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もういちどはきっと

もういちどはない。

いつか誰かに言われたことば。

そして確かに、もういちどはおとずれなかった。


夏のじんわりとした暑さと

重たいズンとしたお腹の底にひびく音と

もものうらに感じる芝生のこそばゆさ

正面から放たれる光

かき氷がこぼれた跡

心地よい風

生ぬるい風

蚊取り線香の匂い

小気味良い下駄の音

汗ではりつく髪の毛

キミの手の熱さ

心拍が止まったエコー画像

あの時のきもち。

あの時の期待。

あの時のまつげと

それをぬらす涙。

涙は何回ながしても乾くことはなく

とめどなくいつでも勝手にあふれる。

そして、泣くなら大雨の日がいい。

雨が仲間のように思えるんだ。


永遠にそばにいるものなんていない。


みんな通り過ぎていくだけ。



いつだって後悔はしてない。

でも、もういちど、と望んでしまう。


あの時の自分も相手も


もう二度と戻ってこない。


けれども


もういちどと願うきもちはきっと

それだけ大切で

愛おしくて

励まされて

ホームのように懐かしいものだから


「もういちど」はきっと

どれだけそれが

私を生かすものだったのか

私にとって確かなものであったのか

心地よいものであったのかを

教えてくれるきもち。


そしてそれは
あとから力を与えてくれる。

永遠との繋がりを回復したいと願う

純粋なきもちであることを

私は感じ

また自らの灯火を見出しながら

少しずつ踏み出すしかないのだ。


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