お正月にはお屠蘇。。。お屠蘇って何?

こんにちは。
薬膳師のクコの花です。

先日お母さん学校の受講生からお屠蘇を作りたいと思っているのですが、作り方が色々あって。。。あれは何でですか?一番原点のお屠蘇のレシピが知りたいです!とのリクエストをいただきました。

「そうだね~薬局に売ってるけど組成が店によって違うものね。」と言うとそれを聞いた受講生がこんな会話を。
Aさん「えっ?お屠蘇って薬局で買えるんですか?」
Bさん「そうだよ。だってあれって薬酒ですよね?漢方薬?」
Aさん「え~、どんな効果があるんですか?」

「今日は薬酒の話じゃないし、時間が限られているから、屠蘇についてはnoteに書くね。レシピは確か勉強した時に見た記憶があるから、私の持っている資料のどこかに眠っているはず。次の講座までに調べておきますね。」とお約束しました。

山のような資料の中から、記憶をたどっていくと、ありました。よかった、自分の記憶に間違いはなかった!と。無事に次の講座でお知らせすることができました。



非業の死を遂げた医師「華佗」

お屠蘇の歴史を紐解いていくと、中国五漢末期の時代にさかのぼります。
まさに三国志の時代。三国志華佗伝にお屠蘇の考案者とされる医師「華佗」の記述があります。

華佗は薬学や医術に非凡な才能を発揮し、神医とよばれるほどの名医でした。

「麻沸散」と呼ばれる麻酔薬を考案、処方し、それを使って腹部切開手術を行ったという記録が残っています。

その腕の評判は曹操の耳に届くこととなり、曹操の典医として召し抱えられます。ですが、人に傷をつけて治療する医師は下賤なものとされ、いまのような高い身分を与えられていませんでした。(薬膳師の方が位が高かったのですよ!!!)

曹操は神木を切り倒して以来謎の頭痛やめまいに悩まされていたのです。
ですが治せる医者や祈祷師がおらず、華佗を頼ったのです。
華佗は曹操の脳内に病巣があることに気づき、切開手術をすすめます。ですが、頭を切り開くなど当時は狂気の沙汰でした。

曹操に単なる医者、身体を切り開くもの、そんな下にに見られていた華佗はそれを不服に思い、故郷に帰ってしまいます。その後も妻が病気だと嘘をついて曹操のもとに戻ろうとしませんでした。のちに妻の病気が嘘だと曹操にばれ、逆鱗に触れて投獄され、拷問の末殺されてしまいます。

曹操は後に自分の頭痛を治せる唯一の医師を失ってしまったこと、愛する息子が病気になった際、治すことができずに亡くしてしまったことから、華佗を処刑してしまったことを心底後悔したとか。。。

曹操らしいと言えば曹操らしいのか。。。短気は損気、まさに覆水盆に返らずですね。

華佗は死の直前、自分の世話をしてくれていた牢の管理人に自分のまとめた医学書を託しますが、曹操の逆鱗に触れるのをおそれた牢の管理人の妻により、受取を拒否されてしまいます。華佗はそれならとその書を自ら燃やしてしまうのです。



幻となった処方の数々




華佗の書が残っていたら、その後の医術の発展に何らかの大きな功績をのこしていたに違いありません。記録に残っていないので、今に伝わる、この華佗のお屠蘇や麻酔の組成は医学を愛する人々の口頭によって守られてきたものでしょう。そんな訳で、はっきりとしたレシピは実はありません。私のもっている資料にも使われた薬草は書いてありますが、その細かい量などは記載されていません。

ただ、これらの薬草が使われていたのでは?という推測で語り継がれ発展してきたものです。




屠蘇散(屠蘇延命散)



日本には平安時代に伝えられ、庶民に広く伝わったのは江戸時代に入ってからといわれています。防風、白朮、山椒、など5~10種の生薬が組み合わされて作られています。邪気を払い、健康長寿を願う薬です。その組成をみていくと、巡りを良くし身体をあたため、風寒邪などから身を守る生薬が使われています。

華佗の屠蘇は今の組成に比べるとかなりきつい生薬も加えているので一般的な飲み物ではなかったと推測されます。

庶民に広がっていくにつれ、誰が飲んでも安全で副作用の少ないものが選ばれていったのでしょう。

現在はこの時期になるとドラックストアや漢方薬局に売っていますから、興味のある方は是非来年のお正月はお屠蘇にチャレンジしてみてください。
作り方も一緒に書いてあるはずです。基本は大みそかの晩からお酒に一晩漬けるだけです。



お屠蘇の飲み方


お屠蘇には飲み方があると言われています。右側からそそぎ、若年者から飲むのだそう。若者の快活な気を老年者に分け与えると言われています。
若者の精気を吸いとる妖怪みたいですね。本当は毒見の意味もあるとか。
確かに主を失うのは一家の一大事ですが、現在のような少子化で毒見なるものをやったら間違いなくその家は途絶えることでしょう。

厄年の人は厄年でない人のあとに飲み、邪を払う力を分け与えてもらうそうです。

美味しく飲めればそれで良し。でも、屠蘇散ってそんなに美味しいものではないですよね。。。



12月も残りわずか、やり残したことがないよう、一日一日を大切に(⋈◍>◡<◍)。✧♡


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