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Voicyを2カ月やってみて分かった、「喋る」という特殊スキル

音声プラットフォームとして、ここ数年急激に注目を集めている「Voicy」。

個人としてVoicyのパーソナリティになるには、Voicy社の審査に通らなくてはならないのだが、一説によると合格率は1%という狭き門らしい

そんなVoicyに、幸運にも、私は所属している「母親アップデートコミュニティ(HUC)」のチャンネルを通じて、半年間、1週間に1度配信する機会をもらえることになった。

私の選んだテーマは本。自分が読んだ本や、HUCメンバーのおすすめの本を紹介しちゃおうという企画である。

第1回目の配信が、4月11日、日曜日だった。

それから毎週日曜に配信を続け、気づけば今日が9回の配信、始めてから2カ月が経っていた。

毎回、配信後に改めて自分の放送を聞いているのだが、聞くたびに、そのレベルの低さにうんざりする。

通常なら、「酷い放送、やめちまえ」「下手なくせにでしゃばりやがって」という悪口が聞こえてきてもよさそうなものだが、とにかく「誰も否定しない」が徹底された、温かいHUCのコミュニティでは、有難いことに、いろいろな方からポジティブな反応や応援メッセージをいただいている

そのエールをお守りにしつつ、「挑戦させていただいている」という感謝と共に、残り4カ月の期間も走りきる予定だ。

こんな下手くそな喋り手が、こんな機会をいただけるなんて、なんて恵まれているんだろう、と思う。だからこそ、こっち側を経験したからこその気づきを書いておきたい。

誰でもコンテンツで勝負できるのが音声プラットフォーム

Voicyを始めるより前、とあるイベントでVoicy代表の緒方憲太郎さんの講演を聞いた。

そこで、なるほどなぁと思ったのが、Voicyでフォロワー5万人を誇る「ワーママはる」さんの人気の理由だ。

緒方さんによると、ワーキングマザーは、これまで情報は求めているものの、情報を発信するにも、受け取るにも忙しすぎて既存のメディアではフォローできていなかった。でもVoicyのような音声メディアだと、ワーママであるはるさん自身も、たった一人で毎日配信することができるし、聞く側も、家事しながら、とか、移動中とかに、耳だけで聞くことができるので、忙しいワーママ層のニーズにぴたりとハマったという話だった

確かに。人気のYouTuberを見てると、細かく編集入れたり、特殊効果入れたり、サムネールやタイトルをおもしろおかしくしたり、という風に、人気を取るためには、結構な労力と機材と人手がかかるので、普通の素人が気軽に参入するにはハードルが高いように思う。

その点Voicyは、Voicyのレコーディングアプリを入れれば、誰でもスマホひとつですぐ収録できちゃうし、(バックの音楽やチャプター切り替わりの効果音は自動で入る)、逆に後から編集を入れることができない仕様になっているので、編集や機材にいかにお金をかけるかの競争にはならない

情報の受け手としてもそうだ。私も、Clubhouseの盛り上がりがきっかけになって、忙しい日々の中でも、意外と耳だけはあいているな、ということに気づいて、それ以来、結構Voicyやラジオを聞くようになっていた。

ということで、「喋るだけなら私にもできるかも」と思って始めたのだが、この時の私は何もわかっていなかった。

やっぱり「喋る」というのは特殊なスキルだった

私はシャイではない。仕事でも、マーケティング担当として、自社製品について最大300人程度の前では講演したことがあるし、挙手して自分の意見を表明することにもあまり躊躇のないタイプの人間だ。

だからできるだろう、と思っていたのだが、これが大きな間違いだった。

第1回目の収録をした時のこと。

話すテーマや、話の流れをざっとwordに書き起こして、さっそく収録してみた。そしたら、すぐ言葉に詰まる、「あのー」「えーと」というフィラーが出る。グダグダになって、一時停止。もう1回言い直すために撮り直し、を続けていてなかなか進まなかった。

もう、全文書いた方が早いじゃん、って思ったので、第1回は、一言一句を全部書き起こした。書こうと机に向かうと、わりと一気に書き上げることができた。

収録する時には、文章を読んでいる感じにならないよう、なるべく普通に喋っている感じを一生懸命出しているんだけど、たった10分程度でも、喋ることがいかに大変かってことを痛感した初回だった。

普通に一人でしゃべり続けるのって、めちゃくちゃ大変じゃん!

HUCで1年以上配信を続けている3人、そして、すべてのラジオパーソナリティの人、本当にすごい。心から尊敬。

私が思っていた難易度の100倍くらい大変だった喋るのって、完全に特殊スキル。これは経験したからこそ、声を大にして言いたい。

喋り言葉と書き言葉、話すことと読み書きは違うということ

私は、マーケティングの仕事の前は、広報のプロとして仕事をしていたし、基本的に「コミュニケーション力」が問われる仕事をしてきたつもりだった。しかも、小さいころから読書好きで、本を読むスピードも早いし、「現代文」は得意科目だった。

だから、なんとなく「コミュニケーション力」はそこそこはあるのではないかと思っていたんだけど、文章力と喋るスキルっていうのは、思っていた以上に差異があったようだ。

振り返ってみれば、性格的にお喋りだったことはなく、特に学生時代は(今でも)長電話がすごく苦手だ。

自分が得意としていたのは、主に、読み書きの能力で、喋るってのは、また別のスキルだったんだなというのを痛感した

それで思い出したのが、中学生か高校にあがったくらいの頃のこと。

友達に「あなたの言葉には熟語が多い。それに、話す言葉が文学的だよね。」と言われた。私の使う表現も、あんまり日常会話では聞かない、小説に出てくる表現のようだ、と。

それを聞いた時、当時の鼻持ちならない私は「それはあなたが本をあまり読まないから、言葉を知らないのね」と思ったんだった。(口には出さなかったけど。)

当時、私の中では、本で吸収した日本語が正だった。でも、それはあくまでも書き言葉で、話し言葉というのは別だったんだ。

なんとなく気づいていたけど、ちょうどVoicyで、プロのパーソナリティの方がまさにそのことを話している配信に出会って、その事実は私の中で決定的になった。

私が話すのが下手なのは、するする言葉が出てこないことに加えて、基本的な脳のコミュニケーション機能が「書き言葉」にだいぶ寄ってるからなんだな、と気づいた。

2カ月経った今、思うこと

そんな思わぬ自分の弱点に気づかせてくれたVoicy。でも、失敗しても死ぬわけではないし、会社のように損害を出すわけではないのだから、図々しくも、恥ずかしい姿を晒しながら、経験を積ませてもらおう、と思っている。

毎回、自分の配信、特に、ほぼアドリブで喋ってるゲスト回の放送を聞くたびに、本当にゲストの方に申し訳なく、「もっとこうできたらよかった」が軽く10個は浮かぶので、聞いていて辛い

でも、「もっとこうできたんじゃないか」がこれだけ浮かぶってことは、それだけ改善の余地があるということでもある(ポジティブ)。

回を重ねるごとに、5%でも改善できれば、10回改善を続ければ、全部で60%もの改善になる。

半年後、最後の放送回では、多少なりとも、自分で納得のいくものが撮れるだろうか。

せっかくいただいた機会なので、転びながら前進していきたい。

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