葉状腫瘍を摘出した話。
私の胸にはしこりがあった。
先日、そのしこりを手術で取り除いてきた。
入院1日目
入院期間は3泊4日で、手術の前日の入院。
朝9時台には病院に行き、まずはPCR検査で鼻から検体採取。
手術後に使う物など、幾つかレンタルしてから、看護師さんに連れられて病室へ。
事前の希望通り、個室を用意して貰えた。
その病院の個室は、値段設定が2段階になっていて、その安い方の個室だった。
エアコンも自分で調節できるみたいだし、気兼ねせずに済みそう。
入院して間もなく、荷物を解いて、バイタルチェックを済ませたら、しばし暇となり、上のようなつぶやきをしていた。
初めて運ばれてきた病院食は、もり蕎麦だった。
びっくりするぐらいにベチョベチョのかき揚げもついてきた。
お蕎麦は乾き気味で、一塊になってしまっているし、何だかとても残念な感じである。
そうか、こういう感じか!
こういうメニューに選択の余地なく、一方的に提供される給食スタイルは、小学校の時以来かもしれない。
私の場合、所詮4日間ぐらいだし、そのうち1日は絶食だしで、なんだかんだで我慢できるけど、長期入院の人は、これは滅入るだろうなあ。
お風呂については、予定では、私がお風呂にはいれるタイミングは、この1日目しかない。
手術日、その翌日はシャワーも不可の予定だった。
その後、2日間はシャワーも浴びれず、髪も洗えなくなることがわかっていたので、その日には絶対にお風呂には入っておきたかった。
入院前、ドライヤーの貸し出しをしてくれるのかわからなくて、家から普段使っているドライヤーを持っていくか迷ったが、他にも荷物が多く、バッグにかさばるドライヤーまで入れられなかった。
結局、ナースステーションでもドライヤーを貸してくれたのだが、入院前に聞いておけばよかった。
私が入院するフロアは、産婦人科メインっぽくて、通りがかる人は患者さんらしき人も、看護師さんも全員女性だった。
遠くの方で、赤ちゃんの泣き声も時折聞こえる。
すっぴんでいても、あまり気にならず、それは良かったと思っている。
晩御飯は、肉と野菜の炒め物と、野菜のおひたしっぽいものと、これまた野菜を小さく刻んだものがいっぱい入ったものが出てきたが、それぞれ味が薄くて、一体、それが何の料理なのか、私の味覚では判別不可能。
特に、おひたしっぽいものは、全く味を感じられず、茹でただけの葉物野菜をただただ食べるって言うのも、まさに味気ないものだと思った。
野菜を小さく刻んだものは、遠くの方で若干の酸味があり、もしかしてコールスロー的な?とは思うも、漬物っぽさもあり、何だかよくわからない。
そりゃ、それぞれ個別の事情で塩分を控えた方が良い人とかもいるでしょうが、私は、一応、一般常食なんだから、もう少しどうにかなんないかと思う。
個室なので、部屋内での通話はOK。
夜は、家族に電話したり、テレビ見たりしてのんびり過ごして、午後9時に消灯。
かっちり9時に眠らなくても良いのかもしれないが、常用してる薬の影響もあってか、自分でも驚くほどに、すぐに寝れた。
入院2日目
この日は、終日絶食で過ごす。
手術の数時間前までなら、飲水はOKらしい。
手術前には、病棟の看護師さんのバイタルチェックや、主治医の先生が来てどちら側を切るか確認し、薬剤師さんが来て使う薬の説明、手術担当の看護師さんが来て色々と説明と確認など、入れ替わり立ち代わり、色々な人が来た。
合間に家族と電話したり、韓国語の勉強したりして過ごす。
時間になったら、歩いて手術室があるフロアへ。
足であける自動ドアの向こうに、スペースが広がっていた。
髪の毛がでないような、シャワーキャップみたいのをかぶせられ、本人確認やら切る場所の確認などを済ませて、これまた歩いて、手術室へ。
自分で手術台に上がり、看護師さんなのか、技師さんなのかわからないが、タオルで隠してくれながら、パジャマの上を脱ぎ、横になる。
私の場合、麻酔時間が短いので、下は脱がなくてよかったっぽい。
切る側の方の腕を上げる形になるが、痛くはないかと確認される。
切らない側の腕では、麻酔科の先生がどこから点滴のルートを取るかあちこち眺めた結果、手の甲(!)にぶっ刺される。
麻酔科の先生が「薬入れまーす。」と言ってる最中、私は仰向け状態で天井を見ていたのだが、3秒もしない間に目を開けていられなくなり、まぶたを閉じた。
そして次の瞬間には、「終わりましたよー。」との声で目を覚ます。
その間の感覚は一切なし。
主治医の先生が、「ちゃんとコロンと取れましたよー。」と声をかけてくれた。
声をかけられれば返答はできるが、麻酔の影響か、目は閉じていたい。
手術自体は30、40分で終わり、入室してから出室まで1時間ちょっとだった模様。
私は目を閉じたままだったし、色々な物が体に繋がれた状態で身動きが取れないまま、ストレッチャーみたいなものに移され、病室に戻された。
胸の傷は、鈍く痛むが、我慢できないほどではない。
胸には心電図のケーブル、手には点滴ルート、足には血栓防止の足マッサージャーみたいな機械をつけられた状態で、翌朝まで過ごす必要があるらしい。
吐き気がなくて良かった。
尿道カテーテルを入れられなくて、それはそれで良かったのだが、そうなると次に何が起こるかと言うと、トイレに行きたいときは自分で行かねばならないということ。
