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最近のMV、こんなんばっか

岡崎体育じゃないけど、最近のMV(ミュージックビデオ)あるあるが言いたい。

ほんと最近は便利なもので、機材も安くで揃うし、映画が撮れちゃうくらいスマホも高性能だし、撮影・編集のハウツー系の動画もたくさんあるし、MVの制作は、完全に敷居が低くなっていて、アマチュアバンドも自主制作できるし、しかもそこそこ再生数も取れちゃうなんてこともよくあるから、素人に毛が生えたくらいの "それっぽいMV" がYouTubeでウジャウジャしてる。

プロほど高度なテクニックはないし、予算もないし、となれば、真似しやすい手法が蔓延り、「あるある」的なものができてくる。最近はそれが顕著にでてる気がする。大学でみんな似たような服を着てる感じ。

今からそれをまとめるけども、それぞれに参考となる実際のMVも紹介する。前談がネガティブな言い回しだけに、悪い例的な見え方になるかもしれないが、前置きをすると、決してそうではない。これらは批判とかではなく、あくまで「あるある」の紹介であり、手法のネタ帳である。それについては最後のまとめを読んで欲しい。



01 手書き文字の歌詞入れがち

よう入れるんですわ。手書きの歌詞を。入れる理由はシンプルで、画だけでは持たないから。だと思う。アーティスト自体が有名だったり、演者がよっぽど魅力的だとか、構図や編集が上手ければ、当然飽きずに視れるんだけど、そうでないと単純に画が持たない。

そんな時、歌詞を入れることでまだマシに見せることができる。手書きにこだわる理由は、既存の書体を使うと書体選びと文字詰めが重要になるので、グラフィックの能力が乏しいと残念な感じになるから。そこを手書きにしてセンター配置にすれば、誰でもそれっぽくなる。

そんなん言うと、手書き文字を使うのに躊躇してしまいそうだけど、この手法は魅力的だと思う。俺も好き。だから気にしなければいいけれど、それでも気になるなら、免罪符として「Lyric Video」という括りにしてしまえば解決する。



02 フィルム調の加工しがち

これみんなやってるでしょ。で、「エモーい」とか言うんでしょ。確かにフィルム調にするだけで、懐古感というかノスタルジックに見せることができるからその類の感想は否定しないけど。

単純に多くないか??製作陣との打ち合わせの時「みんなやってるからヤダ!」的なロックな意見はでないのか???お前らの音楽はファッションなのか????

と、思いながらもlofiな作りは魅力的だし、なかなか廃れないと思うが、あまりに多いので飽きられる前に、やるなら今のうちな気がする。



03 可愛い女の子とデートなうに使っていいよ視点

いいよなぁ〜。この手の作品。大好きだよ。この「夏の終わり」とか保存して視てるくらいだもん。バンドシーンと交互に彼女らしき女性のひたすらかわいいシーンが続くやつ。めっちゃ多い。

単純に画が持つし、サムネ映えするから再生数も稼ぎやすい。尚且つ制作が一番ラク。ある程度のシチュエーションを決めて実際に楽しくデートをすれば撮れちゃうから。あとはいい感じに編集すればおしまい!



04 ライブおんざビルディングしがち

ビルというか4〜5階建てのアパートの屋上で、都会の街並みを背景に動きのある画づくりをするやつ。スタジオを借りるよりハードルが低くて、大体、自然光で大丈夫だから凝った照明機具もいらないし、移動もあまりしなくていいから準備が楽ちん。

ただ画変わりしづらいので、引きと寄りと撮って、あとはその場でアングルを探して素材を撮りまくる撮影の手間と、カット数が多いので編集も少し面倒。

早朝か夕方に撮るとエモさが出せて映えるけど、音が反響しやすいから迷惑にならない程度の気遣いが少しストレスかも。



05 オフショット風やりがち

彼女とデートなう視点のやつと同じく、制作が楽なやつ。バンドメンバーがちょけたりするやつ。変顔しがちなやつ。

期間がかかるけど素材集めが簡単。各々スマホでオフショットを撮ってもらって編集でつなげるだけ。ブレブレでもいいし、ダサいズームをしてもいいし、高画質じゃなくてもいい。場所も時間も選ばない。照明とかアングルも気にしなくていい。スマホがあれば誰でもカメラマン。

でも、ダラダラとオフショットの垂れ流しではただの内輪ノリなので、ラストのサビくらいで、カメラでちゃんと撮った素材も挟んで全体を締める必要がある。だから急に高画質になったり、ジンバルでヌルヌルな映像になったりしがち。

その点はちゃんと理解してバランスを取ってあげるのが肝心なので、製作陣の腕の見せ所。


・・・


まとめ

この5つは最近、マジで多い。低予算で工数をかけないMVの制作となると、大体はここらへんのアイデアに落ち着くのではないだろうか。だからと言って、あるあるを避けて、スタジオ撮影で照明もバチバチで、演者もゴリゴリで小道具にもお金がかかってて、ドローンも飛ばして、バキバキのVFXで、とかは難しい話だけど、こんな感じに作品の数が増えると、「あれとこれが似てる」とかも当然あると思う。


「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」


ジェームズ・W・ヤングは80年も前にこんなことを言っていた。

そう。そんなウジャウジャしてるMVも既存の要素の新しい組み合わせだから、同じやん!とかパクリやん!とまでは思わない。アーティストも違うし、曲も違う、歌詞の内容だって違う。だから「あるある」の手法が多用されることが悪いとは思わない。

でも正直なところ、良いとも思わない。

真意は定かではないけど、これらの手法を安易に取り入れてないか?本当にアーティストや曲の世界観を演出するのに適した表現なのか?少しでも良いものを作ろうと考えたか?工夫したか?

その結果なら、全く問題はない。でもこんだけ「あるある」が共通する作品が多いと、体裁だけの中身スッカラカンな作品もあるんじゃないかと思う。


だから、アーティストも製作陣も「良い感じのが出来た」みたいなノリの自己満で終わって欲しくないし、そんな作品を作っておいて、本質を見ずに「撮影させていただきました」とか「ディレクションさせていただきました」とか謙譲語で自慢しないで欲しいな〜と思う、2020年、夏。


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