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生薬と漢方薬と。。。

こんにちは。
薬膳師のクコの花です。

中国ドラマやアニメのおかげで、以前よりは広く知られるようになった薬膳ですが、残念ながら、いまだに間違った認識やそもそも薬膳がごはんであることも知らない人も多くいます。

そもそも薬膳とは何なのでしょうか?

初めて受講する生徒さんにこの質問をよくするのですが、ほとんどのかたが
「何かよくわからないけれど身体に良いもの」「漢方薬の仲間みたいな?」と答えます。何だかまずそうだけれど、身体に良さそうだから習ってみたい。そんな感じの方が多いです。

私が大学で習った薬膳の教科書には、皇帝などが食べる御膳(ごはん)に生薬を組み合わせて健康効果を高めたごはんというようなことが難しく書いてあります。そして教科書には毎日食べられる美味しいものでなければならないとも書いてあります

薬膳の薬は生薬の「薬」そして膳はととのえられた「ごはん」の意味です。

先に書いたように、皇帝の召し上がるごはんを御膳と言うことからも、もともとは薬膳が位の高い人のものであり美味しい健康ごはんであったということがわかるでしょう。それが長い年月をかけて庶民に広がっていったのです。

では生薬とは何なのでしょうか?

生徒さん達が、生薬、生薬とよく口にするので「生薬って何?普通の食材と何が違うの?」とたずねると、やはり答えに詰まってしまいます。

これは実は線引きが非常にあいまいで、えっ?というような理由で線引きされているものもあります。そのため生薬を使わなくても薬膳!というような薬膳が日本では横行していたりします。

薬膳学における生薬と食材の定義では食材を加工することによって毒性を弱めたり、効能を強めたものを生薬、加工されてない素材そのままのものを食材としています。そしてこの生薬を組み合わせてさらに効能を強くし、薬として使えるようにしたものが漢方薬となります。


もっと厳密にいうと、生薬は日本のものであり、中国では中薬と呼びます。
そして漢方薬も日本のものであり、中国では方剤という呼び方をします。
漢方薬は日本に入ってきた方剤を日本人に合わせて発展させたものなので、実は同じ名前の薬でも、中に含まれている生薬が中国の方剤とは違っているものさえあるのです。

日本では薬機法など様々な法律があるため、中国では食材としてどこでも買えるようなものでも日本では薬扱いになるため、処方箋がなければ購入できない生薬もたくさんあります。ですから漢方薬と同じく日本人にあわせた薬膳が必要になるわけです。

有名な「ナツメ」も加工して生薬にすると、大棗と言う名に変わり薬扱い、なつめだと食材扱いになります。また大棗でも明らかに食品としてお菓子などに加工され使用された場合はこの法律に触れないなど細かい規定があります。

こんなことからもを生薬と食材の線引きは非常に難しいのです。その理由をよく知らないで食材も生薬?じゃあ、ナスとトマトの夏野菜を使えば身体を冷やす夏の薬膳!なんて話もでてきたりするのも仕方がないといえば仕方のないことなのかもしれません。

上手く使いこなそう


薬機法の話まですると何だか薬膳ってめんどくさいと思われてしまうかもしれません。ですが、薬に抵触するようなものはそもそも漢方薬局などで処方していただかなければならないし、苦かったり、見た目がグロテスクだったり、薬効が強すぎるものも多くあります。

そのような生薬は無理して使わなくてもよいのです。なつめやクコ、松の実や白きくらげ、紫蘇や生姜。。。
漢方薬局まで足を運ばなくても手にはいる生薬と同じとみられる美味しい薬膳食材はたくさんあります。

先ほど書いたように、薬膳とはもともとは病気にならないための健康な身体を作ることが大きな役目であり、毎日続けられる美味しいものでなくてはいけません。先ずはみなさんが口にしているものがいったいどういう物なのかそれを知ることが健康への一番の近道ではないでしょうか?

医療としての薬膳

薬膳には限りない可能性があります。
家庭でできる薬膳は健康な身体を維持したり、未病の改善が主たる目的となります。

中国では薬膳は医学の一部とみなされ、薬膳の専門家になるためには医学の基礎も勉強しなければなりません。

薬膳は予防だけでなく、医療現場でも役にたつのです。
その目的は薬の効果を高めたり、術後の回復を早めたり、薬の副作用を抑えることなどにあります。また、西洋医学が苦手とする不定愁訴と呼ばれるような分野を得意とします。

日本では薬膳師は単なる民間資格でしかないので、薬膳師の質も様々ですし、医療現場で薬膳師が活躍することはほとんどありません。きちんと法整備をして薬膳師の質を高め、医療現場で活用することができたらなら、また違う医療の世界を見られるのではないでしょうか。そんな日が来ることがクコの花の夢でもあったりします。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

生徒さんからよく質問されることや食のトリビアなどを簡単にまとめた読む薬膳本です。薬膳のことをよく知らない方にこそ読んでいただきたい本です↓

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