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AIの進化と今更ながらの所感

約半年余りの間のAIの進化の速さに驚いている。
もっぱら話題に上がっているChatGPTなるものが目に入りだして、実際に使ってみたのが昨年の年末近く。その時の最初の印象は「へー。なかなか達者な日本語かつ違和感ない文章で受け答えが出来ているよなー」と。
それまでのAIの世界では人工知能ならぬ人口無能というちょっとしたジョーク感覚でオフラインでちょっとしたプログラムで動くパソコンとの会話を楽しむものであると思っていた。
ところが、オンラインの世界もごくごく当たり前の世の中になり、色んな世界にパソコン、モバイル端末から接続して共有できる世の中になり、このAIという世界も大きく変貌を遂げていた。
勿論、ハードウェアの進化というのも当然大きな要素になるのではあるが、いくらハードウェアが進化したところでAIという世界はコンピュータが自力で考えて自力で答えを見出すまでの手段と、それを学習するというアルゴリズムが必要になる。個人的にはこのコンピュータが考えるアルゴリズムの研究の成果が今回の場合、特に物凄く大きいものだと考えている。
それに付随してそのアルゴリズムを実現できるハードウェアの性能の向上も合わさった上で今のAIの劇的進化が実現されたのだと考えているが、私が最初に触ったコンピュータとの会話程度では流暢な会話ができるようになったんだなぁ、でしかなかった。しかし、自分は素人ながらプログラミングを趣味でやっている。そんな中で、このChatGPTは自分が書いてほしいプログラムコードを日本語で指定すればそれを自動で書いてくれる。この類の記事を読んだ後実際にやってみると、ズ、ズズズ、ズーズズ…と、いとも簡単に私が指定した内容のコードを生成してくれたではないか。これには驚いた。
なんだこれは!意図していることを頼むだけで自分の知識外のコードまで書いてくれるし、ほぼそれをコピペするだけで実際のプログラムが動いてくれる。更にエラーが出たよーって書くと、すみません…と丁寧に謝りながら、ほぼ的確にその間違っている部分を説明したうえで正しいのはこれ、と提示してくれる。コードのコメントアウトも日本語で丁寧に付け加えてくれるから知らなかった部分においては凄く勉強になる。
すげー!! なんでこんなことができるの?しかも、言語はいくつもあるのに私が書いてもらったそれぞれ違う言語にも完璧に対応しているではないか。
ある程度初歩の部分からプログラミングを勉強して何となくそこそこのコードが理解できる程度にまで勉強していればChatGPTを使えばそこら先の複雑なコードも簡単に作ってくれるし、コメントを付記すれば自分もそれを読んで理解することができる。間違っていそうなところは「叩き台」を作ってくれているからそれをGoogle先生に聞けば余計な時間と労力を使わずに最短距離で答えを見つけることもでき、開発も簡単になる。
これはプログラミング学習においても画期的なことではないかと心底思った。

と同時にChatGPTの本体には、それまで実験的にかつその限られた中での膨大なデータを使って学習して『かなり本当に使える』ほぼ出来上がったAIを無料で一般公開したという時点でそれまでの数十倍、数百倍…数万倍…という利用者のサンプルが学習データとして毎秒単位で蓄積されて解析されていくという事実に少し恐ろしさも感じた。これまで培ってきたAIの能力が世界中からアクセスされて集まってくる要素に対応・学習していくことで更に研究スピードは飛躍的に向上していくであろう。

他にもこのAI技術は誰かを演じる要素も備わっている。ユーザーが指定した条件に伴って英会話教師にもなって個人レッスンしてくれる。小説を書いたり、それっぽい論文を書いてくれたり、面接の最適な回答を導き出してくれたり、それまで過去にAIという触れ込みで世に存在してきたものとは一線を画す「本物の」AIがついに誕生した瞬間だと実感した。テキスト指定だけでこれほどまでに多種多様な広がりができるとは想像以上だった。

それより少し前からテキストベースから画像生成AIというものも出てきていた。それはそれで凄いなーと、色々遊んでいたものの正直、そこまでの魅力は感じなかった。今後のこの画像生成AIの進化の途中なんだろうな、という認識はしていたが、必要性は自分にとっては感じなかった。この分野もそれから後、それほど時間がたたないうちに現実の写真とほぼ変わらないクオリティのものが生成できるまでに物凄い成長を遂げ続けている。
しかし、ChatGPTに関しては全くの別物。現実世界において汎用的に、有用性、利益を生むものとしての利用価値がある技術であると感じた。と、同時にこの技術にはNGワードが絶対に組み込まれてあるはず。研究段階で恐らくそのあたりもデータとしてコンピュータに渡してあるであろうし、コンピュータもそれを理解しているはず。しかしながら現段階ではモラルの関係からか、反モラルな部分に関しては回答を拒否されてしまう。
その研究に使用しているコンピュータに仕組んだモラルの解放が、皆考えるであろう将来の人間のあり方を人間が作り出したAIによってどこまで支配されるようになるのかという非常に大きな問題に必ず発展するであると考える。しかしながら、ここまで急激に進化を遂げているAIについて、この研究を止めることはそれまで投資した企業の利益よりを上回るAIという分野の今後の発展について莫大な支障もきたすことも分かる。

まさしく人にとって毒にも薬にもなる諸刃の件であろう。

世の中まだこの分野についての話題を知らない人の方が大多数だと思う。だが、現実世界として確実にいろんなものがAIにとって代わられるのも事実。
大昔に「ファジー」とか「1/fのゆらぎ」的な機械が作り出す曖昧な世界も家電の魅力としてブーム的に取り入れられてきた。しかしながら、それらはほぼ人間がそれっぽい動きをするようにプログラミングしてそれぞれの機械を動かしていたに過ぎなかった。
しかし、今回のChatGPTに関してはそんな「だまし」の類のAIでは恐らくない。コンピュータというものが世に開発されて生み出され、長い年月をかけてひたすら人間の探求心からようやく今の時代に現実化された本物の考えて答えを導き出す能力を持ったAIという名の新しい生命体の誕生だと思った。
人間の手で作り出されたものなので、別の手に渡れば悪用もされかねない。技術の進歩は常に善悪共存だから。悪く使えば武器になる。よく使えば共に助け合える道先案内人になる。すでにこのAIの中のハッキングも進んでいる様子だし、早くもモラルフリーなものも登場している。
これまで使い古された言葉ではあるが、映画やドラマ、幻想の世界ではこういう人工知能に人間が支配されて世界は破滅すると。でも、こんな夢だった世界が現実のものになる可能性は飛躍的に高くなった。
工業的な技術の発展の大元は軍事産業の研究からから派生したものだという記事を目にする機会があるが、これからのAIに関しては軍事どころか、今の人間が一番頼りにするし、振り回される「情報」という分野において、各国トップが操作しきれないハッカーと呼ばれる名も身分も知らない集団が世界を牛耳る可能性もないとは言い切れない世界も近いのではないかと思った。

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