見出し画像

第百九十八回「昔書いた文章ネームを披露」

’23年11月30日

近況

 漫画の持ち込みをするのが明日なので、日記を書く時間があまりないので、もう一つの持ち込み候補だった「マンガノチカラ」を披露してみる。こちらの方が描く労力が少なかったので、こちらにしようかと思ったのだが、もう一方が泣かせる話で、もう一つも泣かせる話だと話がかぶるような気がしたので、全く違う路線の「スカスカ世界と騙される神」を持ち込もうと思った次第である。
 作業は残り12ページ。朝から取り掛かっていたらとっくの昔に完成させていた。明日の12時くらいまでに完成させないとなあ。というか、今日寝ないで完成まで漕ぎつけよう。

 ちなみにこの文章ネームは10年くらい前、テレビが地デジ化する頃に作った代物です。

「マンガノチカラ」


普通ーー
普通って何だろう?
皆が普通と思っていることでも、
それが誰かにとって普通とは限らない。

僕の場合はその普通が
とても遠い遠い憧れだったーー

マンガノチカラ(タイトル)

僕の家は五階建ての古びた団地の五階だ。
エレベーターなんてものはないし、
駅からも物凄く離れている。
家賃が安い。
そんな理由だけでお母さんがこの場所に決めた。

お母さんがそんな不便な場所に決めたのは、
お母さんがお父さんと離婚して
僕と一緒に暮らす道を選んだからだ。
お父さんは毎日パチンコをして散々だった挙句、
他の女の人と不倫して出て行った。

だから、僕はお母さんと暮らすしかなかった。
お母さんは父さんが作った借金を背負いながら、
僕を育てている。

(朝、手で握ったおにぎり二個と「食べていってね」の文字)

だから、僕んちは貧乏だ。

小学校には正直通いたくない。
駅近くのでっかいマンションに住んでいる奴らが
僕んちが貧乏なのをなじるのだ。

小学校でも仲間外れだ。
皆防犯ブザーとか
携帯電話何かを持っているみたいで、
それで遊んでいるけれども、
僕には持たせてくれなかった。
代わりに安い笛をくれたけど、
それが逆に周りに浮くことになってしまった。
友達もいなくて、
誰も話してくれなくなった。
最初の頃は話してくれる子もいたけど、
僕が貧乏なことが理由で話しかけてくれなくなった。
こういう時、先生が助け船を出してくれる筈だが、
それもない。
クラス一頭がいい勉がクラスメイトを率いて、
僕がいじめられているのを
密かに先生に隠しているのだ。
頭がいいから彼には太刀打ちできない。

授業もつまらない。
小学五年生に挙がった途端に難しくなって、
わけがわからなくなった。
特に算数。
何をやってるのかさっぱりだ。
勉を含めて周りの奴らはそれを教えてもらうために、
塾に行かせてもらうのだろう。
それなのに、塾行くのやだなとか言ってやがる。
学校の授業の暇を潰せるじゃないか。
それを拒むなんて僕には理解が出来ない。
この先に中学高校と待っている。
だけど、僕はここで止まりだ。
大学や専門学校に行く金なんてない。

だったら何で学校なんて行くのだろう?
給食を食べるためぐらいしかない。
お母さんは休みの日に二食分しかくれない。
だから、給食をきちんと食べなさいとかいう。
給食費を払えないと
先生や勉達に文句を言われている僕の身にも
なってくれよと思う。

学校の後だってつまらない。
何かやれって入った図工部だって、
顧問の先生に子どもがいるらしく
五時になったらすぐに終わる。
長い時間やれないから絵を書く時間もないし、
そういう理由で皆ふざけてる。
僕一人何かを描く。
でも、先生は何も教えてくれない。
大体いつもそんな感じだ。

