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ただいま。

久々の京都の町だ。
あの時から2年、おばあちゃんに会いに来た。

三十三間堂の裏手の界隈で、
狭い隙間にあるような家だった。
おばあちゃんなんてものはこういう、
古臭い家に住んでるもんだと、
小さい頃は思っていたが

いやはや、父さんはここで大人になるまで
育ったわけだ。
凄いな、それって

部屋は二つ。洋服を置いてある小部屋が奥にあったが、まさかの外壁が見えてしまう、トタン部屋だ。
部屋からガラスの引き戸を開けると、一段下がってそこには台所がある。
台所には高い天窓から光が差し込んでいる。
ただ、真っ黒の木の壁が、台所をより暗くするし、底冷えの京都の冬には、寒々しさをさらに演出してしまう。

ここで父さんは育った。
兄弟5人、7人家族で!
いや、
おばあちゃんが育てたのか!

駅に降り立つと、
最近新しくなったばかりの
綺麗な京都駅ビルを抜けて
京都タワーを仰いだ。

賑やかな駅周辺をあとに
おばあちゃんの家に向かうため
線路沿いを東に歩く。

時折、新幹線が線路を走る。
昔は乗ったことが無くて、見るだけで憧れた。
おばあちゃんの家までずっと線路は続く。
線路の向こうに、何があるか
子供の頃は分からなかった。
今は、自分の帰り道だと知っている。

おばあちゃん、元気かな。
よろよろだけども、
だいたいなんでも用意してくれる。
(布団までひこうとするから、止めなきゃならない)
人の話を聞く時は、
正座して、目を見る人だ。
朝は、早くに起きて
ご飯を作ってくれる。
大したことなくても
コロコロと笑う。

今日は、東京銘菓を持ってきた。
また、
「あーそー、凄いなぁ。」
と、
何かは、知らずに驚いてくれるのだろう。

ふふふ。

ただいま、おばあちゃん。





#随筆#エッセイ
#旅する日本語

#寸景
(すんけい)・・・日常生活に見える風景、人物の姿態などを撮った写真。

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