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企業はどのように外国為替リスクをヘッジしているのか

2024年になり、日銀が金融緩和政策を辞めると宣言したのに円安が戻らないですなぁ。
2022年にはコロナ禍が去り、各先進国がこれまでコロナ禍中に市場にばら撒いた給付金マネーを回収するべく、金利を引き上げて金融引締政策を行う中、日本だけが金利を上げることができず、海外との金利差を主な背景に円安が大分進んできましたが、私はこの為替変動にかなりやられました。。



為替リスクとは、外国為替レートの変動により、企業の収益、純現金収支および市場価値が変化する可能性を示す指標です。
これら3つの要素(収益、キャッシュフロー、市場価値)は、企業の相対的な成功または失敗をどのように見るかについての重要な財務的要素となります。

多国籍企業や海外取引のある企業のこれらの3要素は、常に3種類の為替リスクに晒されているのです。


3つの重要な為替リスク

トランザクション・エクスポージャー

為替リスクの1つ目は、トランザクション・エクスポージャー。
為替レートの変動前に発生し、為替レートの変動後まで決済される予定のない金融債務の価値の変動を測定します。
したがって、このタイプのエクスポージャーは、既存の契約上の義務に起因するキャッシュ・フローの変動に対処するもので、主に売掛金および買掛金を通じてすでに契約された将来のキャッシュ・フローに関係する。

例えば、既存の外貨建金融債務を決済することにより発生する損益を測定する。
取引エクスポージャーの最も一般的な例は、企業が外貨建ての債権または債務を有している場合に発生する。


トランスレーション・エクスポー ジャー

為替リスクの2つ目は、会計エクスポージャーとも呼ばれ、全世界の連結財務諸表を作成するために海外子会社の外貨建て財務諸表を単一の報告通貨に「為替両替」する必要性から生じる会計上の所有者持分の変動の可能性を指します。


オペレーティング・エクスポージャー

為替リスク最後の3つ目は、エコノミック・エクスポージャーとも呼ばれ、為替レートの予期せぬ変動により、企業の将来の営業キャッシュフローが変化することによって生じる企業の現在価値の変化を指します。

オペレーティング・エクスポージャーとトランザクション・エクスポージャーの違いは、トランザクション・エクスポージャーがすでに契約された将来のキャッシュフローに関係しているのに対し、オペレーティング・エクスポージャーは、為替レートの変動が国際競争力を変えたために変化する可能性のある(まだ契約されていない)将来のキャッシュフローに焦点を当てている点といえる。

オペレーティングおよびトランザクション・エクスポージャーを適切に管理する目的は、為替レートの予期せぬ変動が企業の将来のキャッシュフローに与える影響を予測し、最小化することであり、単に収益最善化を望むことではない。
この目的を達成するために、経営陣は会社の営業政策や財務政策を変更、あるいは金融派生商品を使ってヘッジすることをしている。


それでは、これら3つの為替リスクに対してどのようにリスクを回避(ヘッジ)すればよいのか。リスクヘッジの戦略を紹介する。

リスクヘッジ戦略

トランザクション・エクスポージャー: 金融契約

トランザクション・エクスポージャーは、以下のような、事前に為替レートを固定する等の金融契約によってリスクをヘッジすることが可能。

  • フォワード・マーケット・ヘッジ(先物取引も含む)

  • オプション・マーケット・ヘッジ(プット・オプション、コール・オプション)

  • オプション市場ヘッジ(プットオプション、コールオプション)

  • マネー・マーケット・ヘッジ、国内外での借入・貸付

  • 通貨スワップ

国際的に事業を展開している企業では、非平衡が発生したときにそれを認識し、競争的に対応することができるようなオペレーションをあらかじめ配置しています。そして、世界的な競争条件の一時的な変化を認識することで、経営者は事業戦略を変更することができる。
一方、国内企業の場合、外国為替取引の影響を全面的に受ける可能性があるにも関わらず、多国籍企業と同じように対応する選択肢を持ちません。


トランスレーション・エクスポージャー: 会計上の手法

トランスレーション・エクスポージャーを最小化する主な手法は、貸借対照表ヘッジと呼ばれており、貸借対照表ヘッジは、連結貸借対照表上、外貨建ての資産と負債を同額にする手法。これが各外貨で達成できれば、正味トランスレーション・エクスポージャーはゼロになります。
また、企業が一時的な方法で外貨換算する場合、エクスポージャーの純額がゼロになることをマネタリーバランスと呼ぶ。

  • 貸借対照表ヘッジ


オペレーティング・エクスポージャー: 運用テクニック

上記2つの他にも運用テクニックでリスクをヘッジしている。

  • 地理的分散(リスクの分散)

  • 財務の分散


なぜ為替リスクをヘッジする必要があるのか

ヘッジとは、キャッシュフロー、資産、または価値の上昇(下落)する契約(先渡契約を含む)のいずれかを取得し、既存のポジションの価値の下落(上昇)を相殺する、ポジションを取ることであり、
ヘッジは、資産の所有者を損失から守ることができる一方で、ヘッジされた資産の価値の上昇による利益も排除します。
エクスポージャーをヘッジする企業は、将来予想されるキャッシュフローの価値の変動をある程度抑えることができるため、将来キャッシュ・フローのリスクの低減、つまり、会社のキャッシュフローが必要最低限を下回る可能性(財政難に陥る点)を低減させるということであり、企業の計画能力を向上させる。
また、経営陣は、会社の実際の通貨リスクを知る上で、個人株主よりも比較優位性があるため、市場の非平衡状態を利用する上でより有利な立場にある。



2022年に留学に行く時の為替は、1ポンド165円、その半年後の2023年には、1ポンド180円、今は190円ですね。(留学が1年後ろ倒しにならなくてよかった。)

個人の為替リスクヘッジ方法は、ほとんど手法がありません。少し円安が和らいだ時に、多めに換金するくらいですかね。どちらかというと、いかに換金コスト(手数料)を下げるかというのが重要ですね。

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