家に帰っても憂鬱だ。
誰もいないし、何もない。
テレビが映らなくなって大分日にちがたつ。
パソコンだってないし、
あるのはお母さんが好きだったという
CDとそれを聴くステレオだけ。
お母さんが好きだった曲しかない。
こんなの誰も聴いてないよ。
そのCDもなんでか知らないけど、
日に日に減っていくのがわかるし。
だから、ラジオを聴きながら、
洗濯物を畳んだりしながら
お母さんが帰ってくるのを待つ。
ラジオは野球がやっているけど、
僕にはルールがいまいちよくわからない。
だけど、暇を潰せるものがないから、
それで済ます。
テレビなんで映んなくなっちゃったんだろう?
それがあれば、
まだ他の人が話していることが分かったのに……
貧乏なんてそんなことを
言われることがなかったのに……

でも、お母さんの事を僕は恨めない。
「いっつも、苦労かけてごめんねって言われるからだ」
お母さんは僕を若くして生んだ。
子どもの頃はお母さんは怒ってばかりだった。
お父さんもいたからお父さんと喧嘩ばかりしていた。
お父さんと離婚してからも
僕の事を怒っていた。
「お前のせいで私の青春がなくなった」
何度も何度も言われた。
お母さんが僕を生んだのは十六歳で
青春真っただ中だった。
言われたけど、殴られたことはなかった。
だけど、小学生に上がる時に一回殴られて、
「ごめんね、私が強くなかったからなのに、
ごめんねって」って意味もよくわからず言われて、
それからは怒らなくなった。

夜遅くお母さんが帰ってくると、
必ず僕の事をギュッと抱きしめる。
そして、「エネルギーチャージ終了」とか
よくわからないことを言って、
僕に寝るようにせがみ、僕はその通り寝る。
でも、僕はそんなお母さんを
そんなに好きにはなれなかった。
好きなら、もっと僕に楽しめるものをくれよと思ってた。
でも、僕はその言葉をいつもいつも
グッと口を押さえていた。

月曜日は嫌いだ。
決まってみんなアニメの話になるからだ。
ワンピースやトリコ、
みんな揃って口にする。
挙句には学校にジャンプを持ってきて
読んでいたりする。
学校にはそういうの
持ってきちゃいけないはずなのに。
でも、先生は何故か注意しない。
逆に話に進んで入ろうとしたりする。
大人なのに少年の漫画なんて読むなよ。
去年の担任はそういうところビシッとしてたぞ。
僕はそんなことを毎週思っていた。
貧乏人と普通の人達の差がはっきりと出るのが、
この月曜日だった。

(クラスで一番頭のいい少年、勉)
「おいビンボ、お前んちジャンプも買えねえんだろ」
(ビンボ、じゃない、武内崇っていう名前が僕にはあるんだ」
「…………」
「読ませてやろうか?」
「ほ…」
「バーカ、誰がお前なんかに見せるかよ」
屈辱だった。
誰が少年ジャンプなんか見るか。絶対に見るものか。

テレビがまだ映っていたころ、
僕はアニメが大好きだった。
ワンピースもドラゴンボールもトリコも、
ナルトもバクマン。も銀魂だって、
スケットダンスだって好きだった。
次は一体どうなるんだろう?
毎週続きが楽しみでワクワクしていた。
周りがどんな事を言っているのかも
わかったからこんな僕でも友達がいた。
でも、僕の家のテレビが終わったから、
全てが終わった。

だから、次の誕生日の事なんて、
僕は何の期待もしていなかった。

「ねえ、崇、誕生日、何が欲しい?」
そう聞かれた時、
「……いらない」
「何で? 誕生日なのに」
「いらないったら、いらないんだよ。
テレビ見るのだって無理なのに、
何が一体買えるっていうんだよ!!」
「………ごめんね。
そうだよね。ごめんね。お金なくてごめんね」
(抱きつく)
「……週刊少年ジャンプ」
「え?」
「週刊少年ジャンプが読みたいんだよ。
みんな見てるのに僕だけ見れないんだ。
あれなら安いんじゃないの?」
(僕は気を使った)
「一週だけじゃ、つまらないんじゃないの?」
「一週だけでもいい」
とにかく、一週間だけでもいいから、
みんなが楽しんでるものを見てみたかった。
お母さんは買ってきてくれた。
最初は確かに面白かった。
……でも、次第に空しさだけが届いた。
続きが見れない。
それでも何度も何度も読むことにした。
そんなある日の事、
「へへん、崇君にプレゼント」
五週分のジャンプが僕の元に届いた。
最新号じゃないけど、僕が読んでいないものだ。
「どうしたの?」
「あのね……買ってきたの」
「やった、続きが見れるよ!!」
僕は嬉しかった。
一冊分を買うのも難しいのに、
何で続きで買えたのだろう?

