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関西の冬の野鳥

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私が、観察したことがある関西で冬に見られる野鳥に関する記事です。
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集団で行動する冬鳥 マヒワ

集団で行動する冬鳥 マヒワ

 いつのまにか、4月になり夏鳥たちが登場する季節になりました。当noteでも、冬鳥から夏鳥に衣替えの予定でしたが、最後に今冬シーズンの野鳥観察で、私にとって象徴的だったマヒワについて、買いてみたいと思います。

 象徴的と書いた理由は、今冬シーズンにマヒワを何度も観察したということです。
 関西のとある場所に現れたマヒワの群れの中に、ベニヒワが混じっているとの情報があり、ベニヒワを見たいために通っ

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臆病者で大胆、かつ、騒がしい野鳥 シロハラ

臆病者で大胆、かつ、騒がしい野鳥 シロハラ

 裏山では、もう少しするとジョウビタキが、北に向けて旅立ちます。ジョウビタキがいなくなると、越冬している冬鳥は、シロハラと国内で繁殖するルリビタキ、アオジぐらいになります。

 シロハラが越冬する様子について、書いてみたいと思います。

 シロハラは、ウスリー川流域やアムール川下流域で繁殖し、越冬のために、日本に戻って来る冬鳥です。
 裏山では、10月中旬頃から鳴き声が聞こえ始め、4月末頃に旅立ち

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突然現れ、素早く立ち去る野鳥 レンジャク

突然現れ、素早く立ち去る野鳥 レンジャク

 先日、突然、我が家の近くにヒレンジャクの群れが現れました。50羽以上。多数のヒレンジャクが我が家の近くに現れたのを確認したのは、10年ぶりです。

 ヒレンジャクは、群れで行動します。食べ物を求めて移動し、発見すると暫く滞在。食べ尽くすと、次の食べ物を求めて、移動していきます。タイトルの通り、突然現れて、素早く立ち去ります。
 今回は、たわわに実ったクロガネモチの実を2日程で食べ尽くして、去って

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冬に現れる喉の赤い鳥 ウソとアカウソ

冬に現れる喉の赤い鳥 ウソとアカウソ

 新年を迎えたと思ったら2024年も3月中旬。もう少ししたら夏鳥が戻ってきて、冬鳥が旅立つ季節になります。2023-2024年の冬シーズンは、赤色の野鳥を多く観察しました。その中でも、ウソは例年に比べて、観察できた回数が多かった気がします。
 特に今シーズンは、ウソの亜種であるアカウソにも、何度か出会いました。

 ウソは、本州中部より北の山地で繁殖し、冬に越冬のため関西に現れます。なお、北海道に

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絶滅危惧種のカモメ ズグロカモメ

絶滅危惧種のカモメ ズグロカモメ

 ユリカモメによく似たカモメにズグロカモメがいます。見た目の配色はほとんど同じで、一部が異なりますが、遠目から見ると同じように見えます。
 ズグロカモメもユリカモメと同様に、冬は全身白色で、夏になる頭が黒色になります。
 体長約32cm。冬は全身、白っぽい色です。頭〜胸・腹は白色、背中・翼は淡い灰色、嘴は黒色、脚は赤色、眼の後ろに黒い紋斑があります。

 一方、夏は頭が黒色になります。ユリカモメが

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冬に現れるカモメ ユリカモメ

冬に現れるカモメ ユリカモメ

 ユリカモメは、冬、関西に現れるカモメの一種です。

 カモメと言えば、夏の青空をバックに颯爽と飛翔する白色の姿が想像されます。また、童謡「カモメの水兵さん」で唄われた「白い帽子、白いシャツ、白い服。波にチャプチャプ浮かんでる。」の歌詞から可愛らしくて、純粋なイメージを持ちます。
 しかし、実際のユリカモメは違うようです。どちらかというと狡賢い、荒くれ者です。

 ユリカモメは、カムチャツカ半島や

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冬に現れるカモたち(3) 採魚ガモ・アイサの仲間

冬に現れるカモたち(3) 採魚ガモ・アイサの仲間

 潜水ガモについて記載しましたが、次は採魚ガモについて記載したいと思います。
 カモは、水中に潜らない陸ガモと水中に潜る海ガモに大別されます。さらに海ガモは、潜水して水底で水草などを採食する潜水ガモと潜水して魚を捕えて食する採魚ガモに分かれます。
 採魚ガモは、アイサ属・ミコアイサ属に属するカモ達です。

