみにしていた初サウナの日。女性用タイムは20時から。20時といっても北欧の夜はまだ全然明るい。大きめのタオルを持ってサウナのある隣の建物に向かうと、他の棟からバスローブを着た80歳ぐらいの老婦人が歩いてくる。これ幸いと話かけてみた。

「こんにちは。私初めてなので入り方教えてもらえますか」。

すると「あらそうなの」と丁寧にいろいろ教えてくれた。フィンランドがすごいのは、お年寄りでも英語が話せることだ。こっちの人たちはフィンランド語が基本だが完全にバイリンガルで、ほとんどの人は英語が話せるので困らない。(ただし標識などの文字はほとんどフィンランド語)スウェーデン統治が長かったのでスウェーデン語もできる人が多いのだそうだ。

共同サウナの更衣室

住人から共益費を聞き出す

サウナ室で再び老婦人と一緒になったのでいろんな質問をしてみた。ご婦人は1978年に新築で入居したというから、なんとここは築45年ということになる。これは驚き。古いけれどリノベを何度もやっているせいか、住んでいるぶんにはまったく古さを感じさせない。気になる共益費を聞いてみると、部屋の広さに応じてらしいが、ご婦人のところは86平米で400ユーロ(約6万円)だそうだ。思ったより高いが、サウナとか洗濯機と乾燥が無料ということを考えるとそんなものなのかもしれない。サウナは健康にいいと思いますか、という質問には、大きく頷いてくれた。土日にも予約をして、週に2回入っているそうだ。

そうこうするうち同じ年齢と思われるもご婦人が入ってきて、フィンランド語で話し始めたので、私は早めに退散。わずか15分ほどだったけど十分に整った。サウナはやっぱりいいね。来週も入ろう。今度はもっと長めに。

サウナのあと、気持ちがよくて思わず中庭のベンチでまったり。

洗濯室の仕組みも合理的

ちなみにサウナの向かいには洗濯室と乾燥室があり、これも無料だが予約制。乾燥室はスキー場によくあるやつで、部屋一杯に洗濯物を干して3時間ぐらい部屋ごと乾かす。2部屋しかないのでこれを予約するのだ。

洗濯機は2台。しかし洗濯室がめちゃくちゃ広くて予洗いや洗濯したものをたたむこともできる。
乾燥室は手前と奥。干して乾燥機をオンにしてドアを閉める。
予約ノート。おそらく週一回まとめてやる人が多く、そこまで混んでいるわけではない。

なんともアナログな仕組み。自分の部屋で洗濯するのに慣れていると「え?」という感じだが、実際にやってみるとそこまで面倒ではない。むしろ広い部屋で堂々と洗濯する感じが気持ちいい。日本ではマンションでこんな施設は見たことがないが、もしかしたら集合住宅のメリットってこういうことなんじゃないかと思った。世帯別に洗濯するよりもエネルギー的にも合理的だろうし、なにより部屋に洗濯乾燥機がないぶん広くすっきりと使えている。部屋をごちゃごちゃさせないというメリットもある。

動画でレポしてみました。

サウナで整って、広い洗濯室でお洗濯。日々の暮らしのQOL(クオリティオブライフ)が上がってきたと感じている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?