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金木犀と栗のブラウニー

「あら、持ってきなさいよ」

ぱちんぱちんと枝葉を切って、私にすっと差し出した。

利用者さんのご自宅の庭に立派な金木犀の花が咲いていることに、私は敷地に入った瞬間気づいた。金木犀の独特な香りがあたりに漂っていたからだ。香りを辿っていくと庭の隅に植えられているオレンジの花をたくさんつけた木が視界に入ってくる。
その話をすると「どれどれ」とご本人も庭に出てきてくれて、2人で木を眺めていた。

「今年はたくさん咲いたわね。あなたちょっと持ってけば?」とおっしゃって下さり、こうして私に渡してくれたのだ。

金木犀は秋の花である。ジンチョウゲ、クチナシと合わせて三大芳香木の1つに数えられるらしい。

私にとっての金木犀は2つの思い出がある。1つは登下校の道すがらに咲いていた小降りの金木犀。

畳屋さんのお店の脇に植えられたその金木犀は時期になると小降りながらもたくさんの花を咲かせ、私はランドセルを背負いながらその花の香りを行き帰りで楽しんだ。
散ってしまうと、道路が辺り一面オレンジ色に染まる。幼心に花の命の短さをまざまざと感じる出来事であった。

もう1つの思い出は私の祖父母の家の敷地に咲いていた金木犀。これは畳屋さんのものより幾分大きくて、玄関から右奥の通路に入ったところに堂々としたいでたちで咲いていた。

祖父母の家は取り壊され、今は新しく建て直した家に私の両親と叔父が住んでいる。当然金木犀もその時に引き抜かれてしまったのだろう。

香りについては個人の好みはあると思うが、私はこの香りが好きである。
おそらく上記の思い出と重なる部分があるからだ。

夫と少し前に買い物をしていた時、私は美容品売り場の一角に金木犀コーナーがあることを発見した。

私はそこで金木犀のボディクリームに目を惹かれていた。その場にたたずむ。
買うかどうか悩んでいると夫が近づいてきた。

「ああ、ほしいの?さっき僕も気になって買ってあげようかなと思ってた。」

「私が金木犀が好きだって知ってたっけ?」と返すと「いや、知らなかったけど何となく買おうかなと思ってた」との事。

夫婦ってこういうところが不思議である。
そして夫婦だけどお互いの好みはまだまだ知らないことが多いようだ。(それを知ることは楽しみでもあると思う)

頂いた金木犀は、本日は私のドライブ仲間となって、仕事のパートナーであるかのように助手席に大人しく鎮座している。
訪問業務が終わってドアを開けるたびに金木犀の香りがふわっと漂ってきてなんとも言えない良い気分になる。

今日はもう一つ秋を感じる出来事があった。

栗だ。


私は最近お気に入りのカフェができた。

とはいっても、そのお店で食事をしたことはなくて、テイクアウトでお弁当と焼き菓子を頂いてからお気に入りのお店となった。


ここのキャロットケーキが想像の斜め上どころか真上をいくような、天にも昇るおいしさであった。細かく刻まれたにんじんがぎっしり入っていて、私の好きなナッツ類も程よく入り、生地も重すぎず軽すぎずちょうどよい塩梅で私はかなり感動したのだ。

そのお店は週の半分くらいしか営業しておらず曜日もかなり不定期である。

だから、私はインスタでそのお店をフォローしている。営業日や今日のケーキがどのようなものが売られているのかを気が向いたらチェックするようになった。

どうやら先日はお店の方が栗をたくさん購入したようで、本日は栗のケーキが目玉商品となっていた。


食べたい!


私はまた、お昼休みにカフェに顔を出した。
残念ながら栗のケーキは品切れであり、そのかわりに栗とカシスのブラウニーを頂くこととした。


でも、これもとても美味しかった。栗はそんなに甘すぎない味でブラウニーは外はややカリッと、中はしっとりどっしりとしていて、カシスがアクセントになって食べやすく感じた。

なぜ私がこんなに栗を気にしているかというと、微熱さんが最近栗の料理にはまっているからだ。

彼女の作る栗料理はそう単純なものではなくて、チャレンジ精神に満ち溢れたものである。

スープ、羊羹、どら焼きときて、本日の夜は栗の天ぷらに挑戦するとの事。

ね、栗の天ぷらって……ちょっと想像つかない。でもなんだかおいしそうな予感だけはしている。

ご興味のある方はぜひ本日の夜のお時間のラジオを聞いてみて欲しいと思う。

そして、彼女が律儀にも、私が訪れた時に置いていった質問紙の数々に対しても、毎回丁寧に答えてくれているので、そこも聞き逃さないで頂きたい。

以上、本日は秋を感じるくまのnoteでした。

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