アラサーになった憧れの先輩と7年ぶりに飲むことになった
ふとしたきっかけで元バイト先の、密かに憧れていた先輩と飲みに行くことになった。
きっかけはとても些細なことで、残業中に見た「月末に帰省します。暇な人がいたら遊んでください。」とツイートだった。
その先輩とはバイトを辞めてからは連絡を取ったことはなく、控えめに言っても惰性でフォローしているだけなので、普段なら絶対に読み飛ばす内容だった。
しかしこの日のツイートだけは何故だか目についた。
特徴も飾り気もない、ごく普通のツイートに何故目がついたのか。
たぶんコロナ禍で人とのコミュニケーションに飢えていたからなのだろう。心のどこかで人と繋がるチャンスを探しているを必死に探していたのかもしれない。
ふとしたきっかけで深層意識が顔を出すといういい例のように思う。
声をかけることは決まったとしても、どうやって誘うかが問題だった。いきなり「空いてますよ!」という仲でもない気がするし、誘えるような他の人もいない。
「どうしたものか」
こういう時に都合のよい記憶を思い出せる便利な頭だった。僕の就職が決まった時に内定祝いに日本酒を奢ってもらえる話になっていたことをふと思い出した。
しかしそれは7年前の口約束だ。覚えているはずがない。
配られたカードで勝負するしかないとは言わないが、自然に誘い出すにはこの約束を持ち出すしかないだろう。
「7年越しの約束履行してください!」とシンプルなメッセージを送って、仕事に戻ることにした。
結局その日は連絡が来ず、メッセージを送ったことを後悔し始めていた矢先、LINEが鳴った。
「久しぶり!よく覚えてたね。ぜひ飲みに行こうよ」
積もる話も特にないけど、憧れていた先輩と7年越しに飲みに行けるなんてなんかドラマチックなので、その日まで美容院に行って準備しようと思う。
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