見出し画像

新暦旧暦

以前に暦を少しだけ調べてみたことがある。今は短歌のようなものを詠んでいるつもりなのだが、そもそもは俳句が詠めたらカッコいいなぁと思って始めたものである。俳句には季語が欠かせない。ところが、旧暦での季節と新暦での季節は必ずしも一致しない。例えば「七夕」は「秋」の季語なのである。暑い時期の行事と「秋」という言葉の象徴する季節感とがどうにもしっくり収まらない。それで、旧暦がどのようにできているかをよく知った人に教えていただいたのである。

旧暦の要点はこういうことだ。
1 月の満ち欠けの周期が基準
2 1ヶ月は29日か30日
3 正月を決めるのは雨水
4 六曜

まず月の朔弦望が基本。朔月の日が1日。次の朔月の前日までの29日あるいは30日間が一月(ひとつき)。節気の雨水を含む月が正月。曜日は七曜(月火水木金土日)ではなく六曜(先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口)。朔弦望と節気は国立天文台のサイトから「暦要項」をダウンロードすると必要な情報が全て入手できる。

スクリーンショット 2021-03-31 23.01.15

六曜は月毎で月の変わり目で断絶する。どういうことかというと、七曜は月が変わっても月火水木金土日を繰り返すが、六曜は月のはじめの曜日が月毎に決まっている。
1月と7月は先勝で始まる
2月と8月は友引
3月と9月は先負
4月と10月は仏滅
5月と11月は大安
6月と12月は赤口
ちなみに六曜は「かとまぶたし」と覚えると良い、と教えていただいた。
か:せんち(先勝)
と:もびき(友引)
ま:せんけ(先負)
ぶ:つめつ(仏滅)
た:いあん(大安)
し:ゃっこう(赤口)

例えば、最寄りの雨水は普通の暦で2月18日。この雨水の直前の朔は2月12日なので、旧暦の正月は普通の暦で2月12日に始まる月ということになる。正月(1月)の最初の六曜は先勝。つまり、2月12日金曜日は旧暦の1月1日先勝である。2月12日の次の朔は3月13日であるから、旧暦1月は普通の暦の3月12日で終わる29日間だ。3月13日土曜日が旧暦2月1日友引である。

俗に「大安」は吉日なので慶事に良い、とか、「友引」には葬儀をしない、といった六曜と行事のリンケージがあるが、六曜は単に曜日なのでそこに意味があるわけではない。大安に買う宝くじに当たりが出やすい、なんてことがあるはずがないというのは感覚的に了解できると思うが、つい買いたくなるのが人情だ。文字の印象というのはバカにできないということがよくわかる典型的な事例である。

日を選び買い求めたる宝くじ
誰にとっても「大安吉日」

「大安」は誰にとっても「大安」で
籤の一等たった一枚

人は生まれることを選べない、と私は何度も書いているが、自殺をしない限り死ぬ時を選ぶこともできない。つまり、葬儀屋にとってはカレンダーの休日は意味がない。しかし、六曜の友引の日は葬儀がないので休日になる。

友引は友と語らう貴重な日
窯の火は消え寺は静まる

世間が正月で街もそういう雰囲気になっていると、ついこういう無粋なことを書きたくなる。ジジイのくせして大人げないという意見もちょいちょい頂く。困ったものだ。

読んでいただくことが何よりのサポートです。よろしくお願いいたします。