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スルターン 第三回インド大映画祭

「囚人ディリ」でインド沼サークル外の人達を深く大きく沼に、はまらせたカールティが主演とあって、寡黙な男の渋〜い話かと思いきや、どっこい!正統派マサラムービーだった。
誕生・大切なひとの死・恋に落ち結婚・裏切り・仲間の離反、そして…と一生分のイベントを全部盛り。
内容もタダの踊って歌って♪だけでなく、ヤクザからの農民へお仕事シフトチェンジがテーマだ。土地の利権からみのラスボスがいかにも強面でダブルのスーツで決めセリフ吐いたり、”お米(食べ物)は買うものじゃなく作るもの”とヒロイン(ともさかりえ似)に語らせたり。深いのである。

おっさんだらけ

 お約束の群舞では、ラグビーのオールブラックス“ハカ”のように唸りながらシコふんだり、五輪の聖火ランナーに模した壇上で松明を点灯させたり、と最近のトレンドをも押さえており、クスリと笑わせくれるシーン多数。
変化球では、兄弟たちが雑魚寝睡眠中にスルターンを襲撃するところ。夜中に音やうめき声をたてずにひとりで数人相手に闘うシーンもクールだった。

 そして、登場人物がほぼほぼおっさんばかり。
おっさん十数人が踊ったり、おっさん各々が市場に潜入し襲撃の時を今か今かと息をつめたり、おっさん数十人の田植えでみんな腰痛めたり、スリリングな場面とゆるーい場面が交互にやってきて、緩急がうまい。
 スルターン親友役でナポレオン(「囚人ディリ」の赴任してきたばかり警察官)がちょい役出演。ディリとナポレオンはバディだったし、ここでも。

●汗臭さいちばんのおっさん ヨーギ・バーブ扮する:ポンコツ
 サイババみたいなアフロ髪とよれよれ感、本来はコメディアン役者だって

●男気いちばんのおっさん 総長マルマーン(だったかなw)
 ボスの弔い合戦に燃えるリーダーだったが、スルタンにはめっぽう弱く最期は泣かせる

●ガタイいちばんのおっさん ボディガードのガダ 
 たぶん身長2mはあるだろうがスルタンには従順、ときどき乙女な横顔も

ええやんタミル映画、これからも応援してるで。と激しくエールを送ってしまうのであった。 さぁ、おっさんだらけのダンスをどうぞ!

ストーリー

以下、さわりをちょっとだけ

チェンナイのヤクザ頭領の家に生まれた赤ん坊「スルタン」は、誕生と同時に母を失ったが、ヤクザの手下兄弟たちに可愛がられて育つ。
成長したスルタンが実家に帰省し、手下達は大はしゃぎでパーティを催したところ、反対勢力から襲撃を受け、父を失う。
兄弟同様の父の手下を守るため、ヤクザ撲滅を掲げる警察の新長官と、半年間暴力沙汰を起こさない条件で取引をするスルタンだったが、父は亡くなる前に農地買収の反対者は皆殺しされている、と訴えてきた、ある村の農民たちと約束を交わしていたのだった。


Sulthan  (2021年)インド
監督・脚本:バーギヤラージ・カンナン
出演:カールティ、ラシュミタ・マンダナ、ヨーギ・バーブ、

南インドのビリヤニと北インドのナン・セット

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