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まだLINEはブロックされていない

別れた恋人との思い出はどうすることが多いのだろうか?

友人の一人は「モノに罪はないからね。」と言って、元彼からもらったアクセサリーを別れた後も身につけていた。

私は全部捨ててしまうタイプだった。

プレゼントでもらったものは、誰かにあげるか捨ててしまう。
一緒に撮った写真は削除。
一緒に写っていなくても元彼と出かけた先で撮った写真も削除。
LINEのやり取りはすべて消去した上で、アカウントをブロックする。
それでも友だちのブロックリストの中にアカウントが残っているから、ブロックリストからも削除する。

「拗れて別れたわけでもないのに、そこまでする?」と言われたこともあった。
だって、もう二度と会わないし、連絡もしないし。
逆に「何のために残しておくの?」と思っていた。

そんな私も大好きだった元彼との思い出は処分できずにいる。

映画の半券とか、一緒に行った水族館のチケットとか。
ちょっとしたものでも捨てることができない。
一緒に見に行った映画はブルーレイディスクまで買ってしまった。
しかも、初回特典のポストカード付きの高いものを。
あの人に関するすべてのものを一つ残らず取っておいて、箱の中にしまってある。

LINEのやり取りを削除することなんてできそうにない。
そこには楽しかった思い出がつまっていて、今でも時々見返してしまう。

きっと何があってもLINEをブロックすることなんてできないだろう。
あの人も私のことはブロックしていないみたいだ。

LINEをブロックされるとスタンプを送ることができなくなる、という話を聞いたので試してみた。
ブロックされた場合、「〇〇はこのスタンプを持っているためプレゼントできません。」と表示される。
ブロックされていない場合、「スタンプをプレゼントしますか?」と表示される。

適当にスタンプを選んで、「プレゼントする」を押す。
「スタンプをプレゼントしますか?」が表示された。

あの人はどうして私のことをブロックしないんだろうか?
「もしかしたら、また、連絡が来るんじゃないだろうか。」
「私から連絡したらまた会ってくれるんじゃないだろうか。」
そう期待してしまうのだ。
もう二度と会うことは叶わないと頭ではわかっているはずなのに。

別れてもLINEをブロックしないのが普通なんだよね。
そのまま放っておいているだけ。特に意味はないんだよ。
と、自分に言い聞かせる。
期待してはいけないのだ。

期待はしていないけれど、私は試してしまうのだ。
今日も「スタンプをプレゼントしますか?」が表示された。

まだLINEはブロックされていない。
まだ連絡を取ることはできる。
あの人と私はほんの少しだけど、今でも繋がっている。
それを知るとなぜか心の底からホッとするのだった。

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