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日々掌編短編小説(そよかぜの千夜一夜物語)

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2020年1月1日から、ほぼ毎日掌編小説を執筆中。東南アジア小説をはじめ、興味のあるあらゆるジャンルをネタにして作品を発表しています。ちなみにこちらには「書き下ろし」としてしばら…
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#東南アジア小説

振り返りnoteと千円札 第1000話・10.21

「こんなところに千円札が......」千本達成(せんぼんたつなり)は、千円札を見てため息をつく…

ロック 第867話・6.9

「急げ!戻ろう(Nhanh lên! Tôi phải quay lại)」ここはとあるベトナムの町の中。グエン…

少女の洞窟舞踊 #第二回絵から小説  第758話・2.20

「この奥で、本当に踊っているのか?」横田は洞窟の前に来ていた。横田は6か月前から東南アジ…

テトと節分 第741話・2.3

「なるほど、テト、はいはい、聞いたことありますよ」グルメ雑誌の編集長で記者も兼任する茨城…

アンコールは近い? 第656話・11.9

「日付が変わったから、今日はカンボジアが独立した日だってね」「おい、血迷ったか!今それど…

霜降 第639話・10.23

「圭さん、これ霜降だよ」石田圭は妻のベトナム人ホアがパソコン画面のある画像を見せようとす…

水上人形劇のお土産 第622話・10.6

「何見ているの?」「5年前の写真だよ」顔をの表情を緩ませている文彦は、3年前に結婚した妻・早紀と独身時代に行った海外旅行の写真を懐かしそうに眺めた。「ああ、ベトナムのね!」いつの間にか早紀は、文彦の隣にいて彼の肩に両手を置きながら、懐かしい写真を一緒に眺める。そして5年前の記憶を思い起こされた。 ------ 「本当にいい雰囲気の湖だね。早紀ちゃんハノイまで来てよかったよ」文彦は、早紀とハノイの真ん中にる夜のホアンキエム湖を散策した。 ふたりは、遠距離恋愛中。半年ぶりにリ

マレーシアの海外文学 第614話・9.28

「キャメロンハイランドって知っているか」突然兄が、俺に話しかけてきた。「え、ああマレーシ…

駅にまつわるエトセトラ BY Hua Lamphong Station 第591話・9.5

「今日はパラリンピックの閉会式があるんだってな」大地がテレビのチャンネルを回していると、…

野良犬が見ていた独立の日 第572話・8.17

「ふう、暑いわ。早く日が暮れないかしら」「まあな。でも、心配しなくても、そのうちいつもの…

越南最終皇帝 第561話・8.6

「陛下、どうやら日本も終わりのようですな」首相のチャン・チョン・キムは、陛下と呼ぶ皇帝の…

立憲革命と同時に流れたピアノメロディー 6.24

「呑気なもんだね」ここはタイの北部チェンラーイ。タイ人のソムチャイが頭を上げて1時間以上…

リトルパリ・サイゴンに来た若き実業家の卵

「そうか、半日も自由時間があるのか」ときは幕末。  開国後の日本では尊王攘夷の風が吹き荒…

伊良湖への御挨拶を終えて

「私のふるさとどうだった?」  成美は昨年の年末に再会し、自然と付き合うようになったベトナム人フットに声をかける。フットは小さくうなづくが視線は目の前の海を眺めていた。  ここは伊勢湾を航行するフェリーの上。愛知県の伊良湖岬から三重県の鳥羽に向かう途中である。 「あのう、ナルミさんのご両親優しかった」数分後にようやく口を開いたフット。  実はふたりは本気の交際。成美はベトナム中部の町ホイアンで2017年にフットと出会った。彼にホイアンの町をガイドしてもらっているうちに親しく