抗がん剤治療開始[嫌いな兄が胃癌で亡くなる半年間]#3


抗がん剤治療がいつから始まるという情報を母がゲットしました。
母が兄に抗がん剤治療の日は一緒に行くと言っても、来なくていいよと断られていたので、内緒で母と私で一緒に行こうと作戦を立てていました。
前日から私は実家に泊まり母と病院へ行き、そこで兄を見つけて先生の話を一緒に聞こうという流れでした。
前日、実家に帰った時に最近の痩せた兄をまだ見ていなかったので、病院で兄を見つけた際にびっくりした表情が出ないように1度見ておこうと思い、痩せた兄の写真があるか母に聞いたところ、兄がすやすや寝ている時に写真を撮ったと言うので見せてもらいました。
兄は体重100キロで太っていましたが顔がシュッとして無駄な肉がついていない、こんなに痩せている兄は人生で見たことないと驚きましたが、ここでもあまりリアクションをしてしまうと母が悲しむのではないかと思って何もリアクションせずに携帯を返しました。
母がなぜ悲しむかというと母自身が自分を責めてるからです。ここまで痩せてて病院に連れていけなかった、検診させておけばと責めているのです。
なのでそう思ってほしくないためにリアクションしませんでした。

抗がん剤治療当日の話です。
病院の時間はわからなかったので、いつでも出発できる準備をして兄が出発したら、10分後くらいに母と家を出ました。
病院着き、さぁ兄を探せるのか。大きな病院というのは事前にホームページでわかっていました。
まぁ広いし、人もいっぱいで混み合ってる。なんかピリピリしていて圧倒される、これ見つけられるかなと次第に不安になっていきましたが、絶対ここにいるからと母と隅々まで探していきました。
ほんとに最後の最後の区画にいたー!いたいた、座ってる!母と気づかれないようになぜか隠れました。
なんて声かける?どうする?と母と話していると、兄が呼ばれたのか移動しはじめ、ちょうどこちらに向かってきて私たちに気づき、すぐにバレました。咄嗟に
私:やぁ!と手をあげ
兄:なんでいんの?
私:きたよ。
何年振りかの会話は終わりました。兄が怒るのではないかと母と内心ドキドキしていましたが、大丈夫でした。
それからも特に話さず兄は携帯ゲームをしているようでした。
兄が先生との診察の時、
私:私も一緒に入るよ。
兄:いい。
と断られました。
兄が先生と話している間、母からはありがとうと言われました。
兄はどう思ったかわかりませんが、一人じゃないと思ってくれたかなと一言でも声をかけてよかったと思いました。
兄も絶対怖いはず。初めてのことだらけで抗がん剤治療という未知な治療をしなきゃならない。だから怖くて不安な時に少しでも一緒にいれてよかった。兄の恐怖が少しでも和らいだらいいなと思いました。
午前は採血や診察で午後に抗がん剤治療と聞き、午後からは何時間も待つからいいよと兄から言われました。
母も高齢なので帰ったほうがいいかなと午後に兄とバイバイしました。
母とは先生の話は聞けなかったけど行ったことに意味がある。行ってよかったねと話して帰りました。
兄は一通り治療を終え18時頃帰宅しました。私は兄が帰ってくるのを確認し、自分の家に帰りました。帰るときに兄ちゃんに声かけないの?と母に聞かれましたが、いいや、いつも声かけてなかったし、いつも通りにすると言って私は帰りました。


次回

抗がん剤治療開始から4日間

よければ続けて読んでいただけると嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました🐻


https://note.com/kuma322/n/nb72c81898c6a




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