その後も何度かそういう事があった。
それは必ず古い号で、
でもたまに抜けた号数があって、
僕は何で何だろうと疑問に思っていた。

そして、そのからくりを知ることになる。
(帰り道)
「おい、ビンボ。今週のジャンプ、
ワンピースどんな展開か知ってるか?」
「……知らないよ」
(知りたくない。
知っちゃったらお母さんが買ってきた時に
展開がわかっちゃうし)
「知るわけないよなあ。
だって、お前んちのジャンプ、
お前の母ちゃんが
ゴミ収集日に拾ってきたものだもんな」
「……!!……」
「やーい、ビンボー、ビンボー」
僕は悲しかった。
あれは買ったものじゃなくて他人が捨てたもの。
そんなものを僕は大切にしていたのか。
(走って家に帰る)
(その姿を見る一人の女の子)
(家にあったジャンプを投げようとする。
投げて壁に当たり、その表紙で笑っているルフィの姿を見る。
悲しかった。どう表現したらいいかわからなかった。
夜、母親が帰ってくる。
「お母さん」
「何?」
「あのジャンプ、ゴミだったんだね」
「………そう、わかっちゃったの……」
「もう拾わなくていいから、
そこまでして続きなんて見たくないし」
「…………」
「ごめんね」
「寝るから」(寝ながらも涙が止まらない崇)
(もういい、僕には将来も楽しみもないんだ)

(次の日、机に突っ伏している崇)
女の子が崇に話しかける。
「ねえねえ、ジャンプいる?
私が読んだのでよければ、あげようか?」
(クラスでも目立たない女の子、葵が話しかける)
「え?」(驚く崇)
「私もお小遣い500円しかないから、
毎週買えないんだ。
そういうところは君と同じ。
でも、お兄ちゃん高校生でバイトしているから、
毎週買ってきてくれるの。
読み終わったら私にくれるから
私が読んだ後でよければ、あげるよ」
「……貧乏と仲良くしてるってからかわれるよ」
「いいよ、そんなの。
そう言ってくる人の方が悪いって
どんな人でも仲間にしてくれるって
きっとルフィだったらそういうよ」
「…ありがとう」
次第に仲良くなる二人。

