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スタジオのMarshallのヘッドと仲良くなる話

まいど、3年前に作った音源のギターソロが全く弾けなくなっていて思ったより老いた(時間が経った)事を感じました、いのくまです。
写真は未だに新今宮のフェスティバルゲートが現存すると思っている新世界の入り口…

割と長い事自分のバンドを眠らせていたので、2年半ぶりの復活となると思い出したり、物販の在庫を確認して発注したり、SEを作ったりと再起動作業に時間を費やす毎日です。

…てなわけで満艦飾はライブがあります。
こちらのツイートをご参照ください。

ライブに関する話はまた後ほどするとして、今日はマーシャル嫌い、苦手意識がある、ネガティブなイメージをお持ちの皆様に向けて…幾つかの傾向と対策の話をしてみようと思います。
一旦ひとまず、スタジオでよく出会うであろうマスターボリューム付きの以下のシリーズについてを中心に捉えて考えてみます。
JCM800/JCM900/JCM2000/DSL series/JVM series/Jubilee

1.苦手意識はどこにある?

まずは何が苦手なのか、苦手に思われがちな要素をピックアップしてみましょう。
恐らく苦手意識を持っている場合の多くはこの辺りかと思われます。
・トレブリーでギャンギャンという
・モゴモゴと言って抜けてこない
・ミドルの押し出し感、前に出るようなフィーリングが弱い
・音がペラく感じる
・個体差が大きいような気がする

みたいな事を思う人が多いようです。
因みに自分は体感として、スタジオのキャビに純正以外のスピーカーが入っているような場合以外ではそう感じることは少ないです。
前述のうち初めの4つに関しては演奏とセッティングの問題が大きく、最後の1つは認識と知識の問題があります。

2.陥りがちな誤解と見直し

2.I.ゲインは1から9まで上げていいのよ

よく、ゲインをあげる事を真空管に負荷をかける…なんて言う人がいますが、実際はそんなことはないです。
そして、イメージとして真空管の暖かな音とよく言いますが、レコーディングなどをされている方は理解の範疇かもしれない一方で、よく誤解されている部分で「柔らかく耳当たりの良い倍音」を暖かいと表現されるのであって、「ミドル〜ローに太ましさのある」暖かさとは少し異なります。

また、ミドル〜ローの太ましさに関しては高電圧で駆動させているローファイな素子として表現豊かになる部分と言えますけれど、それは真空管に負荷をかけたものというより回路定数による設計の部分が大きいです。

ゲインのノブには回路上多くの場合サウンドキャラクターを変化させる要素があります。(所謂CRフィルタなんですが今回は割愛、よくわからない人はギターのトーンみたいなイメージで大丈夫です。)

つまり、音の太さがしっくりくるまでゲインを上げて良いし、そこは歪みの量だけじゃないパラメータだよという話になります。
ここを理解してサウンドメイクに取り組む事で、トレブリーとか、抜けてこない、ハリがないみたいな部分に効くアプローチが一つ考えられると思います。

2.Ⅱ.ローカットを入れる場所を間違えてない?そんな悪者か?

やたらと「ギターのローは邪魔だ!」「ローカットだ!」っていう人がいますけれど、実際どのタイミングでどれくらい切れば良いかという部分を考えずに切ってしまうとこれまた弊害があります。

歪みの前では歪みがボヤけたり音が滲んでしまうことを回避するなどの効果があり歪みのキャラクターや質に強く作用します。

一方アンプのEQやエフェクトループに入れるEQではPAさんに出す音、スタジオや生音環境で聴かれる低音成分主としてそこでコントロールされるわけです。

マーシャルのEQステージではBASSノブを0にしない限り100hzのあたりに一つローのピークがあり、そこからガクッと下がる形となっています。
前章で述べた部分を合わせると、一回減らしてキャラクターを作った後、もう一回戻すような形になっています。

順序をよく考えた上でコントロールしましょう。
多分前章と合わせるとモゴモゴとかキンキンとかにはなりにくく、所謂マーシャルのいい感じの音に近づけるはずです。

また、補足しておくとその上500hz〜800hzを中心に谷があります。
トレブルを0にすると消えてしまう谷ですが、歌声の倍音や掠れたような質感、ハイトーン系の方の煌びやかな成分がこの辺りにいます。

