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女子高生×ミニチュアハウス

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後藤葵はミニチュア作りが大好きな女子高生。 つらいときも、悲しいときも、ミニチュアを作っていれば、すべてを忘れられる。 そんな葵のミニチュアが注目を集めて、人生が大きく動き出す。…
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2024年4月の記事一覧

愛なんか、知らない。 第2章⑪空はこんなに青いのに。

 お父さんと並んで歩くなんて、ものすっごい久しぶり。お父さんも、なんか、気まずそうにして…

凪
2か月前
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愛なんか、知らない。 第2章 ⑩文化祭、初日!

 そんなこんなで文化祭当日になった。  うちの班の作業は順調に進んだけど、やっぱり凛子さ…

凪
2か月前
7

愛なんか、知らない。 第2章⑨夕暮れの教室で

「そうなんだ、た、大変だね」 「で、私たち4人じゃ無理だから、後藤さん、こっちも手伝ってく…

凪
2か月前
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愛なんか、知らない。 第2章⑧みんなでミニチュア作り♪

 その日も、放課後は班ごとに制作をしていた。  うちのクラスのミニチュアは校内でかなり話…

凪
2か月前
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愛なんか、知らない。 第2章⑦文化祭の準備、スタート!

「えーと、そ、それじゃ、今日はクロ、クロワッサンを作ります」  第一声から噛みまくり、声…

凪
2か月前
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愛なんか、知らない。 第2章 ⑥女子高生のカバンの中身!

「え……私のカバンは、何も入ってないから」 「え~、自分が言い出しっぺなのに、それはずる…

凪
2か月前
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愛なんか、知らない。 第2章⑤ドキドキのグループ分け

 クラスは6つのグループに分かれて、それぞれの班で作りたいものを話し合うことになった。  たいてい、私はこういう場面では誰も誘えず、誰にも誘ってもらえず、ポツンと一人あぶれる役になる。クラスの誰かがそれに気づいて、「後藤さん、残ってるよ」「うちにくる?」って感じで、何とか入れてもらえるんだ。  ところが、今回は「後藤さん、一緒に組もう」「私も入れて~」と何人ものクラスメイトが机のまわりに集まってきた。  私はビックリしちゃって、ただコクコクとうなずくばかり。  自然と私も入

愛なんか、知らない。 第2章 ④ミニチュアのレッスン

 たぶん、私は死にそうな顔をしてる。  死にそうって言うか、魂は息絶えたよ、完全に。  お…

凪
3か月前
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愛なんか、知らない。 第2章 ③ムリムリムリ!

 新学期が始まった。  夏休みに入るころはいろんなことがあってボロボロだったけど、今は何…

凪
3か月前
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第2章 ②一歩、一歩

 市原さんはすぐにミニチュアハウスをおばあさんに持って行ったみたい。 「ホラ、これ、おば…

凪
3か月前
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第2章 戻れない家 ①はじまりの夏

 今年の夏は、例年よりも暑いってさかんに言われてる。  おばあちゃんとの暮らしが始まって…

凪
3か月前
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第1章 ⑪さよなら、想い出の家

 あれ。  私はおばあちゃんに渡されたハンカチで顔を拭いながら、部下の人たちの変化に気づ…

凪
3か月前
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愛なんか、知らない。 第1章⑩怒りのスイッチ

「葵、夏休み、タイに来る?」 「へ?」  ふいにお母さんに話しかけられて、私はバカっぽい返…

凪
3か月前
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愛なんか、知らない。 第1章⑨別れの日

 それから話は怒涛の如く進んでいって、私はおばあちゃんの家でしばらく暮らすことになった。おばあちゃんの家はうちから近いから、今まで通り学校にも通える。  お父さんも起業の準備で忙しくて、私の世話を投げた。ためらいなく、ポーンとね。  おばあちゃんは、「あなたたち、葵の親でしょ? 親なら、子育てが一番じゃないの? 仕事のほうが娘よりも大事なわけ?」と激怒してくれた。それだけが、唯一の救いだった。  お母さんは私の目の前で「葵の生活費は振り込むから」と平然と言って、おばあちゃん