 冬の関西で、例年、観察できるアイサは、ウミアイサ、カワアイサ、ミコアイサの3種です。
 ア

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冬に現れるカモたち(2) 潜水ガモ・ハジロ属

冬に現れるカモたち(2) 潜水ガモ・ハジロ属

 陸ガモについて記載しましたが、次は潜水ガモについて記載したいと思います。
 カモは、水中に潜らない陸ガモと水中に潜る海ガモに大別されます。さらに海ガモは、潜水して水底で水草などを採食する潜水ガモと潜水して魚を捕えて食する採魚ガモに分かれます。潜水ガモはハジロ属に属するカモ達、採魚ガモはアイサ属・ミコアイサ属に属するカモ達です。

 関西で安定的に観察できる潜水ガモは、ホシハジロ、キンクロハジロ、

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冬に現れるカモたち(1) 陸ガモ・マガモの仲間

冬に現れるカモたち(1) 陸ガモ・マガモの仲間

 関西で観察できるカモ類は、カルガモを除いて、冬鳥として海や川、湖沼などに現れます。カモは、野鳥の中では大型で、ラグビーボールを押し潰したような平べったい身体に丸いボールのような頭がついていて、水面をぷかぷかと浮いているイメージです。
 カモは、多くの種があり、様々な分類があるようです。カモについて、書きたいと思ったので、山階鳥類研究所のホームページに記載されていた①陸上や水面下で採食するカモ、②

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地面で採食する冬鳥 ホオジロの仲間4種(2)

地面で採食する冬鳥 ホオジロの仲間4種(2)

 アオジ、クロジ、ミヤマホオジロ、カシラダカの4種は、冬鳥として、関西に飛来します。

 アオジは、北海道や本州中部以北で繁殖し、冬に関西に現れます。
 体長16cm。オスは、緑かかった黒っぽい頭、背・翼は褐色に黒色の縦縞。喉から胸・腹が黄色です。メスは、オスと比べると、全体的に褐色で、頭も褐色、喉から腹の黄色もオスと比べると鮮やかではなく、褐色の縦縞が目立ちます。

 クロジは、本州中部以北に留

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地面で採食する冬鳥 ホオジロの仲間4種(1)

地面で採食する冬鳥 ホオジロの仲間4種(1)

 関西で見られる冬鳥に、アオジ、クロジ、ミヤマホオジロ、カシラダカの4種がいます。いずれもホオジロ属に属し、地上に降りて、落ちた種子などを食べる共通点があります。

 アオジを漢字で現すと、「青鵐」。「鵐」(「巫鳥」)は、「しとど」と読み、ホオジロやアオジなどの小鳥を示す古い名前のようです。「青」は、昔から緑色を青と表現してきた名残で、緑色のホオジロの仲間ということです。

 クロジを漢字で現すと

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赤色の冬鳥 マシコ3種

赤色の冬鳥 マシコ3種

 マシコは、アトリ科の中で、マシコの名前が後ろにつく属の総称です。マシコを漢字で書くと「猿子」。ニホンザルの顔のように赤い色をした野鳥なので、マシコと呼ばれます。
 関西で観察できるマシコは、ベニマシコ、ハギマシコ、オオマシコの3種です。

 3種の中で、ベニマシコは、河川敷や草地なと様々な場所で出会えますが、ベニマシコ、オオマシコの2種は飛来数が少なく、山地など限定された場所にしか飛来しないので

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優雅な冬の渡り鳥 オオハクチョウ、コハクチョウ

優雅な冬の渡り鳥 オオハクチョウ、コハクチョウ

 オオワシと並んで、琵琶湖に現れる冬鳥に、コハクチョウがいます。

 コハクチョウは、古来から白鳥(しらとり)と呼ばれて親しまれている白色・大型野鳥の一種です。
 古くは、「古事記」にヤマトタケルノミコトが、東国の征伐からの帰路、伊勢国で力尽きて、白鳥になって河内国に飛んで行ったという記述があります。また、滋賀県の伊香具神社には、天女が白鳥の姿になって水浴びに来ていたが、天に帰るための羽衣を漁師が

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冬の琵琶湖のスター オオワシ

冬の琵琶湖のスター オオワシ

 関西で野鳥を観察する者にとって、冬の気になる存在が、長浜市湖北町に現れるメスのオオワシです。今年(2023-2024年シーズン)で、26年連続の飛来。標高324mの山本山を寝ぐらとするので、「山本山のおばあちゃん」と呼ばれています。

 オオワシは、カムチャッカ半島などのロシア東部で繁殖し、越冬のために北海道や本州北部に現れます。オオワシと言えは、流氷の上で死に絶えた動物の肉を複数のオオワシやオ

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