前述の要素を加味せずに入力でキンキンにしてしまった音を嫌ってトレブルを0にしてしまうと見事に悪循環が発生して歌を絶妙に邪魔してしまいます。
そして、トレブルはEQステージで最も支配的な要素です、0にすると割と周波数特性がガッツリ形が崩れます、狙ってやるのはいいけれどあんまりお勧めはしないです。
インストとかだと活きると思う。

2.Ⅲ.ちゃんと弾こう

うるせぇ、って話ですけれど、サウンドイメージを明確に持ってピッキングしましょう。
クリーンの倍音、歪みのキャラクターにはそもそもエレキの生音段階での弦の倍音が大事になってきます。

割と前述の傾向でモゴモゴさせてしまったり、抜けないのにトレブリーになる場合、ピッキングが弱すぎて欲しい音に必要な倍音が弦から出せていなかったり、逆にベチベチとスラップ気味になっていたりします。

ピッキングコントロールを気にするあまりに厚すぎるピックを使ってしまい、ダイナミクスが強烈に反映されすぎるため、ダイナミクスレンジの弱い所を中心としてしまったり…みたいな事もよくあります。

弦高を下げすぎてスラップ気味になるのを逃れるため…なんて場合もあります。

この辺りはプレイスタイルも関係しますが、一度見直すと発見があるかもしれません。

3.マーシャルと向き合おう

3.Ⅰマーシャルって色々あるんですよ

スタジオのマーシャルの個体差、状態、なんて言いますが、ジャックがぶっ壊れてるとかそういう「故障」は抜きとして、並べて聴き比べてもいないのに大きくキャラクターが変わるような個体差はそこまで筆者は感じたことがありません。
いや、無くはないけれど、明らかに違う幾つかを除いたらって感じですね。

そもそも、マーシャルというメーカーには大分類のシリーズと、その中に意外と色々な機種が展開されています。
大分類の例としては、JCM800、JCM900、JCM2000、DSL、JVMなんかはシリーズの区切りです。

その中にも実際はさらに分類があり、細かく枝分かれします。
例として、
2204(JCM800 マスターボリューム有の100Wヘッド)
2210(JCM800 2ch仕様の100Wヘッド)
4101(JCM900 2chでゲインとリバーブとマスターがそれぞれにある100Wの12インチ1発コンボ)
みたいにいろんな種類があり、そして同じ大分類の中でも全然設計が違ったりします。
そんなところまで凝視したことない!って人も多いかと思います。

これに関しては経験でカバーする部分も大きいです。
おすすめは毎回簡単なメモをとること、どのアンプでその日どんな感じだったかを控えているだけで結構役立ちます。

3.Ⅱ意図的にゲインの低いチャンネルをチョイスする

JCM2000やDSL series、JVM seriesで有効な使用方法で、これらのアンプでは4つ以上のゲインモードが搭載されています。

JCM2000と現行DSLシリーズではClassic Gain channel内にクリーン、単体でハイゲインアンプまでは到達しないもののそれなりのゲインまで出せるクランチ、Ultra Gain channelでは所謂ハイゲインアンプの領域に踏み込んだモードと、さらに激歪みできるモードがあります。

めちゃくちゃ歪ませたい場合、そしてゲインノブの設定が高めの質感が好きな場合はクランチモードを使うのも一つ有効な手法です。
併せてゲイン感を補正する意味でブースター的に使えるペダルがあれば尚のこと有効でしょう。

チャンネルの歪みを固定イメージにすると言うよりは、振り幅を意識する事で改善する部分も大きいです。

4.結論

幾ら考えて知識を入れても、結果実験しなければ机上の空論になってしまいます。
知っていれば知識、使えば技術です。
この記事を読んで何か思うところが出てきた読者の方は是非一度スタジオで試す事をおすすめします。

正解があるかわからない正解探しに何十万円もディストーションペダルに突っ込んだり、やたらと高い機材を買う前に是非一度試してみてください。
もしかしたら少しだけショートカットできるかもしれません。

快適なギターライフのヒントになれば幸いです。

コチラの記事も併せてどうぞ。

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