見出し画像

NetflixのNo Rulesと自分のチームを重ね合わせた

買ったまま積読になっていたNo Rulesをやっと読みました。読み始めたらおもしろくて一気に読んでしまいました。いろいろと思うことがあったのでダラダラ書いてみます。

ざっくりサマリー

Netflixには経費やらなんやら会社運営上のルールが最低限しか存在せず、意思決定権が現場に最大限権限移譲されているという趣旨です。

それを支える文化の説明がほぼこの本のサマリーなのですが、

1. 採用時優秀な人を取る。その際に賃金は勤務先の金額関係なく、市場価格より上に設定する
2. 優秀な人の能力密度を上げるためルールの撤廃と大幅な権限移譲をする
3. チームとして正しいことをするために、上司・部下・同僚問わず本音のフィードバックをする
4. パフォーマンスに見合わない人は、多額の退職金とともに辞めさせる

このあたりでしょうか。一般の人が思い浮かべる「The 外資系」という感じですが、その究極に振り切っている感じです。

正直このルールをだいたいの日本企業で施行するのは難しい気はします。というのも、日本は従業員の権利が強いので、解雇もできなければ、給料も下げずらい。また、経営者でも無ければここまで振り切れないでしょう。

と言いつつも、チーム運営をする上で、要所要所のポイントはとても参考になる面はありましたのでつらつら書いてみます。

採用だけじゃなくて出口まで全体の設計が必要

特に考えさせられるのは採用面です。私は採用も面接から入りますし概ねチーム運営を任されているので優秀な人を取りたいという気持ちはいつもあります。

一方で全体の視点で考えると、入口(採用)・プロセス(育成/評価)・出口(退社or異動)のバランスが一番重要だと思っています。

というのも、採用で優秀な人を高いフィーで取るというのは普通に聞いていると当たり前なのですが、それにより既存のメンバーとのバッティングという別の現象が起こります。

「いや、優秀な人が正義、そんなバッティングなんてどうでもいい」と考える人も多いと思います。マネジメントの方で言っていたらストロングスタイルで普通に尊敬しますが、したことなくて言ってるのは絵空事だなと思ったり思わなかったり。

というのも、それによるクレームや退職相談など来るのは直属のマネジメントなわけで、かなり精神的な苦労があります。それをわかった上で言うか言わないかは大きな違いです。

一方でバランスを取ることだけが重要。というわけでもないのは確かなことだと思います。局面によっては大きく会社・チームを変えていきたい。少しの痛みを伴っても、ということもあると思います。そのときは意図的に「入り」のバランスを変えてしまうというのもありだと思います。

また、プロセスと書いた育成・評価という点だと、キャリアパスをどうするか問題があり、急激に今までとは違うレイヤーの人材を採用した場合、既存の人事評価制度だと評価しきれない場合があったり、おそらく昇給の感覚が並のメンバーと違う可能性もあります。

ある意味評価がダブルスタンダードになる可能性もありながらそれをマネージするのはめっちゃ大変そうな気がします。気がしますと書いたのが、自分でそこまで舵を振り切った経験がないからです。

また、退職という観点だと冒頭にも書いたとおり、日本は労働者が強く雇用の流動性が低いのでローパフォーマーであっても雇い続けないといけません。

日本の雇用制度で優秀な人繋ぎとめるの結構きついのでは?

岸田さんが「賃金を上げたい」という一方で、「採用してもクビにできずに給料を払い続けないといけない、一度上げた給料はなかなか落とせない」となったら、ボーナス上げたとしても確かに基本給上げるの無理ゲーだなと思うところはあります。

ひろゆきさんのYouTube見ていても転職相談があると「ダラダラ働いてお金もらっておけばいいじゃないでしょうか」とだいたい出てきますが、それを支える仕組みがあるのです。

年功序列という成果に関係なく給料がもらえる社会主義的な仕組みの中では、高い成果を上げる人や、給料が上がるまで時間のかかる若手の優秀な人が辞めていってしまうようです。自分の同世代のいわゆる「JTC」に新卒で入った人たちもどんどん転職していて、なんなら転職してないほうが少ない?という錯覚さえ覚えます。

特にIT系の人とか顕著で、優秀な人がどんどん、最近本社移転した水色のクラウドの会社とか、品川にある365な会社とかに移ったり、コンサルブームでコンサル行ったりとかしているような気がします。

結論この本は面白かった

まぁそれはいいんですが、自分がやる分には、チーム運営ではとても微妙で絶妙なバランスで、人によって価値観が白でも、他の人が黒の場合どうするかみたいなお題が日々あるなかでなんとかしないといけないのがホンネです。

なのでNetfilixみたいな入り口から出口までの考え方・組織文化に一貫性があるのは見事だしここに至るまでに苦労も多かったんだろうなと思いました。

書いてあることは「参考にはできても鵜呑みにはできない」という位置づけでしたが読んで、あれやこれや考えてみる価値はある一冊です。ただ、色々考える上ではとても良い本だと思いました。面白いし。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?