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10年経っても弁当界で不動のNo.1、群馬県桐生市にある「ストラーダ」について

からあげ弁当と聞くと、いつもストラーダのことを思い出す。


ストラーダには感謝しても感謝しきれない。


高校生時代、15歳〜18歳の頃、
学校の部活終わりによくストラーダという弁当屋に行っていた。


群馬県の桐生市という田舎町にある弁当屋だが、
地元の学生やファンでよく賑わっているお店だった。


当時、僕はいじめやセクシャリティのことでしぬほど悩んでいて、
そんな中、ストラーダで過ごすあの時間が1つの救いだったのだ。


あれから10年が経った。

本当、あっという間だった。


僕は群馬を離れ、
東京や、全国をフラフラするようになり、
その中でたくさんのからあげを食べてきた。

ストラーダで提供している価格帯の
10倍以上もするからあげを食べたこともある。


もちろん、おいしい。

肉の味が口の中いっぱいに広がる。

でもやっぱり、この10年間、
ストラーダに勝てるからあげには出会えなかった。


毎回毎回、

「ストラーダはおいしかったなぁ」

と思いながらよそのからあげを食べていた。


10年が経ち、僕も辛かった過去と向き合おうと思い、
ある日、車を走らせ、桐生に向かった。


その時のことは、この記事にも書いている。


潰れていたらどうしよう、と思った。

10年の月日が経っていたので、その可能性は十分にあった。


でも同時に、確信していた。

あのお店は、地元のファンに支えられ、
そして誰かの心を支えている。

当時の僕を支えてくれたように、
今もきっと、誰かの心を支えている。

だから潰れることはないだろう、と。


車を走らせ、お店の前に止めた。


何も変わっていなかった。


外のテーブルの配置も、雰囲気も、
店内から香る幸せの匂いも。


僕は泣きそうになるのをこらえて、店内に入った。


18歳の頃の制服を着た僕が、
そこに座っているような錯覚を覚えた。


「こんにちは、10年ぶりに来ました」

僕は自分でそう言って、自分でおののいた。


この10年、どれだけの変化があっただろう。

あの頃の絶望は、皆無になっていた。

ずっと暗いトンネルなんて、存在しないんだなと。


そして、日々進化していく僕を、
何も変わらないストラーダは
ずっとそのままで待ってくれてたような気がした。


「いつでも帰ってきていいんだからね」

そう言われたような感覚。


店主は変わっていた。

ちょうど休みだったのか、二代目に変わったのかは分からない。

でも、お店自体は何も変わっていなくて、
僕は果てしない安堵を覚えたのだ。


「からあげちくわ天弁当の大盛りで。外で食べます」


10年前にタイムスリップしたかのような気分で、
厨房から香る揚げ物の香ばしい匂いを全身で感じていた。


一生潰れないでほしいな、と思った。

僕は小さな声で頂きますと言い、ゆっくり味わった。

色々な想いが溢れてきて、涙をこらえるのに大変だった。

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「おいしい」といった4文字の言葉では表すことができなかった。

既存の言語には限界がある。

ただただ、大好きだった。


つらい日々の中、
好きだった先輩らとストラーダで過ごす時間。


この席で、ウーロン茶やコーラを
ふざけてかけ合ったことも思い出した。


僕らはずっと笑っていた。


自転車でどこまでも行けると思い込んでいた。


思い出が失われない限り、
ストラーダを超える弁当屋は今後一生出てこないのだと悟った。


ここはただの弁当屋ではない。
代替不可能だと思った。

そして、ストラーダのような思い出深いお店が、
−第三者から見たらどうでもいいような場所であったとしても−

今後もいくつか出てくるんだろうなと思った。


いま通っているなんでもないお店が、10年後、20年後、

ストラーダのような
思い出深いお店になる可能性もあるということを、
忘れないでおきたい。


−ブログやメルマガに書くまでもない話
(by 20代起業家)

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