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健康診断で初めてバリウムを飲んでから不安だった日々の記録

序章

今年から健康診断でバリウムを飲むことになった。
何とか初回を終えたので来年の己のためにもその前後の出来事を書き記しておく。

準備期間

バリウムはつらいらしい。

職場では健康診断時期になるとバリウム未体験だけどもうすぐバリウム年齢を迎えるメンバーでその話題になる。
すでに経験している人にはそれぞれバリウムとの戦いがあり、つらかった体験談を話してくれる。職場ではつらかった派が多い。

今年初体験となるのは私以外にもう一人。(加えて便の検査も初となる)
私より先に受けたAさんは、「大丈夫だったよ、飲むの上手いって言われた」と一緒に不安がっていた仲なのに明るく話した。(便の検査のプレッシャーの方がつらかったそうだ)
バリウムの味もヨーグルト風味で、お腹も空いていたから飲めたと話し、普段便秘がちのAさんはその後の下剤がうまく作用してすっきりした様子だった。
また、同い年だが過去に一度バリウムを経験したことがあるBさんは、結局吐き出して完了できなかった壮絶な体験談を話してくる。
これは……
感想には個人差があって、実際受けてみるまではどうなるかよく分からないということが分かった。

戦いの始まり

いざ健康診断

当日は初めてのバリウムということで仕事は休みにした。
今までと同じ感覚で健康診断のあとは働く予定だったが、「休まなくていいの?!」と先輩方から言われ、体験談に恐れ、大事をとって休みに変更していた。

ついにきた決戦の日、仕事も休みなので好きな色の服を着ていった。
休みの日に健康診断という億劫さ、かつ初めてのバリウムで一日の予定が立たないとなれば気分を上げる何かが必要だ。
とはいえすぐ検査着に着替えるので、座ると裾から見える靴下だけが味方になる。

受付でお姉さんが「バリウムは初めてなんですね、一番最後に受けるのがいいと思います」と初バリウムということが分かるよう用紙に大きく書いてくれた。
よし、バリウムは最後、最後の大勝負。

「じゃあ次バリウムに並んでください」

バリウム!!!

残すところ採血とバリウムだけだったので急な話ではないが、バリウムは最後という心の準備をしてきたので動揺し緊張してきた。
検査室前の椅子で順番を待つ。
そわそわと視線が足元に落ちる。白や黒やネイビーなどの靴下の中、一人だけオレンジ色のだぶついた靴下を履いていることに気づく。
そんなに無難な色の靴下を履くということは皆このあと仕事なのだろうか、たまたまこの回のメンバーが大人しいの…

「次の人どうぞ」

きた、検査室は二つあるのか。
待っている間に見えた隣の検査室の笑顔で仕事をするおじさんがよかった……。

検査機器の上に立つ。
紙コップに入ったバリウムを右手に、小さな容器に入った発泡剤を左手に持つ。
発泡剤、話しに聞いていたこれが一番の不安要素だ。

私は粉薬が嫌いだ。
液体で固体を流し込むという動きが下手なので、錠剤でも水を飲み込むタイミングを間違えて水が喉に刺さることがある。
さらに粉薬は味わいたくない気持ちが強いため早く流し込もうとして失敗する。
飲み込めず、でも吐き出すことも許されず、ごふごふと拷問のような地獄の往復運動をしてきた数々の苦い過去。
加えて発泡。炭酸ジュースの一口目、口の中が泡でいっぱいになるのも苦手だ。

「バリウムを半分飲んだら発泡剤を飲んで、バリウムで流し込んでください」
初めてで緊張する私には目もくれず、声も表情も一切が事務的な担当女性から指示を受ける。寂しい。
その態度への戸惑いと、ついに、とうとう、という緊張。覚悟の時間が欲しい。
しかし事務的な担当者を前に時間をとるハートの強さもない。

バリウム、飲みづらい。
いちいち休みながら少量ずつ飲む私、顔を上げると他所を見つつ早く飲めという空気を漂わせる担当者。応援してほしいっ。
そして発泡剤、わあーーーあっという間に泡が広がるーーーもうやめたいーーー
なんて止まってたら本当にもう口の中で膨らんできたので慌ててバリウムを入れる。はあーーーしんどい。心中大騒ぎ。

