冬に現れるカモたち(3) 採魚ガモ・アイサの仲間
潜水ガモについて記載しましたが、次は採魚ガモについて記載したいと思います。
カモは、水中に潜らない陸ガモと水中に潜る海ガモに大別されます。さらに海ガモは、潜水して水底で水草などを採食する潜水ガモと潜水して魚を捕えて食する採魚ガモに分かれます。
採魚ガモは、アイサ属・ミコアイサ属に属するカモ達です。
冬の関西で、例年、観察できるアイサは、ウミアイサ、カワアイサ、ミコアイサの3種です。
アイサを漢字で表すと「秋沙」。「アキサ」の読みが時間の経過とともに「アイサ」になったのだと思われます。「秋沙」の由来は、諸説あり、有力な説は、「秋が去り、寒くなると、北から渡ってくる」ということからです。
3種のアイサは、シベリアなどのユーラシア大陸北部で繁殖し、冬季に日本に飛来します。他のカモは秋が始まる頃に飛来するのに対して、アイサは秋が終わる頃に飛来することから名付けられたのだと思われます。
ウミアイサは、オスが全長約59cm、メスが52cm。オスは、頭が光沢のある緑黒色、首が白色、首の下の胸が褐色、上面が黒っぽい色、側面が白色とその下が灰色に黒い縦縞があります。メスは、頭が褐色、胴体が灰褐色です。オスもメスも、嘴、眼は赤色で、冠羽があり、頭がボサボサに見えます。
ウミアイサを漢字で表すと「海秋沙」。漢字の通り、海にいるアイサということです。
カワアイサは、オスが全長約68cm、メスが約60cm。オスは、頭が光沢のある緑黒色、首から胸、側面が白色、上面は黒っぽい色です、メスは、頭が茶褐色、胸から下面が白っぽい灰色、上面が灰褐色です。オスもメスも嘴は赤色です。メスには短い冠羽がありますが、オスにはありません。その代わりオスの後頭部は、膨らんでいます。
カワアイサを漢字で表すと「川秋沙」。漢字の通り、川にいるアイサということです。
ミコアイサは、オスが全長約44cm、メスが約38cm。オスは、全体的に白色で、目の周り・後頭部・背が黒色、胸に2本の黒い線、側面に1本の黒い線があります。メスは頭と首の後ろ側が褐色、首の前側が白色、上面が灰褐色、下面は灰色です。
ミコアイサを漢字で表すと「巫女秋沙」。オスの姿が、巫女の白装束のように見えることから名付けられたようです。
3種のアイサは、海・川・池などで観察することができます。陸ガモや潜水ガモが夜行性で、昼間、休憩していることが多いのに対して、アイサ3種は、魚を採るために潜水している姿をよく見ます。
昼間に活動する川魚を捕らえるために昼間に活動しているのかもしれません。
アイサを観察していると感じることがあります。ヒドリガモやオナガガモなどの陸ガモが、ずんぐりむっくりした体型であるのに対して、アイサはすらっとした体型です。特に頭は、陸ガモが丸いボール形であるのに対して、アイサは細長い形です。例えるなら陸ガモが0系新幹線、アイサが500系新幹線というような感じです。
水の中に潜って、逃げる魚を追いかけて捕まえるためには魚より早いスピードで泳がなければならないので、水の抵抗を抑えるために頭が流線型になっています。
また、逃げる魚を咥えるために、嘴も長くなっています。さらにカワアイサの嘴の先端は魚を確実に捕まえれるように鉤形になっています。
私の観察した経験では、ミコアイサは少し大きめの池にいることが多く、池の中心で数羽が集まっています。他のカモに比べて、ミコアイサの白い羽は目立ち、ミコアイサの存在を容易に確認させてくれます。
ウミアイサは海で出会うことが多く、満潮時には陸の近くまで、来てくれます。ウミアイサを観察する場合は、満潮時に行くことがおすすめです。
ウミアイサは、何羽かで一緒に居ることが多く、海に潜って、20〜30秒程すると浮き上がってきますが、しばらくすると、また潜ります。浮き上がってきそうな場所を予測して、ウミアイサを探さないと見失ってしまいます。
カワアイサは流れが緩やかな川幅のある川にいることが多いと感じています。ウミアイサと同様に複数羽でいます。
カワアイサは、アイサ3種の中で、最もスマートな体型です。水面を泳いで行くと、船が進んだ後にできる航跡のような波ができます。ミコアイサやウミアイサでは、あまり見られないので、スマートな体型で早いスピードど動くカワアイサだからできるのかも知れません。
また、川や海だけではなく、大きめの池には、ウミアイサやカワアイサも、現れる場合があります。運が良ければ、ミコアイサ、ウミアイサ、カワアイサの3種を同時に観察できるかも知れません。
こんな感じで、採魚ガモを観察しています。
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