2023年 MY偏狂映画まとめ
さまざまな映画の愉しみ方がある中で、私は欧州もの、旅もの、ミステリーが好みです。
2023年は60本映画を観ました。
一般的映画ファン:いわゆるハリウッド話題作品にはあまりそそられません。それでも好きな監督や好きな俳優がでていれば見るし、アカデミー賞やカンヌ映画祭で高評価だった作品はチェックするようにしています。
図らずも、ジェンダーについて深く考える一年でした。覇王別姫のレスリーもデヴィッド・ボウイもバイセクシャルな魅力があるひとだったし、エブ・エブやターは女だからの制限を超えた映画として感動でした。
1年通して残念だったのは、人気シリーズものに前作を上回る秀作がなかったこと。「ジョン・ウィック」も「インディ・ジョーンズ」も「名探偵ポワロ」も。T・クルーズ演じるイーサンは見てもいない(泣
俳優も監督も老いるのは仕方なく、昔の栄光に頼っているのはかなしいもの。人気スターや巨匠監督でないとお客を呼べずヒットしない世の中なんでしょうね。エブ・エブのような突き抜ける個性が現れてほしいわ。
さて、ベスト2023を選ぶとなると優劣つけ難いため、自分の心に刺さった9作品を紹介しておきます。
▫️さらば我が愛 覇王別姫 1992年
▫️シャドウプレイ 2018年
▫️ムーンエイジ・デイドリーム
デヴィッド・ボウイ 2022年
▫️ポトフ 美食家と料理人 2022年
▫️それでも私は生きていく 2022年
⚫︎ビー・ガン ショートフィルム 2022年
▫️エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 2022年
▫️縁路はるばる 2022年
⚫︎ター Tar 2022年
▫️印は観賞後感想をnoteに記してます。良ければ探してみてください。タイトル後は公開年
⚫︎感想を書き忘れた作品については以下後述
ビー・ガンのショートフィルム
たった一週間だけ上映された15分間500円の短編寓話。ポエムとも哲学ともいえる、ビーガン監督らしい不思議な世界観でした。
15分でうっとり多幸感につつまれました。
Tar
(2023年6月下書きに加筆)
ナイチンゲール、マザー・テレサ、ヘレン・ケラー、キュリー夫人。
小学生の頃、学校の図書館に並んでいた”女性の”伝記はそのくらいで、共通するキーワードは「奉仕」「忍耐」「努力」「博愛」。
一般の伝記には政治家・科学者・哲学者・音楽家・画家とさまざまな職業の多彩なキーワードがちりばめられているのに、なんで 女性の偉い人には、決められた枠がはめられているのだろう。
タイトルは中国語のター(sheの意)?
中国語では 彼「他」も彼女「她 :女篇+也」も同じ発音のため、男の職業とされている指揮者に果敢に挑んだ 彼女(ター:她:her)の半生、中国に関係する映画⁈ いえいえ、姓名が”Tar”でした。横路それてすみません
そして、この役を演じたケイト・ブランシェットが ”(Tarで)もうやり切ったから余生は国に帰ってガーデニングでもするわ“とのたまったというインタビュー記事をどこかで読み、ケイト観おさめかと気を引き締めて観た。
男なら許されることが女には冷やかな目で見られること、非凡な才能をもつ実力者をハメさせるガラス天井がどの業界にもあること。しかし、闘うTarのその強さとしなやかさにノックアウトされた。
介護三部作
2023年は、異なる監督が老いと生死と家族をテーマに描いた映画を、続けてみました。いずれ自分も通る道ですし、数年前、母を見守り看取った経験からとても感慨深く、娘と死にゆく父を描いた映画を勝手に”介護三部作“と名づけました。
どの作品も長女(レア・セドゥは一人娘)が、病床の父の意思を汲みとり、寄り添う姿が切なかったです。
すべてうまくいきますように
長女:ソフィ・マルソー
監督:フランソワ・オゾンそれでも私はは生きていく
娘:レア・セドゥ
監督:ミア・ハンセン=ラブ私の大嫌いな弟へ
娘:マリオン・コティアール
監督:アルノー・デプレシャン
オマケ・こぼれ話
次点
※マリア・ブラウンの結婚 1972年
主役のハンナ・シグラを3作観ました。20代の若く妖艶な彼女、母親役、知性あふれる国際コーディネイタ役...こんな幅広い女優さん日本にいるかしら、あ、大竹しのぶか。
日本映画は2本のみ
小津安二郎監督の「父ありき」1942年
離れて暮らす父と息子の会話、同じ所作を丁寧に何度も映し、引き算の美学を感じました。
「怪物」2023年
三部構成仕立てで「誰が怪物」なのかわからないまま物語に引き込まれ、ずぶずぶハマっていきました。なんでもない日常風景と背景に流れる美しい旋律、故坂本龍一さんの映画音楽をスクリーンで吸い込ませていただきました。役者もうまいが、脚本がさらに上手かった!この映画もボーイズラブが背後にあり、ジェンダーを考える一本でした。
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