見出し画像

【映画】2024年5月に観た映画


いろいろと気になる映画はあったものの今月は2本だけ。

①青春18×2 君へと続く道

藤井道人監督が手がける日本と台湾を舞台にした
ラブストーリー。
予告を観て何となく展開を察してしまったがとりあえず観に行ってみた。

始まりは18年前の台湾。カラオケ店でバイトする高校生・ジミー(シュー・グァンハン)は、日本から来たバックパッカー・アミ(清原果耶)と出会う。天真爛漫な彼女と過ごすうち、恋心を抱いていくジミー。しかし、突然アミが帰国することに。意気消沈するジミーに、アミはある約束を提案する。
時が経ち、現在。人生につまずき故郷に戻ってきたジミーは、かつてアミから届いた絵ハガキを再び手に取る。初恋の記憶がよみがえり、あの日の約束を果たそうと彼女が生まれ育った日本への旅を決意するジミー。東京から鎌倉・長野・新潟・そしてアミの故郷・福島へと向かう。
鈍行列車に揺られ、一期一会の出会いを繰り返しながら、ジミーはアミとのひと夏の日々に想いを馳せる。たどり着いた先で、ジミーが知った18年前のアミの本当の想いとは。

出典:「青春18×2 君へと続く道」公式サイト

ストーリー的には予想通りの展開だったし、何となく既視感もあるんだけれど、トータルで観ればすごく良くて「あぁ…観てよかったなぁ」という気持ちが心の奥底からふつふつと湧いてくるようなそんな作品だった。

まず何がいいってジミーが日本にやってきて尋ねる場所。鎌倉、松本、長岡、津南、只見…なんだこの素晴らしいチョイスは!とひとりで大興奮。大好きな場所ばかりが登場する。
そしてジミーは鉄道で移動する。飯山線、上越線、只見線!鉄分多めの人にもたまらないロードムービーに仕上がっている。

そこにスラムダンク、岩井俊二監督、映画「Love Letter」、桃鉄、ミスチル…などなど日本のみんなが(そして台湾のみんなも?)大好きな日本のコンテンツが投下される。ネタバレに繋がるのであまり言えないけれどかつて一世を風靡したあの映画へのオマージュなのかな?と思うシーンもたくさん登場する。
もちろん台湾だって負けてない。廟、バイクの2人乗り、夜市、ランタンなどなど日本でも浸透している台湾の文化が映画に彩りを与える。台南要素多めなのがまた良い。

アミ役の清原果耶ちゃんはまるで少女マンガから飛び出してきたみたい。明るくて可愛くてみんなに愛されて、でもどこか儚さがある。
ジミー役の許光漢さんの魅力にもすっかり心を奪われてしまった。18歳のジミーと36歳のジミーはまるで別人のよう。一面の銀世界を見て言葉を失うシーンとかたまらなかったな。
脇を固める役者さんも素晴らしい方ばかりだった。

そして最後はミスチルの主題歌にとどめを刺される。エンドロールにはご丁寧に歌詞まで表示されちゃって、うわー泣かせにきてるわーと思いながらまんまと号泣。わかっていても泣ける。

ちなみに隣に座っていたおそらく18歳くらいの女の子たちは泣きすぎて立ち上がれなくなっていた。「あと18年経ってもう一度この映画を観たらきっとまた違う涙が流せるよ」と18×約2.2のおばさんは心の中で声をかけながら立ち上がった。

こうして感想を書きながらもう一度観てもいいな、なんて思っている。それくらい良かった。

映画鑑賞の後は鼎泰豊銀座店で台湾成分を補った!
と言いたいところだけれど、混んでいたので今回は断念。また今度ゆっくりリベンジしよう。

②正義の行方

ガラリと変わって「飯塚事件」を扱ったドキュメンタリーを渋谷のユーロスペースで鑑賞。158分にわたる大作!

1992年に福岡県飯塚市で2人の女児が殺害された「飯塚事件」。DNA型鑑定などによって犯人とされた久間三千年(くまみちとし)は、2006年に最高裁で死刑が確定、2008年に福岡拘置所で刑死した。“異例の早さ”だった。翌年には冤罪を訴える再審請求が提起され、事件の余波はいまなお続いている。

本作は、弁護士、警察官、新聞記者という立場を異にする当事者たちが語る−−−−時に激しく対立する〈真実〉と〈正義〉を突き合わせながら事件の全体像を多面的に描き、やがてこの国の司法の姿を浮き彫りにしていく。
極めて痛ましく、しかも直接証拠が存在しない難事件の解決に執念を燃やし続けた福岡県警。久間の無実を信じ、“死刑執行後の再審請求”というこの上ない困難に挑み続ける弁護団。さらに、圧巻は事件発生当初からの自社の報道に疑問を持ち、事件を検証する調査報道を進めた西日本新聞社のジャーナリストたち。その姿勢は、マスメディアへの信頼が損なわれ、新聞やテレビなどの“オールドメディア”がビジネスモデルとしても急速に翳りを見せる今日、たしかな希望として私たちの心を捉える。

誰の〈真実〉が本当・・なのか? 誰の〈正義〉が正しい・・・のか? スクリーンを見つめる私たちは、深く暗い迷宮のなかで、人が人を裁くことの重さと向き合うことになる。

出典:「正義の行方」公式サイト

とても見応えのあるドキュメンタリーだった。事件に携わった弁護士、警察官、新聞記者の証言で事件を立体的に浮かび上がらせていく。
最後まで観ても真実は分からないし現実も変えらない。それでも正義と正義のぶつかり合いから目を逸らすことはできない、いや、目を逸らしてはいけない。

久間元死刑囚が真犯人でなかったのかは分からない。ただ、捜査には行き過ぎた点があったように思えるし、「疑わしきは被告人の利益に」という大原則に立ち返ったときに、死刑判決は、そして、早期の死刑執行は本当に正しかったのか?という思いは拭いきれない。
一方で、映画の中では登場されなかったが被害女児の家族のことを考えれば警察官たちの「何が何でも犯人を捕まえなければいけない」という気持ちも非常によくわかる(もちろん捕まえるのは真犯人でなければいけないわけだが…)。

地元紙である西日本新聞が独自の調査報道に乗り切り、NHKが長編ドキュメントを製作し、こうして映画化されたこと自体に大きな意味があるように思う。すでに死刑は執行されており取り返しはつかないが、国民一人ひとりが司法のあり方を考えることが暴走しがちな権力にきちんと歯止めをかけることに繋がるのではないだろうか。

さて、渋谷のユーロスペースで映画を観るときは大体ここで牡蠣を補給する。やっぱり奥渋谷は落ち着いていて良い。

まずは生牡蠣から(時計回りにぐるっと食べる!)
本日のカルパッチョも必ず頼む!
(今回はほっけだったかな…)
ガーリックたっぷりの油に溺れる牡蠣(アヒージョ)
パスタでしめる(デザートは別腹)

この記事が参加している募集

#映画感想文

67,412件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?