壮絶体験のBさんの話しのとおりだった。あれは誇張ではなかった。
本当にバリウム入りの紙コップは思ったよりもズシリと重いし、話しで聞いただけでは想像が難しかった自分で回ったり逆さで静止したりする検査の仕方もやってみるとその通りだった。

しかし今まさに逆さになろうとしているのに「逆さまになるのでしっかり掴まってください」と言われてもあの持ち方ではありったけの力を込めるしかないじゃないか。教えるタイミングを考えてみてほしい。
プルプルと手と腕を震わせて何とか逆さ状態をキープできたが、高齢の方や握力のない方はどうしているのだろうか?真下に落下している??
某クイズ番組のように固定された回転を想像していたので、己の握力と筋力だけが頼りの逆さ状態維持の仕組みは信じられなかった。

終わってうがいを指示され、鏡に映った自分が目に入る。
え?こんなに唇からバリウム垂らしてたの?
いっぱいいっぱいで覚えもないし、担当者の反応は驚くほどなかった。
あぁ隣の部屋の笑顔のおじさん……。
初めての人に向けた説明や声かけがあったら心強いなあ……初バリウムのしんどい記憶に担当者の事務的な態度も刻まれる。

健康診断を終えた日

健診を終え、配られたお弁当と下剤を持って急ぎ帰宅。
”食事をできるだけ早くとり水分を多めにとって下さい”と書いてあったので、弁当を食べて便秘ぎみの方として1回分3錠を飲む。
出かける予定だったが下剤を飲んだことだし済んでから出かけよう。

でない。

”4〜5時間経過しても便意を感じない時やバリウム便が出ない時はもう1回分をお飲み下さい”という注意書きに従いもう3錠を飲む。
でないけどもう夕方だし出かけよう。

でない。

聞いていた話だと職場の皆さん当日中に効果でてたけど??
固まって腸が何とかなって手術?などと不安になり始め、粉感が苦手だが我が家では便秘に効くことになってる豆乳おからパウダーに頼るときだろうかと悩んでいたら、寝る前にお腹が痛くなったうえででた。
あれー?職場の人は「お腹も痛くならないででるからいい下剤」と言っていたけど。結構痛かったなあ。
でるにはでたが、お腹が痛くなりでたので形状があれで総量がよく分からなかった。多分まだ終わりじゃない色もしていた。

次の日

でない。

その次の日

でないな。

また次の日

でない、大丈夫か?
色を確認させてほしいので、うさぎくらいでいいから出てほしい。

職場のCさん「あたしは4〜5日後くらいにでたことあるよ。大体そう。」
あ、いるんだ!初めて次の日までに出し終わらない人に会った!いるんだ!!
まだ希望が持てるぞ。ありがたい。

4日後

今日は休み。お出かけをする。
朝、便秘解消のストレッチに励む。頼む。
お出かけ直前、色を確認できる程度にはでた。これは、まだ終わってないな?

不安を拭えないまま念願のランチ。
ミルクスープ、クリームオムライス、ミニナポリタン、アイスティー。
おいしい。量すごい。そしてお腹の動きを感じる。いい食事だ。

おめでとうございます。戦いの終わりです。

どうやら朝イチの頑張りがラストバリウムだったらしい。
ということは健診当日の腹下しでほぼ終わっていたのだ。
腹の中の状況は見えないので不安な日々を過ごしてしまった。
バリウムの恐怖から解放された生活はとても清々しく、もう食物繊維だとか消化にいい食べ物だとかを気にせずまた好きなものを食べます。

感想

来年はできればやりたくない。
でも私は胃カメラの方がこわい。
粉薬を飲むことに慣れないのだから、バリウムを飲むことも慣れることはないんだろう。憂鬱だ。

今回の出来事を教訓に、バリウムの日は積極的に出かけよう。体を動かして、腸も動かして促すのだ。自宅待機するより動いた方が多分よかった。お手洗いの場所だけは確保しよう。
来年は当日中にでてほしい。
でるのかでないのかの不安で頭の中を埋めて暮らすのは嫌だ。
そして願わくば嫌な記憶が蘇らないよう同じ担当者に当たらないでほしい。

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