ホントのMoMA

高校生のときに、上野の森美術館でMoMA展を見た。
はるばるニューヨークから上野まで、たくさんの作品が運ばれてきていた。山奥に住んでいた僕も、はるばる上野まで駆けてきてみた。

その8年後、僕は、ニューヨークのホントのMoMAに行く。

高校生の頃は、マティスって誰なん?状態だったけど、20代半ばの僕は、美大を卒業し、どっぷり美術に浸かり、知識もそれなりに持っていた。

憧れと郷愁のMoMA。

もちろんすごい。
大感動だよ。

特に、MoMAのカンディンスキーって、なんであんなにいいんだろう。

リヒターの白黒の街の絵と、マシュー・バーニーの立体は、今でも鮮明に残っている。

でも、何よりもすごくよかったのは、ニューヨークのみなさんの、美術館の楽しみ方。

ロダンの彫刻の前、1番いい場所に、小学校低学年くらいの白人の男の子が座り込み、一生懸命ノートに絵を描いている。

隣の、モネの大きな睡蓮の部屋では、どこかの小学校が、美術の授業中。
先生らしき人が絵の前に立ち質問を投げる。子供たちが、手を挙げて、ヤイヤイヤイヤイいろいろ言っている。

美術館って、こういう場所なのか!!と、大きなカルチャーショックを受けた。

座り込んだり、絵を描いたり、話をしたり。

誰もそれを、咎めたりしない。

膨大な作品があるんだ。
静かに見たければ、別の部屋に行って、また戻ればいい。

作品以上に、美術館という装置の使い方に、恐れ入りました。

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