その度にナースコールして、看護師さんに来てもらい、身体につながってるものを外してもらい、用が済んだらまた呼んで、つなげ直してもらう必要がある。
これがちょっと気が引ける。
スマホは使っていいよと、手元近くに置いてくれたが、手には点滴の管がささっていて、スマホを掴みづらい。
やっぱり、まだうつらうつらしていて、家族への電話もできなかった。
テレビを見てみようと思ったが、目が閉じてしまうので、サッカーのブラジル戦は結果が出る前にテレビを消してしまった。
そして、この日も9時には就寝した。
しかし、夜中に何度か目が覚める。
何でモニターがあんなに鳴ったんだろうか。
「お変わりありませんか?」と言われるも、特に何もないのだけれども。
そして、目が覚めると、トイレに行きたくなる。
手術前に水分をしっかりとっていたせいか、結構たっぷり出る。
入院3日目
朝のバイタルチェックの際に、痛み止めの点滴の減り具合が遅いらしく、どうやら点滴が詰まったっぽいとのことを看護師さんがおっしゃる。
射しなおしをするみたいで、その看護師さんも、昨日の麻酔科の先生のように、私の腕を注意深く眺めた後、腕の内側に針をぶっ刺したが、どうやら上手く行かなかった模様で一旦抜かれた。
別の看護師さんが来て、再度点滴トライすることに。
「結構、イケそうに見えるんだけどね。」と仰る看護師さん。
採血の時と刺す血管が違うのか尋ねると、まっすぐのところじゃないとダメなのだそう。
2人目の看護師さんでも、1回目ではダメで、2回目で成功した。
私自身、これまで点滴すら経験してこなかったからわらかなかったけど、もしかして、私の腕、というか血管って点滴針射しにくい形状してるのかもしれない。
毎度、何度も針ぶっさされるの、しんどいわ。
主治医の先生がいらして、胸の傷の具合を見たら、この調子なら明日退院できそうとのこと。
ベッド上の安静解除!
モニター類も全部外してもらって、これで自分の好きなタイミングで気兼ねなくトイレに行ける!
痛み止めの点滴も、他にも痛みを抑える方法はあるので、外したかったら外してよいとのこと。
煩わしかったので、外してもらった。
さっき、何度もぶっ刺された意味はなかったわ。
この日から普通に食事を取っても大丈夫。
1日絶食した体内に食べ物流し込んだら、身体が驚いて胃が痛くなったり気持ち悪くなったりするのかなと不安に思ったが、全然そんなことなく普通にいただけた。
シャワーはまだ浴びることはできなくて、看護師さんが温かいタオルを持ってきてくれて、それで身体を拭いた。
この日は、傷のあたりを保冷剤で冷やしながら、とにかく時間だけがはあるので、韓国語の勉強をし、スマホにダウンロードしてきた韓国ドラマを観て、のんびり過ごした。
この日もなんだかんだで、9時に就寝。
我ながら、よく寝れるものだと感心。
入院4日目(退院日)
入院中、毎晩10時間位寝ている。
日頃の睡眠負債を一気に解消する機会になって良いのだが、長く寝続けていると腰が痛い。
主治医の先生に傷口を見てもらい、退院OKとのこと。
ようやく家に帰れるとホッとする。
身支度を整え、預けていた薬なども返してもらい、退院後の注意事項の説明を受け、いざ退院。
費用の支払いは後日になるとのことだった。
この入院中、辛かったのは、手術そのものではなく、その後のベッド上安静だ。
手術なんて、何の記憶もないし痛くもなにもない。
ベッド張り付けの刑、あれがとにかくしんどい。
あれさえなければ、ほぼ快適な入院生活だった。
退院後
傷の痛みはほとんどなく、退院翌日から、在宅勤務で仕事を再開した。
私の胸には、細い線がピーっと5センチぐらい入った状態になっている。
手術の傷跡と言うと、長めの線の上を横にちょんちょんちょんと縫い跡がつくようなのを想像していたが、最近はそういうのではないらしい。
今は傷の線が赤く目立つが、徐々に目立たなくはなるとのこと。
胸の形も、凹みなどもなく、以前とそんなに変わらない感じだ。
摘出した腫瘍の病理検査の結果も、良性の葉状腫瘍とのことだった。
今後は、半年後の検査までは特になし。
葉状腫瘍は再発性があるので、それだけが心配だけど、とりあえずはほっとしている。
だがしかし、この手術の後から、若干の身体の不調が生じている。
その主治医の先生に相談したところ、恐らく手術との直接の関連性は考えにくいとのこと。
もう少ししたら、また別の専門の先生にかかろうと思ってはいる。
私の見立てでは、すでにその不調の素地みたいなものは、私の身体の中に、手術以前からあったのだろうが、この手術や入院は、間違いなく、私の人生史上最強最大のストレスだったわけで、それが引き金となって、身体の中の調子が狂ってしまったのではないかなぁと思っている。
具体的にその症状については今は申し上げないが、日常生活に支障があるほどではないけれど、常時不快といった類のもの。
あぁ、色々あるわね。(溜息)
以前のnoteにも書いたけど、葉状腫瘍は、乳腺に発生する非常に稀な腫瘍なので、同じような境遇の人はそう多くはなく、情報発信している方も少ない。
不安で情報を探し求めていた方にとって、このnoteが何らかのお役に立てたら幸いに思う。
***
術後半年の状況についてのつぶやきはこちら。▼
もしサポートをいただけるのでしたら、自身の心を潤すような音楽や映画などなど、エンターテイメントのコンテンツ購入に充てさせていただこうと思います。