しかし、それを見て気を悪くするいじめっ子
勉「葵、お前正気か?
こんな奴と関わるなんて
おい、ビンボ。
お前は大学には行けない。
塾にも行けない。
専門学校にも行けない。
日本も駄目になっているだろ。
俺たちは塾にだって行ってる。
お前に将来なんてねえんだよ。
葵「そんなこと、まだ小学生だよ?
わかるわけないじゃん」
勉「わかりきってるだろ?
何の取り柄もない人間が
どうやって食っていくんだよ」
葵「これからじゃない。
何で今の状況だけを見て生きていくのよ」
勉「じゃあ、こいつに何が出来るってんだよ」
葵「漫画よ。崇君、絵がうまいのよ」
勉「漫画~?」
葵「そうよ。バクマンの二人だって十四歳から頑張って
漫画家になって夢を叶えていってるじゃない。
まだ私たち十一歳だよ?」
勉「でも、所詮漫画の話だろ?」
葵「実際に崇君の絵を見てみなよ」
(見て、絶句するいじめっ子達)
勉「馬鹿じゃねえの?
絵はちょっとはうまいかもしれないが、
お前だってバクマン読んでんだろ?
漫画家になれるわけないじゃないか!
俺の父ちゃんたちは公務員を目指せって言ってる。
その方が可能性が高いだろ」
葵「馬鹿はそっちの方よ。
公務員が減らされている時代なのよ。
私たちが大人になる時は
もう入れないかもしれないじゃない。
私のお兄ちゃんだって勉強が出来なくて、
それでも夜間高校で頑張ってくれてるの。
昼間バイトで働いて夜学校に行ってるの。
お金って大切なのに、
崇君みたいにお前はちょっとでも
友達と話を合わせられるようにって、
家にお金を入れてて少ないお小遣いから
私にジャンプ買ってくれてるんだから。
みんながみんな一緒じゃないんだから!!」
勉「……悪かった。俺もさ、親に公務員になれって
いつもいつも言われててさ、
俺はさクラスで一番頭いいけど、
塾ではもっと頭いい奴がいてさ、
そいつのせいで親からいろいろと言われたりして、
お前を馬鹿にして
憂さ払うくらいしかできなかったんだよ。
ごめんな。そんなの頭がいい奴がやることじゃないよな。
頑張って漫画描いてみろよ」
崇「…ペンと原稿用紙がないよ」
葵「とりあえずネーム描いてみなよ」
崇「ネーム?」
勉「クラスの皆でお前の為に
原稿用紙とインクとペンをみんなで買おうぜ。
ちょっとずつ、金払ってみれば、
それくらいできるかもしれないしさ」
崇「…ありがとう」
勉「今までお前に悪いことした分、
それくらいしてやらないとな」
崇「…本当にありがとう……」

(絶対にこれが賞をとるとは思えない。
でも、僕の中では自分が頑張る事が
彼らの期待に答えることだと思った)

結果の号を見た。
絶対に受かると思わなかったのに、
最終選考一歩手前で一万円貰えた。

葵「今頑張ればきっとなれるよ」
崇「そうだよ、頑張れよな」

天才かばくち打ち、バクマンではそう言われてた。
だけど、不況の世の中、
僕が自分の現状を打破するためには
そのばくち打ちの人生を切り拓くしかない。
一か八か、僕はその人生をかけようと思う。

 マンガノチカラ 完


今日のTwitter(現X)

@今日も今日つぶやいたTwitterの内容をコピペ。

11月30日8時45分。目覚ましかけ忘れ。今起きる。

9時。10時まで寝る。

10時。11時まで寝る。教訓が生かされてない。

11時。まだ寝てる。12時に起きる。

12時。まだ寝てる。今日も少し眠りたいと思ったばかりに。

13時。まだ寝てる。そろそろ本当に起きなきゃ。

14時。まだ寝てた。まだ寝ないで好きなことをやればいいのに。

15時。まだ寝てる。あーあ。

16時。まだ寝てた。これ以上寝てると持ち込みに行く作品ができないので、起きる。

17時。起きて飯を食い、それが足りなかったので、おやつにポテチを食った。その間、葬送のフリーレンとアンデットアンラックを見た。

18時。アンダーニンジャとスパイファミリーと16ビットセンセーションを見た。

19時。なんかまた寝てしまった。大丈夫か、自分。

20時。また寝てた。もうネームができるまで眠らないようにしよう。

21時。文章のネーム化の作業。その三8ページ目まで完成。

22時。文章のネーム化の作業中。その三12ページ目まで完成。 今日の日記は昔書いたマンガノチカラの文章ネームのコピペ。手抜きです。

@(以上22時35分まで日記を書いた)

23時。日記を書いて飯食ってこれから食器を洗うところ。

24時。文章のネーム化の作業中。その三15ページ4コマ目まで完成。 今日は完成までここで呟く。

25時。文章のネーム化の作業中。その三20ページ目1コマ目まで完成。 あと約4ページちょい。

25時50分。文章のネーム化の作業、その三24ページまでで終了。何とか間に合った。

明日の目標

漫画の持ち込みに間に合わせる。
(午前3時には完成させる)
編集の方に何を言われてもめげない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?