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女子高生×ミニチュアハウス

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後藤葵はミニチュア作りが大好きな女子高生。 つらいときも、悲しいときも、ミニチュアを作っていれば、すべてを忘れられる。 そんな葵のミニチュアが注目を集めて、人生が大きく動き出す。…
運営しているクリエイター

#ワークショップ

愛なんか、知らない。 最終章⑭訣別の時

 その日は、老人ホームのワークショップの日だった。  久しぶりだから、どうなることかと思…

凪
2か月前
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愛なんか、知らない。 最終章⑥にぎやかな8月

 お父さんがバッグに荷物を詰めていると、「パパ、これ見て」とリンちゃんは純子さんのミニチ…

凪
3か月前
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愛なんか、知らない。 最終章⑤ステップ・バイ・ステップ

 2回目のワークショップは一気に7人増えた。  1回目のワークショップを受けた子供たちが、あ…

凪
3か月前
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愛なんか、知らない。 最終章④動きはじめた時計

 親御さんが迎えに来たり、そうではない子も「さよならー」と元気よく帰って行く。  お母さ…

凪
3か月前
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愛なんか、知らない。 最終章③こども食堂のワークショップ

 心にこども食堂のことを話すと、「いいんじゃない? 葵には向いてそう」と言ってくれた。 …

凪
3か月前
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愛なんか、知らない。 最終章②愛の足跡

「ごめんなさい、お待たせしちゃって」  総白髪でぽっちゃりしたおばさんが、エプロンで手を…

凪
3か月前
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愛なんか、知らない。 最終章 愛を知る家 ①哀しみの乗り越え方

 人生で、つらい思いをする回数って決められてないのかな。  もし決められてるなら、私はもう十分すぎるほどのつらい思いをしたと思うんだ。  大切な人とのお別れって、どうやって乗り越えればいいんだろう。おばあちゃんが亡くなった時は、どうやって乗り越えたんだっけ?  毎日泣いて、泣いて。涙って枯れないもんなんだなって思うぐらい、泣いて。いつ、平気になったっけ?  純子さんがいなくなって二週間が過ぎた。  この二週間、何をやっていたのか、覚えてない。泣くために起きてる感じ。  机の

愛なんか、知らない。 第8章⑨いつか、笑顔でさよならを。

 純子さんのお見舞いに行った翌日。  朝、庭で植木の水やりをしながら、純子さんの「新しい…

凪
3か月前
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愛なんか、知らない。 第8章⑧やさしい時間

「それじゃ、葵ちゃん、一人で家にいるわけじゃないのね」  純子さんは心底ホッとしたような…

凪
3か月前
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愛なんか、知らない。 第8章⑥予期せぬ知らせ

 優がアメリカに帰ってしばらく経ったころ、お父さんから「今月、ボーナスが出たから、お金を…

凪
3か月前
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愛なんか、知らない。 第7章 ②大切な秘密

 大学4年になったけど、ありがたいことに、就活をする必要もないぐらいに、ミニチュアの仕事…

凪
3か月前
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愛なんか、知らない。 第7章 にせものの家 ①幸せな日々

 人生を一変するような奇跡が起きることって、本当にあるんだ。  私の作品がバズることがあ…

凪
3か月前
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愛なんか、知らない。 第6章 ⑤夕暮れの図書室

 うーん。  図書室だから複雑な構造ではないけれど、本棚は本によって高さが違うし、床も机…

凪
3か月前
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愛なんか、知らない。 第5章 ⑥どういうこと?

 夏休みが終わり、海老原さんに注文されたミニチュアハウスを何とか仕上げた。  失礼なおっさん、もとい勝志さんから「そんなに時間がかかるの?」って言われたのが悔しかったっていうのもあるけど、やっぱり生活費が丸々なくなるのが不安で、「早く仕上げて、他の仕事をしよう」って気持ちが強くて。  お父さんの書斎の豆本づくりは心にも手伝ってもらった。  写真を見ている限りでは、家具も物もそんなに多くなくて、スッキリした家だから、思っていたより作業が少なかったのも助かった。  美由紀さんに