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【自己紹介】あたたかさに触れること
いつものデイケアで、行われるやりとり。
私は介護老人保健施設に勤めているしがない作業療法士だ。
長く勤めていると、当たり前だが担当している方が少しずつ老いていく。
と同時に私も老いていることに気づく。
「お互い年取りましたね」なんて、言ったりする。
そして、認知症が少しずつすすみ、私のことも少しずつ認識できなくなってくる。これは私自身がさみしさを感じることではあるが、変わらず同じ温度で接しながら、その人のもうあまり出てこない昔の諸々を含みつつ、一緒につつみこめたらいいなぁという思いで関わっている。
そんな、少しずつ老いたある女性の利用者さんは、尿をもらさないためにトイレに頻回に行こうとしてしまう。なんなら1時間に2〜3回は行こうとする。彼女は1人ではトイレを済ませることができず介助が必要なので、介護士さんも大変になってくる。
毎回の対応は難しいので「さっきトイレに行ったので、次は○○時に行きましょう」なんて、紙に書いておくことにしたらしい。
でも、案の定行きたくなってしまい、落ち着かない様子である。
「どうしたの?さっき行ったから大丈夫だよ」
「一緒にお話しようよ」
「こんな計算できるなんて、すごいじゃん!もっと見せてよ」
と声をかけるのは、彼女のまわりにいる他の利用者さんたちだ。
彼女らは長年の付き合いもあり、少しずつ老いた彼女を受け止めながら支えている。
声をかけられた彼女は安心した表情に戻り、席に着く。
その風景はごくごく自然に行われている。
その関わりは「認知症のある人を世の中で支えましょう」「多様性のある社会を!」といったきれいなスローガン的なものなんかが逆に入り込む余地がないほど自然に行われている。
人間同士のふるまいにあたたかさを感じる。
あたたかさに触れることで私自身も彼女たちに生きる力をもらう。
私はそういったことで日々生かされているのだなぁと思う。
そのような価値観で生きている人間なのです。
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