本屋大賞 成瀬は天下を取りにいく

本作は、ご存じのとおり2024年の本屋大賞受賞作です。

また、坪田譲治文学賞等、数々の賞に輝いた作品でもあり、宮島美奈のデビュー作です。

宮島美奈は「宮島ムー」名義で、本作の中の「ありがとう西武大津店」で、

第20回女による女のためのR-18文学賞の大賞と読者賞、友近賞をトリプル受賞しました。

「島崎、わたしはこの夏を西武に捧げようと思う」の一文で始まる本作は、6つの作品で構成されています。

登場する成瀬あかりと島崎みゆきは同じマンションに住む幼なじみで、家族ぐるみの付き合いがあります。

主人公の成瀬あかりは、他人の目を気にせず自分の思うままに生きています。

頭もよく、行動力もありますが、変なことを言い行動するため、周りは関わらないようにしています。

例えばM-1に出場して笑いの頂点を目指そうとしたり、入学式で丸坊主にして卒業までに何㎝伸びるのか検証しようとしたり。

将来の夢は二百歳まで生きることです。

一方、島崎みゆきは、そんな成瀬と同類と見られたくないと思いながら、成瀬あかり史を誰よりも見てきており、これからも見続けようと決めています。

成瀬と違い友人も多い島崎ですが、M-1の相方として出場したり、西武大津店の閉店カウントダウンのテレビ中継に映るため狩りだされたりしますが、嫌々といいながらまんざらでもありません。

成瀬は自分の目標や思いついたことには、周りを気にせずマイペースで前へ前へと進みますが、足元のことには疎く、恋愛にも無頓着のようです。

そんな強烈なキャラクターの成瀬の行動を、島崎をはじめとする友人たちの目線で書かれています。

突飛な行動をとる成瀬ですが、読んでいる私たちにはできない行動であり、だからこそ応援したい気持ちにもなり、成瀬あかり史を追いかけたいとも思わせる作品です。

痛快な面白い青春小説です。

一読をおすすめします。


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