伝説のベトナム井戸(6643文字)
ベトナム中部にある最大の町「ダナン」から乗ったローカルバスの中で大学生の田中美子(たなかよしこ)は、長い髪をなでながら祖父の故郷に近づく気持ちの高鳴りを心の中で抑えていた。
バスはダナンの町から乗客だけでなく荷物だけを届けるような貨客のサービスを行うなど、日本のバスとは違う動きをしていた。しかし美子はそのような事は全く気にもとめない。
バスはダナンの町の郊外にある岩山を抜けてから小1時間で、この日の宿泊先であるホイアンの町に到着した。
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